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2021.06.09

人工破膜

みなさんから届くお手紙の中から
人工破膜に関する疑問をご紹介します。

↓↓↓

妊娠39wのとき、洗濯機の下を拭きたくて
洗濯機を持ち上げた瞬間から
生理痛のような痛みがだんだん強くなり、
産院へ行きました。

診察の結果、子宮口4cm。

初産だし、陣痛が遠のく可能性もあるから
陣痛が5分をきったら電話してね

と言われ、一旦家に帰ることになりました。

が、帰りの車の中でどんどん痛みが強くなり
産院にトンボ帰りになり
助産師さんもびっくりの急展開で、
分娩台にあがって5分ぐらいで出産しました。

分娩台に上がった際に、助産師さんから

「さぁ破水させよか!
痛みがきたらがんばっていきんでね!」

と言われたのですが、

この場合、
人工破膜はしてもらえないのでしょうか。

人工破膜をする条件ってありますか?
自然に破水しなかった場合は自分で破水させるのが
一般的なのでしょうか?

もしかして、あんなにいきんで破水したってことは
臨月に便秘できんだときに破水してしまうのでは?
と少し怖くなりました。

↑↑↑

人工破膜が行われるのは
基本的には微弱陣痛のときに
分娩誘発の補助的な処置として
あるいは分娩所要時間の短縮を目的として
行われます。

人工破膜ではなく自然破水であっても、
破水後は分娩に直結するような
強い陣痛が押し寄せてくるケースが多く

「破水した途端に
陣痛の種類が変わってびっくりした!」

と表現する産婦さんも多いです。

卵膜に人為的に穴をあけて破水させることで
子宮内圧が変わり、胎児の頭が
ダイレクトに子宮口を刺激し
子宮の筋肉が圧迫を受けるので
陣痛のグレードが2段階ぐらい上がったような
強さに変わってくるんですね~。

破膜は、
赤ちゃんの頭がママの骨盤にガシっと固定されているときは
子宮の急激な内圧の変化を避けるために
陣痛の合間、おなかが緩んでいるときに内診をして、
ハサミのような器具で子宮口あたりの卵膜を
キュッとひっかけて人工的に破ります。

赤ちゃんの頭がまだ上のほうにあって
人工破膜することで骨盤内に固定されそうと
見込んだ場合には、陣痛の一番強いタイミングに
破膜して赤ちゃんの頭が一気に下がるのを促します。

ただし、陣痛誘発・促進効果があるものの
人工破膜のみによる24時間以内の分娩誘発は
60~80%程度と言われていて

人工破膜単独では分娩所要時間を
短縮する効果は低いので
点滴による分娩誘発(オキシトシン投与など)とセットで
行うことのほうが多いかな。

人工破膜のデメリットとしては
子宮内感染、胎児機能不全、臍帯脱出などの
可能性があります。

赤ちゃんがまだ十分に下がってきていなくて
ママの骨盤に頭を固定しておらず
プカプカ浮いているようなときに人工破膜をしてしまうと
急激な子宮内圧の変化で
赤ちゃんの頭より先に臍帯が
下がってきてしまうことがあるんです。

臍帯が先進すると、陣痛が来た時に
赤ちゃんの頭が臍帯を圧迫して
赤ちゃんに酸素が回らなくなるためとても危険!

なので、破膜するときは必ず
赤ちゃんの頭が確実に
ママの骨盤にガシっとはまって
臍帯が下りてくる隙間がないかどうかを確認してから
おこないます。

分娩誘発、促進が必要ない自然経過の分娩で
むやみに人工破膜を行うことは
お産の時間を短縮するどころかむしろ
臍帯脱出や胎児心拍低下などを誘発し、
帝王切開率を増加させることにも
なりかねないとも言われているので
安易に行う処置ではなく、
やはり適応があるときだけに
慎重に決定しなければならないと思います。

人工破膜をする条件は、
子宮口は少なくとも3cm以上は開大していて
子宮頸管が柔らかくなっていること。

破水させるということは、
子宮の内外が交通したということを意味します。

破膜後もなかなかお産が進まなければ
時間が経てば経つほど、膣から子宮の中に
細菌が侵入しやすく子宮内感染を起こしやすくなるという
デメリットがあるので、

人工破膜を行うのなら、
子宮の分娩準備が十分に整っていて
破膜後、短時間でお産が終了するだろうという
予測が立っている場合のみ、ということになります。

産婦人科診療ガイドライン産科編2011には

人工、自然にかかわりなく
破水時には臍帯脱出が起こり得るため
もし人工破膜を実施する場合には
赤ちゃんの頭が骨盤内に固定されたことを確認したあとに行い、
人工破膜後は分娩監視装置で
胎児心拍を確認することが推奨されています。

ということで、

彼女の場合は分娩誘発・促進は行なっておらず
自然な分娩経過であることから
人工破膜をしてもしなくても
分娩所用時間は変わらなかったでしょうし、
微弱陣痛でもなかったことから
破膜は適応ではなかったわけです。

ちなみに、
臨月に便秘でいきんでも破水はしませんよ。
なぜなら、陣痛があるわけでも
子宮頸管が柔らかくなっているわけでもないですから。

分娩時にいきんで破水したのは、
強い陣痛(子宮収縮)が来ており、
子宮頸管が十分に柔らかく準備OKになっていたからです。

いきまずに自動的に破水する場合も
産婦がいきんだ刺激で破水する場合も、
こういうのを全部まとめて

『自然破水』

って言います!

素敵なお産をされたこと、嬉しく思います♡
♪───O(≧∇≦)O────♪

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