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2015.09.09

精子の旅 〜前編〜

「この世に生まれたことは奇跡!」
「いのちは尊い」

と、言いますよね。

でも具体的に、
どのあたりが奇跡と呼ばれるゆえんなのか、
詳しく知っている人、
それを実感している人は
少数だと思います。

「いのち」のスゴさを話し始めたら
キリがないぐらい、連続技で
おったまげることばかりなのですが、

まずは手始めに
「精子」が「卵子」と出会うまでの
ミクロの世界、その過酷な旅のお話を
してみたいと思います。

思春期になると、男性の精巣では精子を作り始めます。
1日に約数億個、
休むことなく作り続けます。

単純計算すると一生のうちに作る精子の数は
2兆個ぐらい。
気が遠くなるような数字です!

受精して、生命として誕生できる精子は
2兆個のうち,たったの1個。
それってすごい確率。まさに選ばれし者が
この世に生を受けるのですね。

一方、卵子のもとになる細胞は
わたしたち女性が胎児のころにすでに作られます。
その数は500万個。
思春期を迎えるまでは、
もとの細胞(卵母細胞)は冬眠状態ですが
やがて、毎月卵巣内で1つの細胞が選ばれ、育てられ、
1か月に1個ずつ45歳ぐらいまで受精能力のある卵子として
排卵を続けます。

15歳から45歳まで排卵すると仮定すると
受精のチャンスがある卵子の数は
一生に約400個ということになります。

でも実際に受精するのは、
精子と同じように、そのうちたった1個です。

受精できなかった精子の数が
1999999999999個で

受精できなかった卵子の数が
399個だと考えると

いのちが生まれる確率はいかに?!
数字の大っっキライなわたしには
とてもじゃないけど計算できません〜。

男女のセックス、射精によって
日本の総人口ほどの精子が
女性の膣内に放たれます。
卵子とめぐりあうための旅のはじまりです。

膣内は子宮内に細菌やウイルスが侵入しないように
酸性度の高い環境に保たれていますが
精子にとっても、酸は過酷な環境です。

精子はそのままハダカの状態では
子宮の入り口(子宮頸管)に
到達する前の段階の膣内で酸にやられて
死んでしまいます。

なので、射精のときには「精漿」と呼ばれる
アルカリ性のとろみのある液体と混ざることで
「精液」となって女性の膣内に放出されます。

とろみは、
精子どうしが身を寄せ合い、
中心部の精子を膣内の酸から守る役割と、
膣の奥に到達した精子が
子宮の入り口(子宮頚管)に
しがみつきやすくなるように、という
2つの役割があるといわれています。

のんびりしている運動率の悪い精子は
元気のいい精子に蹴倒されます。
弱肉強食の世界です。

スピーディーに子宮頸管にたどり着くことの
できる、酸にも負けない力強くたくましい精子は
射精された3~5億中、1/100にしかすぎません。

たまたま精液の中心にいた幸運な精子で、
かつ、生命力の強かったものだけが
その先に進むことを許されるのですね。

射精からたった2分で
精液の一部が子宮頸管に貼りつきます。
その後30分ぐらいで溶け出して
サラサラの液状になり
その中にいた精子が子宮の中へと侵入を始めます。

セックスのあと、少し経ってから
精液が膣外に流れ出てくることがありますよね。
あれはまさに、頸管内に入れず
敗北した精子たちのなれの果てなのです。

そう考えると

「いのちの戦い本当におつかれさまでした
ありがとう!」

って戦いに敗れた精子たちに
ねぎらいの声をかけてあげたくなりますね。

子宮の入り口である子宮頸管は
4cmほどの管です。
大切な子宮の中に細菌ウイルスが入らないように
普段は酸性の粘りけのあるおりものによって
内腔が閉ざされています。

だけど排卵日付近になると
アルカリ性のおりものが増えて
酸がマイルドになり
子宮内に精子が入りやすくなるよう
助ける働きをするんです!

「排卵日におりものが増える」のは
こんな神秘的な理由があったのです!
すごい!

ちなみに
射精では0,8秒間隔で
何回かに分けて精液が出ますが、
女性もセックスでオーガズムを感じると
射精と同じ0,8秒間隔で子宮がリズミカルに痙攣し、
このリズミカルな波によって
精子が効率よく子宮内に取り込まれるのを
助けています。

女性が気持ちよくなることで
アルカリ性の分泌物が出ますが
それがたくさん出れば出るほどに
膣の酸性度が弱まり精子が子宮に届く可能性が高まり
妊娠しやすくなります。

オーガズム時、
膣の一番奥、子宮頸管につながる部分は
風船のように拡張して
精液が溜まる空洞を作り、
逆に膣の入り口は狭まります。

いのちの誕生のための身体の仕組み、
神秘的すぎて感動します!!

精子の旅、後半は
また明日〜♪

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