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2022.07.04

産科麻酔となかよく付き合おう!

産科で使われる麻酔と聞いて
真っ先に思い浮かぶのは

無痛分娩
帝王切開

なのではないかと思います。

でも、意外かもしれませんが
会陰切開するときや
会陰裂傷の縫合のときにも
局部に注射で麻酔薬を注入、
鎮痛してから処置していくので
実は出産時には、ほとんどの女性が
『麻酔』のお世話になっています。

ほかにも、
不妊治療の採卵のときにも麻酔を使います。
流産の処置や人工妊娠中絶でも麻酔をします。
妊娠中だと、羊水検査など母体への負担が大きいとき、
産後だと、出血が多いときに止血するときなど。

こうやって考えると
産科麻酔はわたしたちにとても身近に関わっている
ことがわかりますね。

無痛分娩や帝王切開などの
出産時に使う麻酔は基本的に
下半身の痛みの感覚が鈍る局所麻酔です。
(硬膜外麻酔・くも膜下腔麻酔)

妊婦だから特別な麻酔薬を使う
ということはなく
妊娠していない人に使うのと
基本的に同じものを使います。
そして行っている手技にも違いはありません。

ただ、妊婦に使う場合、
麻酔をしている対象者が妊婦さんだけじゃなく
おなかの赤ちゃんのことも
考えてあげなければいけないので
とても慎重に使う量を調節したり
薬の濃度を調節したりしていきます。

たとえば、無痛分娩のときは
下半身の痛みはとるけど
ママがいきんで赤ちゃんを生み出す必要が
ありますよね。

薬が効きすぎて下半身が
動かなくなってしまったら
分娩の進行を妨げてしまうので
痛みの感覚はとるけど
運動の機能は残しておかなければならず

一般的な、ただ痛みをとるための麻酔よりも
さらにデリケートな処置が
必要になります。

また帝王切開は局所麻酔を
使うことが多いですが
さまざまな理由から
全身麻酔を行うこともあります。

例えば緊急帝王切開の中でも
とくに緊急を要するとき。

赤ちゃんやママが具合悪くなって
急いでいるときには
短時間で効き目が現れる全身麻酔が選択されます。

また、ママが血液が固まりにくい体質や
そのようなお薬を使っていた場合。

背中から針を刺したり管を入れる局所麻酔をすると
背骨の大きな神経の近くに血が溜まり
神経を圧迫することがあって危険なので
全身麻酔を選択します。

大量に出血していたり
脱水があるときにも局所麻酔は
急激な血圧低下をもたらすことがあるので
全身麻酔です。

全身麻酔の場合には
麻酔薬が胎盤を通しておなかの赤ちゃんに
移行する可能性があるため
赤ちゃんが眠くなったり
生まれたあとしっかり泣くのに
少し時間がかかったりすることがあります。

ママにも、赤ちゃんにも
悪い影響が出ることがないように
麻酔の量を調節しながら
麻酔中のママの状態に細心の注意を払い、
慎重に行っていくので

赤ちゃんの成長を長い目で見れば
麻酔の使用はほんの一時だけのもの。
その後の赤ちゃんの成長発達に影響することは
考えられません。

どんなお産でもなんらかの理由で
無痛分娩や帝王切開に切り替わる
可能性はあります。

そして、
お産の方法とそのときの母子の状態によって
選択される麻酔も複数。

もうちょっと自分ががんばれば
帝王切開せずに経膣分娩
できたのではないか・・・

普通に産んであげられなかった

と自分を責める
ママからの相談が多いのですが、

医療にはすべてそうすべき意味、
そうべき理由があるのです。

それをする必要がないのに
無意味な医療介入をするようなことは
断じてありません!

赤ちゃんは必死でがんばっています。
ママも必死でがんばっています。

そんな状況下、
ママ、赤ちゃんどちらか、
もしくはその両方に
これ以上がんばらせたら危険と判断されたときに
的確に医療が介入するのであり、

根性論で、妊婦がもうちょっとがんばれば
どうにかなることではなかったのだ
理解してもらいたいと思います。

日本ではいまだに
出産はおなかを痛めてこそ
という考え方が根強いです。

なので、無痛分娩や帝王切開で
出産したママが後ろめたさを感じる人も
まだまだ多いのかもしれません。

あなたと赤ちゃんにとって
ベストを尽くした結果の医療介入は
誇りに思っていいことです。

もっとも大切なのは
ママと赤ちゃんが無事であること。

どんなプロセスで産んだかは
重要ではないし、
どんな方法でも、
赤ちゃんへの愛情は同じです。

無痛分娩を選択すると
「甘えてる」「ママなのに」
「弱い人間」「赤ちゃんより自分優先」
「普通じゃないお産」などと
とらえる人もいまだにいるみたいですが
日本人、考え方が極端すぎなんですよ。

例えば、
暑い季節に命の危険にさらされながら
クーラーつけずに蒸し風呂のような部屋で
耐え忍ぶことに何の意味があるのでしょう?

クーラーは甘え?
快適な空調にするのは弱い人間のすること?

歯医者で虫歯の治療をするのに
麻酔をかけるなんて負け犬のすること?

産科での医療介入、麻酔も
それと同じことだと思います。

世界のスタンダードな考え方は

『医学的に禁忌でなければ
麻酔で痛みは取り除くのが当たり前』

です!

吸引分娩、鉗子分娩、
誘発促進分娩、計画分娩、
無痛分娩、帝王切開

いろんな出産方法がありますが、
赤ちゃんを産むのはママです。
主役はママなんですよ!

誰にも後ろめたさを感じることなく
出産方法を自由に選択できるような
社会になっていってほしいし、
産科麻酔は怖いものではない、ということを
もっともっと知ってもらいたい。

それが
産科医療に携わる医師や助産師の願いです。

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