親の偉大さ・責任・覚悟
先日、
あどけなさが残る夫婦と関わる機会がありました。
妻のおなかには
宿ったばかりの赤ちゃんがいます。
前後の見境もなく突っ走った末の結婚、
無計画な妊娠・・・
決して自立しているとは言えず、
旦那も若くて
収入さえも安定していません。
世間知らずで大人になりきれていない2人に
本当に産む〝覚悟〟があるのか?
親としての〝責任〟がとれるのか?
これから待ち受ける現実を直視できているのか?
2人を取り巻く現時点での状況だけに着目すれば、
危なっかしくて見ていられません。
でも、話を進めていくうちに
彼らの決意が相当に固いことを知ることになりました。
今は、まだ若いけど。
今は、お金もないけど。
未熟なりに、一生懸命に
これからのことを考えている夫婦の決意に触れました。
中途半端な気持ちではないこともよくわかりました。
賛成はできないものの、
応援していく方向に気持ちが変わりました。
『親は子どもの上に立って
人としてあるべき偉大な姿を見せなければならない』
わたしは昔
そう思っていました。
『親としての責任』
改めて文章にしてみると
重すぎてぶっ倒れそうになりますよね。
そもそも〝責任〟って何?
「責任をとる」を噛み砕いて言うと、
「責めを背負うこと」
「制裁を負わされること」
じゃあ、子どもを産み育てるっていうのは
怒られまくって、責め負われまくる苦悩の生き方を
自ら選ぶってことでしょうか。
こわ・・・
めっちゃ恐ろしいですね。
言われなくても、無意識下で
わたしたちはみんな〝覚悟〟をもって子育てしてます。
間違いなくそうでしょう。
〝覚悟〟って言葉にすると怖いけど、
ほんとはいたってシンプルに
みんなが普通にやってることなんだろうと思います。
何かやらかしたら謝るだけじゃなくて
ちゃんと軌道修正して解決策を模索する。
自分の周囲の人たちを不安にさせることのないように
一生懸命に取り組む。
子を産み、育てる〝覚悟〟というのは
「責任を負う覚悟」ではなくて
「やらかしても後悔せずに
反省して改善策を模索し、行動で示し続ける覚悟」
ととらえたほうが正確かもしれません。
20年間、子育てをしてきてつくづく思うのは、
わたし、たいした人間じゃないよなぁ~
ということです(笑)
感情に任せてキレるし、
いつまでも昔のことでウジウジしてるし。
『人としてあるべき偉大な姿』
は、ないけど
『人としてがむしゃらに生き抜いてきた姿』
これなら堂々と見せられます。
〝偉大〟というのは調べてみると
極上・超一流・最高の主導者・卓越した・際立って立派
並外れている・ぶっちぎり・ずば抜けて優秀
恐れ多い言葉が羅列してあって
緊張のあまりフリーズしそうです。
子どもの胸の中に秘めた想いを
敏感に感じ取ることもできずに
無神経な言葉を投げてしまったり、
早とちりして一方的に子どものしたことを
否定的にとらえてしまったりして・・・
あ~・・・
またやらかした・・・
そんなことの繰り返し。
本当に20年間、ずっと繰り返してきました。
そして今だに記録更新中です。
勘違い、思い込み、価値観の押し付け、
いわゆる〝偉大〟なママとは雲泥の差、
矛盾だらけの中途半端な自分を
感じずにはいられません。
でも、子を持つ親だから、
いつも正しいなんてことはありえません。
親の年齢は、
ある意味まったく関係ないだろうとさえ思います。
失敗してばかり、間違いだらけ。
それでも、自分の決めた生き方だから。
一生懸命、子どもに、妻や夫に
そして自分自身に向き合っている・・・
大事なのは、〝偉大〟であることではありません。
あなたが〝精一杯〟であることなんですよ。
出来栄えがどうあれ、
しょぼくても、不十分でもいいのです。
そんなことは、どーでもいい。
たいした話じゃないです。
子育てには
裏と表、絶頂と転落、光と闇、明と暗、
栄光と挫折、功績と罪過、不安と光明
周囲から見て、どんなに優秀そうな親にも
必ず、相反するものがあります。
未熟なママだけど、本気で子どもにぶつかっているかな?
幼稚なパパだけど、真剣に子どもに向き合っているかな?
非力なママだけど、全力で子どもを直視しているかな?
至らないパパだけど、汗だくで子どもに応えようとしているかな?
不器用でも、能力不足でも、
必死でがんばる自分がそこにいるのなら、
あなたは十分に素敵な親なのです。
それは〝偉大〟と呼ぶにふさわしい姿だと思います。
「責任をとるために辞める」
縁を一方的に切って逃げることは
〝責任〟と言えるのか、はなはだ疑問ですが
仕事の世界では日常茶飯事ですよね。
辞めたら責め負われなくなるって、
なんとまぁ素敵な話~。
でも、
子育て、そうはいきません。
失敗したから、迷惑かけたら
「親、やめま~す♡」
・・・って、なんでやねんっ!
「自分はダメなママだ」
「最低な親だ」
ネガティブなことばかり言って
立ち止まっているだけじゃ、
誰もあなたを応援してくれなくなります。
失敗したから、
怖いから前に進むのを躊躇する・・・
一旦決めたことに、グラグラして後悔する。
それは「辞める」ことに相当します。
チャレンジしなければ
よくも悪くも状況は変わらないので
なんとなく風化して責められなくなるかもしれないけど、
誰もがきちんと納得していないままの現実逃避だから
結局は、子どもとの信頼関係さえも
消えてしまうかもしれません。
〝覚悟〟がある人は
覚悟を決めた以降で何が起こっても
後悔したり悩んだりしません。
〝覚悟〟がない人は
途中の過程で起こることを受け止めて後悔したり
悩んだりします。
〝覚悟〟があって〝責任〟をとれる
〝偉大〟な親とは
非難や失敗を正面から受け止めることではありません。
どうすれば、次に同じことが起きずにすむか考えて、
なぜその判断にいたり、
今後どうするつもりなのかを具体的に選択し、
応援してくれる周囲の人に
何度も何度も、相手が納得するまで説明しつづけ、
有言実行、態度で示し続けることのできる
人のことだと思います。
30代、40代の親たちなんか、もろともせず、
あなたたちはあなたたちの方法で
堂々と自信をもって前に進んで行ってくださいね!
「親になる覚悟」を決めた若い夫婦は
それだけで才能なのかもしれないって
思いました。
「きっとできない」
なんて決めつけたらあかんね。
がんばれ!
ずっと見守ってるぞ!