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2022.03.03

条件づけで大安産(1)

『ラマーズ法』という言葉、
あなたはご存知でしょうか。

わたしが助産師になった
1998年当時の現在の日本で
もっともポピュラーな出産時の呼吸法

「ヒーヒーフー」

これこそがラマーズ法です。

「ヒ、ヒ、フ~」が何たるや
よく知らないけれど、
お産と言えば「ヒ、ヒ、フ~」を連想しちゃうわ、
という人も少なくなったと記憶しています。

生命の誕生は
人類の出現とともに絶えることなく
ずっと続けられてきた営みです。
そのために分娩に対して
様々な考えや工夫がなされてきました。

出産に対する過剰な
あるいは不必要な不安や恐怖心を取り除き、
精神的にも、肉体的にも、
知識の面においても
出産に備えてその態勢づくりを事前に行い、

生ませてもらうというのではなく
産婦自身が分娩に積極的に参加し
産痛(陣痛)を自ら克服しようとするのが

精神予防性無痛分娩法(ラマーズ法)
です。

フランスの産科医ラマーズさんが、
この分娩法に着目し彼独自の呼吸法、
リラックス法を考案し
普及をはかったために
ラマーズ法と呼ばれるようになりました。

ラマーズ法は、
痛い陣痛を『痛い』と認識しなくて済むように、
ある種の呼吸法によって意識的に陣痛を逃します。

簡単に言うと
陣痛の痛みを呼吸法によって
ごまかしてしまおうという、
心理的な方法による無痛分娩法です。

どんなに事前の準備をととのえたとしても
全くの無痛の分娩などありえませが、

その中で「自らが生むのだ」
という分娩に対する積極参加が、
耐え難い痛みを耐えられる痛みに変えてくれ
結果的に痛みが和らぐことになる、

というのが
ラマーズ法の基本的な考え方です。

わたしも第1子は
ラマーズ法で産みました。

助産師ですから、
出産前の訓練量に関して言えば
誰よりも数をこなしていたはず。
だけどやってみたら痛いのなんのって!

必ずしも出産前の訓練量に比例して
陣痛(産痛)が和らぐとは限らないのが
現実なんですよね。

わたしの第1子のお産では、
分娩遷延で58時間もかかった難産だったため、
最後は心身共にへとへとになってしまいました。

もはや「自分で産む」気力はなく

「なんとかして早く産ませて!
誰か助けて!」

人任せのお産になってしまったがために、
必死にやったラマーズ法は見かけ倒し。
わたしに何のパワーも与えてくれませんでした。

だから、陣痛は本当に
イタカッタ、
ツラカッタ、
クルシカッタ!

第2子、第3子分娩は
経産婦ならではでした!

第1子のお産がウソのように
スルスル進むお産だったため
最後まで気力が失われることなく
体力バッチリの状態で終えることが
できました。

ラマーズ法うんぬん・・・というより、
そもそも既存の呼吸法が
自分のお産に合うとは限らない。

そして、産むごとに、
そのときにピッタリ合う呼吸法は
異なる。

ということを
第1子のときに思い知ったので

以降のお産では、○○法という
縛りを手放しました。

そのときそのときに
楽だと思える呼吸を
自分なりに見つけて
身体と心をできるだけリラックス
させることに意識を向けました。

分娩時も呼吸法とはこうあるべき、
という先入観から解放されただけで
最初のお産と2回目、3回目、
同じ陣痛でもここまで感じ方が違うのか!
と驚きました。

どんなお産でも、

「お産、めっちゃがんばった!
そんな自分はすごい!」

達成感と満足感に浸れる
ポジティブな体験こそ
おなかの中の赤ちゃんに対する
最大の愛情表現であり、

また単に分娩だけではなく
子育てを含めて今後の人生にも
極めて重要な意味を持つことになるのは
間違いありませんね。

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