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2022.06.03

こんなご時世、子どもを産むのは無責任?

「コロナ、貧困、環境破壊、戦争・・・
さまざまな苦痛をもたらすこのご時世に
まだ生まれてきていない
子どもの気持ちを考えたら
産むべきじゃない気がする」

「出産することは、親のエゴであり
人生の苦しみを味わう犠牲者を出す
無責任な行動だと思う」

「絶望を味わうのは
この世に生まれてきたからで
いっそのこと、最初から生まれてこなければ
苦痛を感じず済むんじゃないか」

生まれること、産むことを
〝よくないこと〟
と否定的にとらえる倫理的見解で
ママになることを渋っておられる
女性にときどき出会います。

人生には
嬉しいことや楽しいこともあるけど、
しんどいこともたくさんありますよね。

『子どもがほしいというのは
根本に親のエゴがある』

それはその通りだと思います。

とはいえ、
いのちをつなぐ生命活動は
生きものとしての本能でもあり、
これを否定すればすべての生物の存在を
否定するということになるでしょう。

「産みたい」のがエゴならば
「産みたくない」のだって親のエゴです。
どっちにしてもエゴであることに
変わりはありません。

例えば
赤ちゃんの夜泣きを「苦しい」
と感じるママもいれば
「眠いけど充実した毎日」と
感じるママもいます。

「幸せ」の基準も人それぞれだし、
「不幸」の基準も人それぞれで
そもそも客観的な「苦しみ」なんてものは
存在しないと思うんですよね。

起こってくるさまざまなできごとを
本人がをどのように受け止めるか、
という個人的な感覚的要素が大きく

『こんな世の中に生まれたら
子どもが苦しみを背負うだけだ』

と決めつけてしまうのは
短絡的すぎるのではないでしょうか。

わたしも昔、
近しい人から
出産を全否定されたことがあります。

子だくさん、というのがまず
「ありえない」「無責任」
につながったのだと思いますが

まだ産むの?
信じられない!と。

『苦しみを背負う子どもを
これ以上増やすなんてバカのすること』

的なニュアンスのことを
さんざん言われ、全否定され

わたしはただ、
子どもたちを幸せにしたい、
自分も幸せになりたいと
思っていただけに、
おなかにいる子の存在そのものを否定されたことが
すごくショックでした。

でも、その後
結果的にたくさんの子どもを抱えて
離婚ということになり
『不幸になる子を増やす』
あのとき言われた言葉が蘇ってきて

自分は間違っていたのかもしれない・・・
自己嫌悪と自責の念とで
ボロボロになりました。

最初から不幸になるつもりで
産む人なんかいません。
子どもに苦しみを背負わせたくて
産む人もいませんね。

でも、ママがいくら
「子どもを幸せにしたい」と思っていても
病気や不慮の事故、
複雑な人間関係にうまく順応するのは
決して簡単なことではなく
子どもが幸せになるかどうかなんて
誰にもわかりません。

多かれ少なかれ
みんないろんな苦悩を抱えながら生きています。
そんなはずでは・・・という
ハプニングだって起きることはあるけれど

大人になれば
仕事も住む場所も人間関係も
ある程度、自分で選択することが
できるはず。

「そんな簡単なことじゃないよ!」

って言われるかもしれないけど。

わたしは、
自分の人生は自分で決められると
思っています。

離婚してしばらくは
生きるだけで精一杯でした。

たくさんの子どもたちを抱えて
やっていけるのか不安でたまりませんでした。
申し訳なさと情けなさ、
そして世の中が恐ろしくて、
消えてしまいたかった・・・。

ピンポイントでみれば
生き地獄ってこういうことを言うんだ
と思う苦しさでした。

それから何年もかけて
たくさんの人の愛情に支えられ
ひとつひとつ鍛えられ
乗り越えていくことで
少しずつ自分に自信を持てるようになりました。

8年経った今は
自分がバージョンアップするための苦しみだったと
ポジティブにとらえることが
できるようにもなりました。

あの経験があったから
今のわたしの人生、
今の子どもたちの人生があるんです!

当時、不幸だと感じたできごとは
幸せのために必要なことでした。

その幸せを得るために克服すべき試練だった
と言えなくもありません。

鍛えられた自尊心があれば
ちょっとやそっとの苦しみがあっても
いちいち悲観したり絶望したり
しなくなります。

『環境は誰かから与えられるもの。
努力しても報われないのは
その環境を作った誰かが悪いんだ!』

傷つきやすく打たれ弱い
『環境』に依存した
現実逃避思考パターンは
カゴの鍵は開いていて本当は自由なのに
あえて外に出ずにカゴの中で
文句だけ言ってる鳥みたいに感じられます。

カゴは開いているんです!

勇気を出してそこから出て、
羽ばたいてみたら
何もないゼロから切り開き
何かを成し遂げ人生を楽しむ醍醐味を
子どもは味わうかもしれないのに!

逆境を乗り越える経験、
努力して成し遂げる経験によって
成長したという実感を得ることも
あるかもしれないのに!

わたしたちは、
喜びや悲しみ、嫉妬、劣等感、
達成感、感動・・・
さまざまな感情を経験するなかで

逆境や絶望を感じる場面でも
すぐにパニックになったり挫折したり
自暴自棄になったりすることなく、
冷静に対処できるようになります。

傷ついたり、悲しんだりなどの
ネガティブな感情の経験を
避けて通っていたら
心の免疫はいつまで経っても強化されず
弱点を残したまま
偏ったメンタルで生きづらさを抱えることに
直結していくでしょう。

もちろん、生きている中で
「しんどすぎる」「無理だ」と思うことからは
全力で逃げるのはアリです。
それも賢い生き方。

逃げること=甘え、負け
というネガティブな発想ではなく

逃げること=自分を守る賢い選択
というポジティブな発想で
自分を肯定できるようになるには

人間が抱くあらゆる感情を経験し、
それを適切に処理し乗り越えていく
その積み重ねがあるからです。

つまり、人間のあらゆる感情は
意味があるから起こっていて、

この世に新しい生命が誕生することも
意味があるからだと思うのです。
必要がなければ
人類など生まれてこなかったはず。

複雑な社会活動の中で
いろいろな立場の人が生まれるのは必然です。

だから
「苦しみから逃げる」という理由で
妊娠出産を否定するのは、
短絡的な発想のような気がします。

わたしは
「苦しみを感じるくらいなら生まれない方がいい」
とは思いません。

苦しいことだけで生命の誕生が否定されるほど、
わたしたちの人生は浅くないし
単純でもないことを知っています。

生まれてこないほうがいい生命なんて
ひとつもなくて

産まないことで
「苦しみから逃げる」のは
「人生を思いっきり楽しむ」という
すばらしいミッションの前には
ぼやけてしまうんじゃないかと
思っています。

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