リアルはらぺこあおむし
見よう見まねの「ナンチャッテ家庭菜園」で
予測外に立派な夏野菜がたくさん収穫でき、
調子に乗って今年秋から
本格的に畑を開始しました。
初秋に植えた冬野菜たちは
紫キャベツ、キャベツ、レタス、
白菜、ブロッコリー、カリフラワー
ねぎ、わけぎ、水菜、大根、薬味大根、
ラディッシュ、にんじん、
さやえんどう、かぶ、玉ねぎ、にんにく。
種や小さな苗から始まった畑も
今や緑が生い茂り
美味しそうな無農薬野菜たちに
覆い尽くされ
すっかり畑らしくなってきました。
すでに収穫できた野菜は
さまざまなメニューに変身して
食卓を賑わせてくれています。
まだまだ生育途中の野菜のなかで
最近頭を悩ませているのが
アブラナ科の野菜たちです。
とくにキャベツとブロッコリーは
緊急事態です!
冬野菜を始めるときに近所の農家さんから
葉物の野菜は虫がつくよ!
無農薬で育てるのはかなり難しい
と聞いてはいましたが・・・。
畑にはよくモンシロチョウが
ヒラヒラと舞っています。
たとえ蝶であっても虫は嫌い。
だけど遠目に眺めているぶんには
のどかでいいものです。
だけど畑をやっている立場だと
モンシロチョウはキャベツやブロッコリーの
大きく開いた葉の上に卵を産みつけ、
あおむしが葉っぱを食い荒らすので
天敵だったりするようです。
最初は小さなあおむしですが
ものすごい勢いでキャベツの葉っぱを
食べて成長していきます。
一昨日より昨日、昨日より今日・・・
ほんとに驚くほどの食いっぷり!!!
みるみる、キャベツの外側の葉が
あおむしに食べられて
穴だらけになってしまいました。
子どもたちに大人気の絵本
『はらぺこあおむし』
うちの畑では今、
リアルに大食漢のあおむしが観察できます。
本来ならここで、あおむし駆除のため
農薬を撒くのですが
子どもたちの健康のためにも
無農薬にこだわりたいじゃないですか〜。
売り物の見た目重視のキャベツを
求めているわけじゃないので
キレイである必要はないんです。
虫が食っていても栄養価の高い
安全な野菜であればいい。
キャベツって
スーパーで売ってる丸いのしか知りませんでした。
人が食べるのはキャベツの真ん中に
幾重にも葉を巻いて結球している
柔らかい部分だけなんですね。
実はその外側に大きな面積の、
硬くて色の濃い葉が
ドドド〜〜ン!と育っていて
大切な芯の花茎を守ってくれています。
外葉はまるで、モンシロチョウに産卵場所を
「どうぞどうぞ」と提供しているように見えます。
そしてあおむしたちに、「食べて食べて」と
促しているかのよう。
あおむしはキャベツの外葉を食べ、葉の上に
大量の緑の小さなフンを残します。
葉についている微生物がフンを分解し、
雨や夜露がキャベツの根元に運びます。
さらにそこで土の中の微生物がフンの分解を促進して
あおむし由来の動物性のタンパク質たっぷりの
天然肥料となってキャベツの生育を
手助けしてくれるのだそうです。
あおむしを迎え入れ葉を食べさせ、
その代わりにフンをいただき、
水分や養分がすべて根元に流れ落ちるように
キャベツも白菜もブロッコリーも
みんな共通して外葉がやたらと大きい構造に
なっています。
動物は植物なしでは生きられないし、
植物は動物から養分をもらって
繁殖するのですね。
持ちつ持たれつ、お互いに支え合って栄えることで
生命が地球上に満ち溢れるんだなぁ〜と
自然の循環の神秘に感心します。
キャベツが幾重にも葉を巻くのは
あおむしが食い破って
穴を開けないようにしているのだそう。
大地のバランスさえとれていれば
あおむしは外葉は食べ尽くしても
大切なキャベツの心臓部を破壊することはありません。
畑を作っている人にとって
あおむしは天敵であっても、
キャベツにとってはよきパートナーなのですね。
だからキャベツはいつも
蝶を喜んで受け入れています。
そんなふうに両者の関係が
うまく成り立っていると考えると
穴だらけになったキャベツの
あおむし対策に躍起になるのは間違っている?
ような気がしてきました。
うちの畑の土は自然循環の最適な状態とは
ほど遠いだろうと思うので
もしかしたらこのまま放っておけば
キャベツの心臓部まで
あおむしに捧げることになるのかも
しれないけど
それはそれで受け入れるべし、かな〜。
農家の人には、一匹ずつつかまえて
潰すのが一番だと言われました。
生きたまま放つと
あおむしはまたキャベツに戻ってしまうんですって。
虫はきらい。
あおむしをつかまえる・・・
しかも潰す・・・・
ひゃああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
わたしにはできないかも。
そんな弱っちょろいことでどうするか!
農業をナメるな!
と怒られそうですが。
あおむし退治が生理的に無理というのが
本音のような気もしますが
建前上、自然界の道理に逆らうことなく
「人が作った」不自然な土壌を自然に戻そうと
がんばってくれているあおむしくんに
感謝しなければいけないのかもなぁと
キャベツの外葉を一心不乱に食べている
はらぺこあおむしをぼんやりと眺めながら
思いました。
よく「命の重さはみんな同じ」と言います。
いのちの授業ではわたしもいつもそう言ってます。
でも、畑を耕す人にとっては
キャベツを食べてしまうあおむしは害虫で、
その命は大事じゃないですよね。
でもキャベツにとっては
自分にとって有益なあおむしの命は大事かもしれなくて、
そのときの知識や自分の立場によって、
同じ重さのはずの命が、
違って感じられるんだなぁ・・・
なんてことを思いました。
自分が軽いと感じていた命も
誰かにとっては重く尊いものなのかもしれない
ということでもあるんですよね。
わたしたちは
今までにどれだけの命をいただいて
生きてきたことでしょう。
たくさんの生きものたちが、
ほかの命のために命を捧げてきたんですよね。
肉、魚、野菜、果物・・・
食べものをいただくことは、
「物」じゃなくて「命」をいただくこと。
食べものは、生きもの。
太陽が育む大地の命、
大自然で命をいただいて生きる生きものたち。
生きることは綺麗ごとじゃないからこそ、
感謝する気持ちを忘れずに生きたいと思います。
小さくても大きくてもひとつの命。
ということで
はらぺこあおむしはやっぱり
そのままにしてあげよう!
キャベツを守るため、
とうがらし液を作って
天然虫除けを試してみようか、とか
はらぺこあおむしに宣戦布告を
吹っかけようかと思ったけど
やーめた!
たとえキャベツが全滅しても
それが自然のもたらす本来の姿だから。
絵本では、
チョコレートケーキ
アイスクリーム
ピクルス、チーズ、サラミ・・・
いろんなものを食べるあおむしですが
リアルはらぺこあおむしは
あくまで緑の葉っぱしか食べません。
いろんなことを学ばせてくれた
はらぺこあおむしに感謝!
綺麗なモンシロチョウになってね。