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2023.03.30

〝残念だけど〟帝王切開(2)

帝王切開は経膣分娩と何がどう違って
その違いは果たしてあかんことなのか?

前回に引き続き
考えてみたいと思います。

経膣分娩で赤ちゃんが潜り抜けてくるのは
『産道』です。

産道はすごく窮屈な道で
潜り抜けるためには〝知恵の輪〟を解くように
ちょっとしたコツと工夫が必要になります。

赤ちゃんは本能的に
頭をできるだけ小さく折りたたんで
体の向きを微妙に変化させながら
ちょっとずつちょっとずつ進みます。

でも、人生はいつもうまくいくわけじゃありませんね。
おいおい、わたしの本能どこ行ったんや〜!
ということは誰にでもあって

赤ちゃんの回旋とへその緒の長さ、
ママの骨盤の大きさ、陣痛の間隔、強度、
さまざまな条件が整わないと
立ち往生してしまう場合があるんですよね・・・

産道の途中で立ち止まったまま、
嵐という名の陣痛が繰り返し
とめどなく襲ってくるとどうなるか。

赤ちゃんの体力はどんどん奪われ
酸素が足りなくなり、心拍が低下し始めます。

最初のうちは、
陣痛が来たときにだけ酸素が行き渡らず
一時的に心拍が下がり
陣痛が去るとすぐに回復します。

その状態が長く続きすぎると
赤ちゃんは回復することができなくなり
心拍は下がりっぱなしになります。

下がり始めたな・・・
ちょっとやばいかな

という段階から戻らなくなる段階に移行するのは
あっという間だったりもするので

少し待てば産道を通過できそうなのか?
待てるのか、待てないのか?
赤ちゃんの耐え抜く余力はどれぐらい残っているのか?

脳に酸素が行き渡らず
赤ちゃんの生死にかかわる危機的状況になる前に
瞬時に状況判断して帝王切開するかしないか
決めなければなりません。

つまり、『産道を通る』というのは
当たり前のようで実はとても恐ろしい
生死を分ける命のリスクを伴う大仕事なのです。

「まだがんばれたかもしれない」

ママはそうであっても、
赤ちゃんからの緊迫したSOSを
医療者は敏感に察知し、手遅れにならないように
少し早めに帝王切開を決定します。

12人目のとき帝王切開が決まって
「残念だけど」と言われたのは
〝順調な〟経膣分娩であれば
帝王切開よりもママの産後の回復はいいし、
赤ちゃんの状態もいいからです。

子宮の中にいる赤ちゃんは
臍帯を通して酸素供給をするので
肺を使う必要がありません。
なので、肺の中は羊水で満たされています。

生まれた直後、産声をあげますが(初めての肺呼吸)
狭い産道で締め付けられること、
陣痛でさらに締め付けられること、
苦しいながら、この2つの締め付けがあってこそ
胸部がいい感じに圧迫されて
肺の中のお水が外に排出され
呼吸開始の準備が整います。

そして、おぎゃ〜!の
元気な声に刺激されて、残りのお水が
赤ちゃんの体内、リンパに吸収されます。

帝王切開だと2つの胸部圧迫が省略されたまま
産道をすっ飛ばして外の世界に
生まれてきます。

つまり、産道を通らない帝王切開は
スムーズな自発呼吸の開始を妨げる要因に
なる可能性がある・・・と
教科書には書いてあるわけです。

でも実際には
呼吸障害は経膣分娩、帝王切開に関わらず
早産の場合によく見かけます。

正期産で帝王切開になった場合には
問題になるような呼吸障害が増えるような
印象はありません。

経膣か帝王切開か、よりも
妊娠何週でお産になったのか、の方が
重要な要素なんじゃないかと思います。

また、わたしたちの身体は
さまざまな細菌たちと共存しています。

例えば腸内にはビフィズス菌や乳酸菌などが
消化吸収を助けてくれているし、
膣(産道)の中にはデーデルライン桿菌が
子宮内に悪さをする細菌やウイルスが侵入しないように
守ってくれています。

子宮の中は無菌状態なので
そのまま生まれたら無防備ですよね。

だからあえて菌が
たくさん棲みついている産道を通ることで
ママ由来の歓迎されるべき細菌たちに触れ
生きていくのに都合のいい菌を分けてもらいながら
生まれてくるんですね。

帝王切開では産道をワープする分、
いい菌を分けてもらうことができません。
つまり、いい菌より先に悪い菌が入り込んでしまう
可能性があるんです。

・・・と、これまた教科書には
このように書いてあります。

が、先述の呼吸障害の話と同じで
実際に帝王切開で生まれた赤ちゃんが
抵抗力が弱く病気にかかりやすいかというと
そんな印象はありません。

やっぱり、おなかに妊娠何週までいたのか?
という在胎週数のほうが
大きな要素になるかな。

正期産だと
胎盤免疫をしっかりもらって生まれてくるので
産み方うんぬんで赤ちゃんの元気度合いに
大きな差が出るとは思いません。

この地球上に生まれたかぎりは
自力でちょっとずついろんな細菌に暴露されながら
育っていくでしょうし、

さらに初乳を飲ませてあげられる環境なら
母乳免疫もガッツリ分けてあげられます。

まとめると、
帝王切開で生まれてきた赤ちゃんが
長期にわたってなんらかのマイナスな影響を
受け続けるのか?というと
最初の数日間、ちょっとした注意と配慮が必要なだけ!

経膣分娩だろうと帝王切開だろうと、
どっちでもいいや〜と思います。

子どもは成長につれ、
いろんなことをやらかしてくれます。
こっちが泣きたいわ!と思うことだらけです。

ママとは別人格のひとりの人間を育てていくのですから
うまくいかなくて当たり前なんです。
思い通りになるはずもないですよね。

そんなとき、
帝王切開だったからだろうか・・・?
なんて考えないでください。

イヤイヤ期も反抗期も、
帝王切開とはいっさい関係ありません。

これらを教えてくれたのは
わたしの12人の子どもたちでもあります^ ^

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