もともと胎盤は好きだったけどさらに!
昔から、胎盤は好きでした。
産婦人科に勤務して分娩介助をしていたころ、
赤ちゃんが生まれたあと、
続いて胎盤を娩出させるのですが、
産婦さんのお股の間のへその緒を
ヒョイヒョイと軽く牽引すると
わたしの手のひらにズーンと
ええ感じの重みと温かさを有する物体・・・
胎盤が受け止められます。
その、出てきたときの感覚が
たまらなく好きで・・・♡
柔らかさも。
温かさも。
重みも。
なんだろう。
その触感すべてから、
『命』を感じるとでもいいましょうか・・・
よく同僚たちに
「何が楽しいのかわからへん」と
不思議がられましたが
胎盤が手のひらに乗っかった瞬間、
なんともいえない幸福感がわたしの心を満たして
くれました。
受精卵の、胎児になっていく 部分の
周囲を覆っている細胞たち(絨毛)が
発達して母体の子宮内膜にイケイケGOGOに潜り込んで
いき(着床)
そこに胎盤が作られます。
胎児側からへその緒を通して子宮内膜へ、
絨毛が伸び、
母体側から子宮内膜へ、
らせん動脈という細い血管が伸び、
胎盤の中の絨毛間腔と呼ばれる場所で
絨毛とらせん動脈が
母体⇄胎児
酸素や栄養などの物質交換を行っています。
ちなみに、絨毛間腔で絨毛とらせん動脈は
交わることはありません。
絨毛は、絨毛膜という薄い膜で覆われていて
その膜ごしに、母体血から必要な物質を
取り込むんです。
つまり、母体血と胎児血が混ざることは
絶対にないんですね~!
すごくないですか?!
このへんの話って、
めっちゃ難しいので文章で説明するのは
無理があるかもしれませんが、
受精卵が子宮内膜に潜り込んで
絨毛という根を張り、
胎盤を作って赤ちゃんを育てていく
不思議でアメージングなメカニズムを
知るともう~!!
胎盤、へその緒の神秘の
とりこになってしまうんですよ~!
赤ちゃんが生まれて胎盤が剥がれたら
そこからの出血はどうやって止まるのか。
分娩とともに、
急激に子宮が小さくなるように収縮します。
胎盤が娩出される瞬間にも
陣痛のような痛みを再び感じることがありますよね。
今まで胎盤があった場所に開口していた
らせん動脈たちも、
押し潰されてしまうぐらいに強い収縮です。
もしも、産後の強い子宮収縮(後陣痛)がなければ
らせん動脈は開きっぱなしで、
子宮の中に母体からの出血が止まらないことになります。
そのような収縮の緩い状態を
弛緩出血といい、ときには産後大量出血の
原因になることがあります。
わたしは10人目のときに
40歳高齢だったこと、
多産で子宮筋が疲労していたこと、
赤ちゃんが大きめだったこと、
分娩スピードが早すぎたこと
などの要因によって
弛緩出血を経験しました。
子宮は伸びたり縮んだり
とても不思議な臓器ですが、
出血は止血においても、
他の場所とはかなり違うんです。
通常、子宮以外の出血は
断裂した血管をしばったり、焼いて固めたりすることで
止血できます。
でも、妊娠分娩にともなう子宮の出血は
どこから出血してるのか、
その原因血管を見つけること自体、不可能です。
赤ちゃんをおなかの中で育てるために
子宮に集まる血液量はかなり増えます。
らせん動脈は無数に開口しているので
1点からの出血ではなく
面から出血しているようなもので、
止血はかなりたいへんな作業になります。
10人目産後1時間、
ドバドバ出血しているのが自分でもわかり、
次第に眠くなっていきました。
意識混濁ですよね。
なんとか子宮収縮の点滴と、
出血面の物理的圧迫で
輸血を免れましたが、
このまま死ぬのかな・・・
と思ったできごとでした。
12人目は低置胎盤で、
胎盤の位置が子宮口に近い部分にありました。
子宮下部はあまり収縮しない場所のため、
帝王切開で出産後、
やはり、うまく子宮収縮できずに
らせん動脈開きっぱなしで
かなり出血しました。(2200cc)
低置胎盤、前置血管、臍帯卵膜付着という
胎盤、臍帯の異常もありました。
産後、その胎盤をじっくり観察することで
さらに知識を深めました。
胎盤の血管分布が均等ではなく、
栄養も酸素も赤ちゃんに届けにくい状態だったことは
一魍魎然でしたが
こんな悪条件の中、
2695gまで一生懸命に育ててくれたんだなぁ・・・と
偉大な胎盤に感謝しかありません。
こりゃもう神様に匹敵する!
本気で思いました。
昔、お産をとっていた時も
「胎盤はすごい」と思っていたし、
あの重みや温かさから
命そのものを感じてジーンとしていたけれど
改めて10人目の弛緩出血や
12人目の出産で
脇目も振らず、
命がけで赤ちゃんを守る胎盤の大きな大きな愛・・・
そのすごさを思い知りました。
〝神様っていると思う?〟
イエスキリストだったりブッダだったり、
アラーの神だったり
さまざまな宗教があります。
沖縄には石を神に見立てる
信仰心があります。(ビジュル信仰)
他にも海や大地、空、
大自然を神として祀る文化があったりします。
〝神様っていると思う?〟
胸を張って答えますよ~
「神様といえば、胎盤でしょ!!
胎盤といえば、神様でしょ!!」
12人目の胎盤は、
現在もわが家の冷凍庫に眠っています。
2021年夏。
助産院ばぶばぶin沖縄
建物が完成したときには胎盤を庭に埋め
そこに記念樹(?)を立てて、
パワースポットとして大切に丁重に
お祀りしていこうと思っています♡
きっと、これからのわたしの人生、家族の人生、
そして、わたしが応援するすべての人たちの人生を
胎盤さまが見守り、
よりよい方向へと導いてくださると信じてます。
こうしてわたしのマニアックな胎盤信仰は
深みにはまっていくのでありました(笑)
怪しいですかね・・・?(^^;