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2022.02.17

松坂桃季さん主演の映画『娼年』

助産師という職業柄、
ばぶばぶでは毎日のように
『性』にまつわる話題が飛び出します。

中学校や高校では、
出張授業として
『いのちの授業』を実施、
ティーンエイジャーの赤裸々な
性の悩みに答えています。

今日は男子校で
高校2年生の男子たちに向け
学校ではぜったい教えてもらえない
「セックスとは?」を
熱く語ってきました。

セックスレスや
夫との性的な不一致、
特殊な性癖、浮気などなど・・・
なにかしら問題を抱えているカップルは
本当に多く

大人の女性であれ、高校生であれ、
『いのち』と『性』とは、
切り離して語ることはできません。

人は誰しも、誰かに認められたい。
誰かに必要とされたい。

自己承認欲の延長上に
性欲だったり愛情欲だったりが存在していて、

わたしたちは、
求めたり求められたりしながら
この世界を生きています。

最近、衝撃的な映画を観ました。

松坂桃季主演で
2016年には舞台化され、
2018年春に映画化された話題作『娼年』。

すべてのシーンは一切妥協しない姿勢で
出演者たちは一糸まとわぬ姿で
役になりきった本気モードで
撮影されたそうです。

役者さんたちの体当たりの
迫真演技が衝撃でした。

18Rの映画なので性的描写だらけ。
だけど、それが単なる
男女の肉体の交わりではなく
そのすべてが深いんですよ。

人間の本能的美しさや
生命力が滲み出すような素晴らしい映像が
胸を打ちました。

松坂桃季演じる主人公は
20歳の大学生です。

「女なんてつまらない」

女性に無関心だった青年は、
ひょんなことから娼夫となります。

そして、さまざまな女性たちに出会い、
その内面を知っていくことで、
彼女たちの欲求に応え、
受け入れ、思いやりで包み、
幸福を与えていきます。

セックスという行為が、
いかに相手を思いやることで成り立つのか。
『娼年』で描かれているのは、
性の幸せや豊かさ。
常識にとらわれない豊かな性の現場だと
思いました。

R18指定にもかかわらず、
異例の大ヒットを記録し、
とくに女性に高い評価を集め、支持されるのは、
多くの女性が『性のつらさ』を抱えて
生きているからかもしれません。

ばぶばぶでも、
さまざまな悩みを抱えた
ママたちの心の奥を
ゆっくり紐解いていくと
秘めている想いや苦悩が溢れ出てくる
ことがよくあります。

わたしは、
彼女たち自身が、
自分の抜け落ちている部分に気づき、
そんな自分と素直に向き合い、
そんな自分を認め、愛してあげられるように
固まった心を解放させてあげたいという想いで
ひたすら聴くに徹しますが

主人公の娼夫は、
それと同類のプロセスを、
大きな優しさと愛をもって
ほんの一時、彼女たちを包み込んでいくことで
完結させていきます。

エロいとか過激とか
そんな表面的な部分だけでは
語れないこの映画の本質は、
奥深い『性の多様性』『思いやりの心』
そういうところにあるのかも
しれません。

子育ての現場を見ていても、
ママたちは当たり前のように
「本音」を殺して
「建前」を背負って生きています。

日本人は、
同じ肌の色で、同じ言語を話し、
大多数の価値観を「善」とし、
少数派を問題視する傾向があるけど、

SNSがこれだけ普及しているのだって、
結局は、本音や欲望をさらけ出したいから
じゃないのかな?

言いたいことも言えないこんな世の中で
自分の中に秘めた欲望を抱えながらも
周りの人にはとても打ち明けられない
本当の自分をひた隠して生きることは、
常に仮面をつけて
生活するようなものです。

平静を装って、心では葛藤しながら
それでもあがいて
必死によい夫婦関係を築こうとし、
よいママを演じようとしている・・・

ママたちが、
このまま仮面をかぶって
日常を生き続けるための駆け込み寺として、
ばぶばぶは「ありのままでいいよ」が
許される場所でありたいと思います。

彼女たちが真の姿をさらけ出して
自分の心の重荷を下ろすには、
家族や友達など近い存在の相手では
役不足です。

なぜなら、
もしもその真の姿を拒絶されたときに
自分が傷つくリスクがあるからです。

客観的に話を聞き、
専門的な知識もふまえて
アドバイスしてくれる第三者なら
そんなリスクも少なくて済みますよね。

わたしは娼婦じゃないので(笑)
映画の娼夫みたいに超絶セックスによって
彼女たちを癒すことはできないけれど、

聴くこと、共感すること、
ときには適切なアドバイスをすることで
肩に背負った重荷を外してあげたい。

よくママたちからは、
ハグを求められます。

ギュッと抱きしめると
「あったかい♡」って言ってもらったり、
感極まって泣き出すママも続出(笑)
ありがたいことです。

心の中では

こんな自分だけど
周りの人たちに受け入れられたい・・・

そう願っているはず。

自分の欲望を受け入れてもらい、
満たしてもらえる場所を持つことで
心の平穏を得て、再び普段の日常へと
戻っていけるのでしょうね。

映画の中の女性たちも、
快楽に溺れるセックスを
求めているんじゃないんですよね。

自分のすべてをさらけ出し、
それを全部受け止めてもらえる
時間を求めているのだと思いました。

自分らしくいたいけど、
それが許されない今の世の中。
この映画はそんな現代人の
心を救ってくれると思いました。

激しいセックスだらけの映画なのに
観たあとに爽快感を覚えるのは
「性」を通して女性たちが解放され、
幸せになっていく姿を
描いているからなのでしょう。

性描写の裏側に隠された真のメッセージは
愛のすばらしさ、人の温かさ、
可能性、自由・・・
無限大の「優しさ」がテーマの
映画だと思います。

独りよがりなものではなく、
相手ありき。
子どもがママに抱きしめられると
元気になるように、
わたしたちにとってセックスとは、
肌と肌の接触を通して
大切な人と深くつながり
幸せを
感じることができるものだ
ということも、この映画が改めて
教えてくれた気がします。

身体を売る行為はもちろん
道徳的、社会的にダメなのですが
格差社会、貧困や虐待の連鎖など
ある種の貧しさだらけの
今の時代に寄り添う
とても素敵な映画だと思います。

『娼年』

まだ観ていない人はぜひ!
おすすめですよ〜!

あなたはこの奥深さを感じることが
できるかな??笑

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