スーパーで大パニック事件!(発達障害)
わが家の第7子、ななちゃん(中1)は
自閉スペクトラム症という
発達障害があります。
週に1回の
発達支援センター(療育)からの帰り道、
スーパーで買い物体験学習をさせようと思いたちました。
将来的に自立した生活を送るために
掃除、洗濯、料理、そして買い物は
必須のスキルです。
商品選択、支払い、
発達障害の子たちにとって
そのすべてが大きな負担になること
ばかりですが
少しずつ、チャレンジして
成功体験を積ませていきたいと
考えているので
メモと現金を手渡して
ななを1人で買い物に行かせ
わたしは車で待っていました。
しばらくして
ななは手ぶらで戻ってきました。
何かハプニングが起きたとすぐわかるぐらい
イライラしている空気が
伝わってきました。
「お金払われへん!」
どうやらクレジット専用レジに
並んでしまったらしく
会計ができず、困って
商品カゴをレジに放置したまま
戻ってきてしまったようなのです。
慌ててわたしが現場に向かい
支払いを済ませている間に
「もういい!帰る!」
衝動性を抑えきれず感情が大爆発。
早足でお店から
出て行ってしまいました。
初めて行ったスーパーだったので
帰るって言っても道はわかるはずないし、
家まで歩いてはとても無理。
駐車場の車に先に戻って
クールダウンしてるのかな?
と思い、車に戻ってみましたが
もぬけの殻。
じゃあ、1人でがむしゃらに
歩き回ることでクールダウンしてるかも。
長年ななの発達障害と
付き合ってきているので
なんとなく彼女がとる行動は想像が
つきます。
スーパーの外に
出ている可能性もあるけど
きっと歩いて少し落ち着いたら
自分で戻ってくるだろうと思いました。
変に探しに行って入れ違いになっても
困るので、わたしは動かず
待つことにしました。
15分ぐらい経ったでしょうか・・・
どこからともなく
尋常じゃない、ななの叫び声が・・・( ̄◇ ̄;)
慌てて声のほうへ向かうと
3人の警察官とスーパーの店長と
泣き叫ぶ娘の姿がありました。
靴、靴下を脱ぎ
あちこちに投げ捨て
(パニックになると肌の感覚過敏が発動)
怒鳴り散らしていました。
一般のお客さんが
ななのただならぬ殺気立った姿に
危険性を感じて通報して
警察官が駆けつける事態に
発展してしまったみたいです。
彼女のイライラの発散矛先を
とにかくわたしだけに向けさせる
必要がありました。(怪我人出せない!)
蹴られ殴られながら
発達障害を持っていることやレジでの一件、
簡潔に説明しひたすら謝罪しました。
警察官の1人が散らばった靴を
拾って揃えてくださったのですが、
「触んなやボケーーー!!!」
ああ・・・火に油。(T . T)
パニックを起こしているとき
自分の物に他人が触れることを
極端に嫌うななの行動認知特性を
他人がご存知であるはずがありません。
良かれとしてくださった行動だったのに
本当に申し訳ないです。
他人の体を傷つけることだけは
なんとしても阻止しなければ!
わたしは夢中で間に入り
エアバッグになりました。
ななのほうがわたしより体格がいいので
何度も吹っ飛ばされ
服も破れてしまうほどの大パニックでした。
パニックとは
なんらかの理由により
感情や行動などの調整が難しくなり
混乱した状態を言います。
ストレスの蓄積によって
情報処理ができなくなったり
行動を制御することが困難になることで
不安がさらに増幅する
悪循環が起きるために起こります。
ななの場合は、
不安や怒りなどの情動が抑えられなくなると
以下のような行動が見られます。
大声で叫ぶ・暴言を吐く、暴れ出す、
突発的に走り出す・飛び出す
物を投げたり、蹴ったり、壊したりする
自分の爪を剥ぐ、腕を噛む、ひっかく(自傷)
他人に暴力をふるう(他傷)
パニックになってしまったとき、
どうにかして止めなければ
と無理に制止をしようとすることは
発達障害のある子どもに対しては
NG行動とされています。
パニック対応の基本は4つ。
■安全確保
周囲にいる人を安全な場所へ誘導。
刺激となっている人、
危険な物を本人から遠ざける。
■落ち着くまで待つ
周囲が混乱したり慌てることで、
余計な刺激となり、
パニックを増長させることがあるので
本人が落ち着くまでは
刺激せずにひたすら待つ。
■完全に落ち着いてから話を聞く
落ち着くことができたことを褒め、
ねぎらった上でサラっと話を聞く。
原因追求やダメ出しはしつこくしない。
■パニック行動を無理に止めない
パニックに陥っているとき、
感情や行動をコントロールすることは難しく、
それを抑制するとかえって悪化させることに
繋がりかねないため
腕や体を押さえつける、抱きしめる、
無理矢理なだめようとするなど
強制的に止めることはしない。
ですが、
人が大勢いる公共の場では
無理にでも止めるしかありませんでした。
それが余計にななのパニックを
悪化させていることは明白でしたが
「そうするしかない」
こともある理不尽を思い知りました。
脇腹、太もも、蹴られて
アザだらけになりました。
警察官のみなさまとスーパーの店長さんは
ななのパニックの原因になっていて
今は刺激を与えることに他ならないため
謝り倒してその場から去っていただき
安全の確保をしてから
2人で駐車場に座り込むこと20分。
極度のストレスで全身にじんましんが広がり、
爪を剥ごうとするななを
刺激をしないようにただ見守りました。
少し落ち着いたのを見計らって
なんにもなかったかのような
落ち着いた口調で
「そろそろ帰ろか!
まずはコンビニでアイス買わん?」
と提案すると素直に車へ移動してくれました。
車で走ること30分。
クールダウンの時間の確保のため
わざと遠いコンビニを選びました。
アイスを買って車内で食べながら
ようやく少し表情が緩んできたので
「久しぶりに派手にキレたなぁ。
それでも店の商品壊さんかったよな。
あれは見事やった。偉かった!
まぁたまにはこんなこともある。
ぼちぼちいこな!」
軽く事件に触れて
認め、共感し、
終わりにしました。
パニック直後のタイミングで
否定されると敏感に反応し
叱られると再燃し自傷するかも、
と思ったので
「偉かったポイント」を探して
伝えました。
たとえ子どもに発達障害があったとしても
親はわが子に教えていかなくては
ならないことがたくさんあります。
人として絶対にしてはならない
行動には毅然とした態度で
注意すべきなんでしょうけど
注意喚起するグッドタイミング
というのがあると思っています。
人の行動には必ず理由があり
パニックにも理由があります。
「どうして暴れたのか」が分かると
次回は事前に回避し
同じことが起こらないようにする
具体策もなんとなく見えてきます。
子どもは人生経験自体が少なく
ましてや先のことの見通しや
いつもと違うこと、
臨機応変な対応が苦手な彼女はなおさら
「予測のつかないこと」に遭遇して
頭の中が真っ白に
なったことと思います。
自力でクールダウンしようと
ドスドス歩いてただけなのに
なんで警官に追いかけられる?
こんなの知らん!
聞いてないよ!
って大混乱だったでしょうね。
多くの人に迷惑をかけたけど
わたしはまたななにチャレンジを
してもらいたいと思っています。
『問題回避のためカゴの中の鳥』
それでは社会で生きていけませんから。
可能な限りの
事前確認、提案、相談をして次回に
備えようと思います。
「なんであんなことしたの!」
「ダメでしょ!」
という声かけよりも
「レジでお金使えない場合どうしようか?」
「もしレジで困ったときは、こうすればOK」
例外の可能性に触れつつ
次につなげる会話をしたほうが
ぜったいいい!
次回は安心させて本人が納得できてから
出陣できるといいなと思います。
何度もこういうことが繰り返されると
親としては辛く大変ですが
それは自閉症の特性によるもので
一番辛いのは本人のはずです。
だから根気よく向き合ってあげなくちゃ
と思うんですよね。
今回、トラブルに関して
なぜこうなったのか
その理由を考えました。
・知らないスーパーを選んだミス。
・大型のスーパーよりこじんまりを
選ぶべきだった。
・人の多い祝日のスーパーも
ハードルが高すぎた。
・支払い方法の指示の出し方が
甘くわかりにくかった。
ただ、叱りつけるより
うまくいかなかった原因を見つけ
解決策を探し、子どもがやりやすい
ように環境を整えていくことのほうが
ずっと建築的!
自閉症スペクトラムのななちゃんは
不安や緊張、疎外感が強まると
症状が激しくなってしまいます。
トラブルが続くことで劣等感を抱いたり
自己評価が低くなりやすく
ストレスがたまるとうつなどの
二次障害にもつながります。
反抗的な行動をとってしまう
反抗挑戦性障害を引き起こすことも
少なくありません。
「いけないことをしてしまった」
それはなな本人が
一番感じているはずだから。
人の道に反することをしたときは
発達障害だろうと親はビシっと
叱るべきだという考え方も
ありますが
親子で終わったことを
掘り返す反省作業より
「次はこうしてみよう!」という
前向きな作業のほうが
ぜったい効率的だと思うんです。
ななの今日の行動は
親の育て方やしつけのせいではない。
相手を困らせようとしているのではない。
本人はコントロールできず苦しんでいる。
だと思っています。
だから、親であるわたしも
深刻に考え思い詰めません!
注意したから、工夫したからといって
すぐに何かが変わるわけでもないし、
割り切りも必要
ななが久々に暴れてくれたおかげで
彼女の軸にある行動特性、
認知のパターン、
再確認できたことがよかったと思います。
どんな場合に沸点に達し、
どんな場面でコントロールが
利かなくなるのか。
限界値はどこか。
ときどきこうして爆発してくれなくちゃ
娘の発達段階、見えなくなっちゃうから。
現状いろいろわかって
今後につなげていきやすくなった!!
うん、よかった!
幸いにも夜にはすっかり
いつも通りのななに戻っていました。
ゆっくり少しずつ
成長していくのを待ちます!