赤ちゃんの向きぐせ
ほとんどの赤ちゃんはおなかの中で
向きぐせがあります。
世の中にまったく同じ顔の人がいないのと同じく
妊婦さんの子宮の形はみな同じではなく、
それぞれ微妙に違います。
赤ちゃんはその形に身体の向きを合わせて
一番楽な姿勢をとって過ごします。
決して左右均等にまっすぐな体勢でいるわけではなく、
妊娠末期にもなると首を左右どちらか一方に向けたまま
子宮の壁にもたれかかるようにして
じっと安定していることもあります。
切迫早産で早くから赤ちゃんがママの骨盤内に
下がってきてしまうと、長期にわたって
頭が骨盤の入り口に入り込んだままになるので
無理な体勢となり頭や首がママの骨盤や恥骨で
圧迫され続けます。
切迫期間が長ければ長いほど
圧迫を受ける期間も長くなるので
結果的に強い首の歪みが発生してしまうことがあります。
そしてお産のとき。
陣痛によって
「圧迫」「引っ張られる力」「ねじる力」が
赤ちゃんの頭に加わりますが
産道で赤ちゃんが頭を挟まれたまま
長時間が経過すると首の骨がゆがんでしまったり
変形が起きたりします。
それが向きぐせの原因だと言われています。
吸引分娩など過剰に赤ちゃんの首に
強い力が加わるお産では、さらに向きグセは
出やすくなります。
でもよく考えてみれば
そもそも生まれたての赤ちゃんは
首の筋力が弱い=首がすわっていないわけだから
胎内や出産時の圧迫などがそれほどなかったとしても
まっすぐ上を向いたまま首をキープ、
直立不動の姿勢で寝る!
なんて高度なことは
できなくて当たり前・・・なんですよね ^ ^
赤ちゃんの頭、ちょうどおでこの上あたりには
「大泉門」という菱形の骨の隙間があり、
1歳半ぐらいに閉じるまでの時期は
頭蓋骨が動きやすくなっています。
だから生まれたときに少しぐらい
頭が変形していたとしても
成長とともに極端なゆがみや変形は
ある程度改善されていきます。
そうはいっても、
いつも同じ方向ばかり向いていると
柔らかいゆえに頭の形は
ますます歪みやすくなってしまいますね。
赤ちゃんは明るい方、
音のする方、家族のいる方に興味を示すので
向きぐせとは反対のほうに楽しいことがたくさん
あるような環境作りを心がけ、
向きぐせの方向には壁しかないようにするなど
寝かせ方を工夫しましょう。
頭が絶壁にならないように、と
ドーナツ枕を使っている人もいますが、
わたしはあまりオススメしていません。
ドーナツ枕は赤ちゃんの頭回りが囲われてしまうので
通気性が悪くなって蒸れや湿疹の原因になりやすいです。
また高さがあるので、頭がドーナツのくぼみに
ストンと落ちてしまい、
首や頭の自由な動き、発達を妨げることがあると思います。
そもそも、向きぐせを直すのに頭だけを
まっすぐな方向に戻して寝かせようとしても
赤ちゃんは嫌がって泣くか、
意地でも向きたくないほうは向かない!
向いてなるものか!
の、どちらかだと思います。
頭だけを向きぐせと逆に向かせるのはなく
背中にくるくる巻いた毛布を当てがって、
身体全体を向きグセとは反対方向の
横向けにしてしまいます。
赤ちゃんが起きている状態、
ママが目を離さない前提で
1日何度か腹ばいにするのもおすすめです。
要は床に頭がくっつかない姿勢でいる時間を
増やせばいいのですね。
さて、向きぐせの強い赤ちゃん
問題になるのは
「おっぱいがうまく飲めない事件」です!
向きたくない方向に強制的に向かせても
赤ちゃんは上手に口が開けられません。
苦手な方向のおっぱいをくわえようにも
身体が安定せず、舌を乳頭に巻きつけることも
うまくできないので
イライラしてギャン泣きモードに
入ってしまいます。
このような場合
向きグセのある赤ちゃんへの授乳には
ちょっとしたコツがあります。
例えば赤ちゃんが頭を右へ向けるくせがあったとすると
左のおっぱいを飲むときは
右向きの向きぐせに逆らわないので簡単ですが、
右のおっぱいを飲もうとすると
赤ちゃんは向きぐせとは逆の左を向かなければならず、
くせに反するために器用に飲めない事態になります。
向きぐせのある方向のおっぱいを横抱きで
飲ませたら、反対側の向きぐせに逆らう方のおっぱいは
くせの方向のまま、赤ちゃんを横にスライドさせます。
向きぐせ方向は、横抱き、
向きぐせと反対方向は、フットボール抱き
ということになりますね。
向きぐせの強い赤ちゃんへの授乳
ぜひお試しください。