見ていた夢を100％記憶する発達障害児

発達障害（自閉症スペクトラム）の
わが家の中学2年性、ななちゃん。

いつも朝食をとりながら
さっきまで見ていた夢を話してくれます。

なながすごいのは、
〝毎朝〟であること。

まるで現実世界で体験したことのように
その夢を事細かく、
すべての夢を鮮明に憶えていることです。

わたしも、起きた瞬間には
なんとなく憶えていることがあるけど、

しばらく経ったら

あれ？
どんな夢だっけ？

忘れちゃうことも多いです。

そもそも夢は、
脳は活動しているけど体が眠っている
レム睡眠のときに頻繁に見ると言われています。

起きた時に憶えている夢は
明け方から起床にかけて
眠りが浅くなってきた頃に見ていた
具体的なストーリー性のある夢。

憶えていない夢っていうのは
記憶に残るほど心が揺さぶられなかった
薄っぺらい物語だった可能性。

つまり、思い出すほどの内容じゃないから
わざわざ記憶しなくていいですよ、と
脳で削除処理が行われた結果なのかも
しれません。

ななの持つ特性として
脳の中で過去の記憶を削除したり
整理整頓することがとても苦手です。

発達障害じゃなくても
嫌だったことも、楽しかったことも
突然思い出してしまうことはありますが

過去の記憶を思い出すときに
どれぐらい思い出して
どれぐらいは曖昧な記憶にしておくかという
バランスってすごく大事だと思います。

だって、あれもこれも過去のことを
全部鮮明に憶えていたら疲れます。
頭の中容量オーバーでしんどすぎて
生きていけないんじゃないかと思います。

だから、わたしたちは思い出す、
という作業をするときに
数々の辛い記憶から自分を守る必要があり

自然に時間の経過とともに
徐々に過去の記憶は薄れていくように、
今すぐ使わない記憶は
脳の中で抑制的なコントロールを行っています。

ななには、
その抑制コントロール機能の欠如が
あるんじゃないかな。

特性があるゆえに、
その体験が衝撃的で心を大きく揺るがした
ものであればあるほど
脳に過剰に刻まれてしまい

ふと頭の中に浮かんだときに
それ以外のことを考えることができなくなるぐらい
当時の情景がそのまま動画のように頭に蘇って
強い怒りや不安、恐怖などがそのまま
フラッシュバックします。

頭の中がそのことでいっぱいになって
抜け出せなくなってしまい
感情がコントロールできなくなり
わぁ〜っと大興奮状態になっちゃうんです。

現実世界でも寝てるときの夢でも
憶えておく必要のないすべての出来事を
脳が鮮明に記憶してしまうなんて
そりゃしんどいはずやわ！と思います。

先日もななは、小学校2年生のときに
運動会で踊らされたダンスが
嫌だった、という７年も昔の記憶が
トラウマのように甦って
感情が爆発してしまうことがありました。

定型発達の人から見れば

え？
そんな昔のこと？

かもしれません。

過去の嫌なことって
わたしも思い出すことはあります。

不快な気分にはなるけど、
過去のことだから。と
感情をコントロール、切り替えて
現実に気持ちを向けることができます。

ななのように、過去の記憶にとらわれて
どうにもこうにもコントロール不能になる
状態を、

自閉症スペクトラム障害における
タイムスリップ現象

と呼ぶのだそうです。

毎日夢を憶えていること。
感動的に突き抜けた能力だし
ちょっと羨ましくもあるけど

辛いことも全部憶えてるっていうのは
たいへんだな・・・しんどいだろうな・・・

でも！
それが変えることのできない
ななの特性だし、

支離滅裂な夢、非現実的だけど楽しそうな夢、
ちょっと怖い夢、
毎朝聞かせてもらえるのは楽しい〜。

ななのしんどさ、生きづらさを
理解しつつ、

この能力をうまく活かす方向に
仕向けてさえあげられれば
将来は絵本作家にだってなれるかもしれないんだから♪

そうだ、前向きに行こう〜！