せっかちで好奇心が旺盛で楽しいことが大好きな赤ちゃん
最近、せっかちで好奇心が旺盛で
楽しいことが大好きな
車椅子の女性と出会いました。
独身で子どももいないけど
わたしのYouTube動画を観てくださっていて
HISAKOさんと話してみたい、と思い立ち
web相談を申し込んでくださったことがきっかけでした。
彼女は9月生まれ。
でも本当は12月3日が出産予定日だったそうで
妊娠7ヶ月での早産でした。
小さな体で生まれて
何度も生死の境目を彷徨いながら
強い生命力で無事に成長しましたが
早く生まれたことによる後遺症は免れず・・・
生まれてしばらくの間に
幾度となく生じた無呼吸発作により、
脳がダメージを受け、
運動障害をきたしました。
足はまったく動かないわけではなく、
自分で思ったとおりに
スムーズに動かせない状態です。
身体の不自由がありながらも、
大人になった彼女は親元を離れ、
いろんな人のサポートを受けつつ
社会人としてがんばっておられます。
子どもの頃は
いじめられたこともあったそうです。
大人になっても心無い人に
傷つけられることなど
数え切れないほどあったけど
私は幸せだと彼女は明るく話してくれました。
わたしたち人間は、
生きている以上、よいことも悪いことも
笑うときもあれば泣く時もあります。
元気なときもあればしんどいときもありますよね。
得意なことのはずなのにうまくできなかったり、
ネガティブなことが続くと
自信を失い、何も考えられなくなったりします。
やる気をなくして
次のことに踏み込めなくなったり、
自分は何のために生きているのかと
自分の存在自体を否定してしまうことも
あるかもしれません。
なにもかも嫌になって
不安や心配ごとで眠れない日や
食べられなくなってしまうこともありますね。
だけど
彼女は言います。
サポートしてくれる心優しい人たちに
感謝の毎日なので
足の不自由な自分を不幸だとは思わない、と。
脳性麻痺という障害を抱えていますが
自分の限界を設けず、
趣味に没頭することを心がけているそうです。
飛行機に乗って一人旅に出かけたり
車椅子マラソン、車椅子バスケットボール、
英会話、ピアノ、ボイストレーニング。
興味のある分野をいっぱい体験して
さらに社会人をしながら
大学院で勉強にも励んでおられます。
いろんなことにチャレンジしてみることで
思いがけない発見があり
ちょっとしたきっかけでだったり、
考え方や気持ちの持ち方次第で
人生はポジティブに変わるんだよ、と
誇らしげに語ってくれました。
多才な彼女、
お話も書きます。
12月3日が出産予定日で
9月の初め、予期せぬ破水。
好奇心を抑えきれずに
出産予定日を待たずして
生まれてきてしまったせっかちな赤ちゃん
という彼女の生い立ちの物語。
早産。未熟児。っていうと
たいへんなイメージしかないけど、
早めに生まれてきた子は
もしかしたら彼女と同じように
好奇心とチャレンジ精神が旺盛な
せっかち赤ちゃんなのかもしれない、と
ほっこりしながら読ませていただきました。
とても素敵なお話だったので
ここにご紹介したいと思います!
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せっかちで好奇心が旺盛で
楽しいことが大好きな赤ちゃんが
〝違う世界を見てみたい〟
と思いました
ある日、
ママのおなかの中を探検していると
知らない道を見つけました
その先に何があるのかな
広い海に出るのかな
イルカに乗って
海を散歩できるかも
クラゲと泳いで
ヒトデと握手して
クジラのふいた水しぶきでできた
虹を登って
カモメに乗って空の旅
わくわくしながら
進んでみると
体を小さく丸めて
やっと進めるくらいのトンネルがありました。
そこを抜けると
小さなプールがあるだけの
殺風景な部屋にたどり着きました
こびとが出てきて
「違う世界へようこそ
ここにはなんでもありますよ」
目の前に机と椅子が出てきて
美味しそうな食べ物が並びました
ご飯にサラダ
パンにパスタにチョコレート
「あなたがここにいられるのは
冬の初めまでです
12月3日にまた違う世界にご案内します
それまでここで
好きなことをしてお過ごし下さい」
こびとが静かに話し始めましたが
たくさん歩いてきてお腹がすいていた赤ちゃんは
こびとが話しているのもろくに聞かずに
食べ始めてしまいました
おなかがいっぱいになった頃
「ではまた迎えにまいります
12月3日まで扉は開けないで」
こびとは消えてしまいました
それから赤ちゃんは
毎日好きなことをして過ごしました
プールで泳いで
好きなものを食べて
走り回ったり
ジャンプしたり
かくれんぼしたり
踊ったり
眠ったり
でも
そのうち飽きてしまい
なにかもっと
面白いことないかな・・・
秋の初めのある日のこと
部屋の中に
大きな扉があることに気づきました
扉のそばに鍵が置いてありました
何か書いてあります
「12月3日に開いてください
早まるともう二度と
この世界に戻ることができないので
気をつけて」
こびとがそんな話をしてたっけ?
好奇心旺盛の赤ちゃんは
衝動をおさえきれず
鍵を手に取り鍵穴へ・・・
開けてみたいな
ちょっとだけ
だけど
扉はぴくりともしません
鍵をポケットにしまい
プールの真ん中にベッドを浮かべて
赤ちゃんはそのまま眠り込んでしまいました
しばらくすると
パン!!!
大きな音がして
ベッドが大きく揺れました
びっくりして飛び起きると
プールの壁に小さな穴が開いてるでは
ありませんか!
どうやらポケットから転げ落ちた鍵で
ひっかけてしまったようです
急いで塞ごうとしましたが
慌てていたせいで
爪を立ててしまいました
広がった穴から
プールの水がどんどん流れ出して
ギギギ・・・
12月3日まであと3ヶ月もあったけど
水圧で重い扉が開いてしまいました
赤ちゃんは大量の水とともに
まっくらな扉の向こうへ押し流されました
息ができない・・・!
手足をバタバタさせてみたけど
なんでもある世界に
戻ることはできませんでした
次の瞬間、
まぶしい光と大きな音で
意識が遠のきました
気づくと
温かいふわふわの何かに包まれて
また違う世界にいました
この世界には
いろんな笑顔がありました
いっぱい抱っこしてくれる人がいました
美味しいものもいっぱいでした
とても居心地がよかったので
せっかちで好奇心が旺盛だった赤ちゃんは
ずっとここにいようと決めました
たくさんの愛情に包まれて
赤ちゃんはスクスク育ちました
そして
せっかちで好奇心が旺盛で
楽しいことが大好きな大人になりました