リスキーな元旦断乳

「大晦日から断乳開始したので断乳後ケアを
お願いします！」

「元旦からおっぱいをやめました！
ケアをお願いします」

年末年始から断乳をスタートした
というママたちが
続々と断乳後のケアのご希望で来院されています。

なかには突然の断乳から
乳腺炎になってしまった人もいて、
毎年恒例、おっぱいトラブル続出のばぶばぶです。

元旦から断乳開始して乳腺炎になってしまった！
というママに
「どうして１月１日からにしたの？」と訊ねたら

「だってお正月だし
なんとなく心機一転で。
ご馳走も食べたかったので。」

あっけらかんとした答えが返ってきました。

１歳半の子どもに、断乳前、
事前の言い聞かせはしていたのかな？

「え？なんですか、それ？」

「お正月だし♪」という、思いつきの理由で
突然断乳を決行しちゃったらしいのです。
しかも、子どもになんの事前予告もなく・・・。

断乳したから、もういろんなもの
食べてもいいと思って
おもちも食べたし、脂っこいものも、
アイスクリームも、お菓子も
今まで我慢してたもの、いっぱい食べたのが
アカンかったんですかね？

なんでやね〜〜ん！
そりゃ乳腺炎、なるわな。

これが“自然卒乳”なら乳腺炎になることはまずないし、
卒乳直後に暴飲暴食をしても
おっぱい的には、とくに問題は起きません。
子どもも泣きわめくことはなく
母子ともに平和なおっぱい卒業になります。

でも、子どもがまだまだ
ガッツリおっぱいを飲んでいる時期の
“断乳”の場合は、軽い気持ちで開始すると
思わぬ大波乱が待ち受けるケースもあります。

断乳してから自分で搾ったりした？

はい！
張ってきて痛かったので
お風呂の中で温めながら搾りました。
それがアカンかったんですかね？

なんでやね〜〜ん！
そりゃ乳腺炎、なるわな。

断乳する場合、季節としてはできれば真冬と真夏は
避けていただきたいです。
今シーズンは暖冬なので、例年に比べたら
インフルエンザ、ロタウイルスなどの流行も
まだあまり耳にしませんが、
通常、冬は空気が乾燥し、ウイルスが活性化する季節です。
断乳すると、それからしばらくは
抵抗力、免疫力が低下して、
子どもは病気をしやすくなります。

真夏も同様に、暑さで脱水を起こしやすいことに加え、
夏に流行るウイルス感染症、アデノウイルスや
プール熱、ヘルパンギーナに手足口病・・・
これらの病気にかかって食事が摂れなくなっても、
おっぱいさえあれば治るのも早い！！
入院騒動になるリスクも減る！！
なので、真冬同様、夏の断乳も可能であれば
避けたほうが無難です。

旦那さんの長期お休みのときにうまく合わせて
断乳を開始すればいろいろ手伝ってもらえるかな？
というママの気持ちはよくわかるのですが、
なんせ、しようとしているのは
“自然卒乳”ではなく“断乳”です！

断乳が決して「悪」ではないことは、
ブログ内で再三お伝えしていますが、
断乳はおっぱいにとっても子どもにとっても
「自然の流れ」に逆らった
人為的操作であることは確かなので
実施すると決めたからには、
開始する季節や日程をよく考えてから
どうか慎重に進めてほしいと思います。
安易に開始することは、冒頭のママのように
乳腺炎を発症してしまう可能性があることを
お忘れなく。

断乳直後のおっぱいをお風呂で温めて
バンバン搾るとか、

断乳直後にお正月料理、パーティームード、とか。

それ、アカンことばっかりです・・・。

ママが何も知らなかったとはいえ、
めっちゃリスキーな断乳開始を
しちゃったママたちが多くて
ドキドキしっぱなしの仕事始めでした。

例えば、赤ちゃんの離乳食は
午前中に１回食をしましょう、と言いますよね。
あれはなぜかというと
初めて口にする食材でアレルギー反応等が
出てしまったなど、
小児科が開院している午前の時間帯なら
何かハプニングが起きたとしても、
すぐに駆け込むことができるからです。

断乳も同じ。
どうしても「お正月が断乳のタイミングだ！」
というのなら、予測外のおっぱいトラブルに
なってしまったときのことを想定して、
お正月も駆け込める助産院（母乳外来や母乳相談室）の
確保をしてから断乳開始をお願いします！

断乳は計画的に。
子どもへの断乳予告、
言い聞かせ準備期間はせめて１ヶ月ぐらいは
持ちましょう。

おっぱいにも子どもにも
なるべく負担のない、
幸せで前向きな断乳を願っています。