2歳すぎてもおっぱい。あかんかな?
1歳になるまでは、
「母乳は神!母乳こそ最上級!」
やたらと母乳、母乳と、もてはやされるのに、
1歳すぎると急に
「え?まだ飲んでるの?」
母乳育児に対する世間の目は、
ある時期を境に、180度真反対になります。
「いつまでも食べない理由は
おっぱいばかり飲ませているから」
「おっぱいのせいでこの子は甘えてばかり。
自立できなくなるよ」
「1年以上経ったおっぱいなんて
栄養もないただの水」
「おっぱいを泣き止ませるための
便利な道具に使うなどママの自己満足」
「夜間授乳が多いことで
子どもが睡眠障害になってかわいそう」
「生後半年すぎたら
授乳間隔をあけていかないと
離乳食が進まない」
「歯が生えてもまだおっぱいなんて
虫歯を誘発するだけ」
長期授乳をめぐるおっぱいの諸説は
本当にたくさんありますね。
社会の風潮がこんな感じだから、
長期授乳をしているママたちが
肩身が狭くなるのは当然のことだと思います。
卒乳の適切な時期についてはさまざまな意見があります。
母子の精神的なかかわりを考えて
子どもが欲しがればいつまでも与えてよいという意見や
栄養や免疫などの面を考えて
2歳まで母乳を与えるべきであるという意見など、
長期的な授乳を肯定する意見に対して、
長期授乳は甘えやわがままを許すことにつながるので
早く卒乳するべきであるという意見など、
長期授乳を否定する意見を聞くこともあり、
卒乳の時期に対しての考えは意見が分かれるところです。
立場が変われば意見も変わる
それはしかたがないことかもしれません。
なので、結局は
「ママがどうしたいか」が一番尊重されるべきだと
わたしは思います。
さまざまな場面で祖父母やママ友、
医療従事者や子育ての専門家に
長期授乳のマイナス要因ばかりをしつこく指摘されると
グラッときてしまうのも無理はないと思いますが
根拠のない意見は聞き流せばいいのです。
直感として「続けたい!」って思うママは
自信を持っておっぱいを続けてもらえばいいのです。
2016年『卒乳に関する保護者の意識調査』では
1歳6ヶ月健診で授乳をしている子どもと
卒乳している子どもの比率は1:2でした。
つまり150人いれば
50人はおっぱいを続けていて
100人は卒乳している
というのが、今の日本の現状です。
授乳をしている子の内訳を見てみると
夜の寝入りで飲んでいる子がほぼ全員。
ついで夜間授乳が8割。
子どもが欲しがるから与えたい。
栄養や免疫を考えて与えたい。
今後も子どもが満足するまで授乳を続けたいと
考えているママは7割という結果でした。
おっぱいを飲んでいない子をみると、
幼児食を食べるようになって
子どもが欲しがらなくなり
自然に卒乳したパターンが8割以上。
残り2割は、
復職や次子の妊娠
それこそ世間の風当たりで
なんとなくやめないといけないと思ったり
医師や保育園の先生の助言など
子どもの意思ではなく、その他の理由によって
欲しがっても与えない「断乳」でした。
2003年以降、授乳をやめることの表現が
「断乳」から「卒乳」へと変わったことで
子どもが欲しがれば無理に授乳をやめる必要がないと
考えるママが増えている気もします。
卒乳の適切な時期に関しては
さまざまな意見があります。
WHO(世界保健機構)とUNICEF(ユニセフ)は、
・母乳は離乳食よりも質の高い栄養素を含んでいる
・赤ちゃんを守る免疫物質を与え続けることができる
・病気など、食べられない状況のときも母乳は重要な栄養源になる
・病気にかかるリスクが減少する
これらの理由から
2歳かそれ以上授乳することを勧めています。
WHOの推奨を受けて
日本でも2歳までは
授乳を続けることを勧める考え方があります。
WHOが2歳まで授乳を続けることを推奨する主目的の1つは、
開発途上国での栄養不足などによる
子どもの死亡を防ぐことです。
乳児死亡率が極めて低い先進国の日本において,
栄養管理という観点から
2歳まで授乳を続ける必要があるのかどうかは
意見が分かれるところです。
とはいえ、
1歳前半までの子どもなら
母乳から摂取できるエネルギーは必要分の半分以上だし
2歳前後の子どもなら
母乳から摂取できるエネルギー源は必要分の
1/3以上と言われています。
いずれの年齢でも
母乳からはずっと継続して
質の高い、バランスのいい栄養素を
与え続けることができるのです。
厚生労働省の『授乳・離乳の支援ガイド』では
1歳6ヶ月ぐらいまでに卒乳することが望ましい
と書かれています。
「おっぱいをやめたら食べるようになる?」
確かに、断乳すれば食べることでしか
栄養摂取ができなくなるので
子どもは食べるようになるはずです。
ただし、これにはひとつ
大きな落とし穴があります。
「なんでもバランスよくしっかり食べてくれるのか?」
1歳半以降は子どもは自我が現れてきます。
嗜好、そのときの気分、食べ物の見た目などから
おっぱいをやめたら食べるようになったけど、
炭水化物しか食べてくれない!
野菜は一切食べてくれない!
おっぱいを無理にやめることで、
授乳中にはまったく悩む必要がなかった
『さまざまな質の高いバランスのとれた栄養素』
の摂取が難しくなることがあるのです。
断乳することで起こり得る
極端に栄養が偏る可能性に
多くのママが気づいていません。
そもそも日本語の
「離乳食」というネーミング自体が
科学的ではありません。
食べる=離乳
ではないんですけどね・・・。
世間の「断乳の勧め」の風潮に流され
ママが卒乳させたいと焦っていても
思い通りにはいかないことも多いです。
おっぱいのやめどきは
子どもの食べる機能の発達、
心の発達の個人差に合わせて自然に進むほうがよいのは
言うまでもないですね。
つまり、子どもの発達の個人差を考えずに
月齢だけで一律に見切り発車する断乳は
スムーズにはいかないことも多いということを意味します。
泣かれると周囲に迷惑がかかる
おっぱいの状態を考えて
また、住宅事情や家族構成などの家庭環境や
ママの母乳の出方も卒乳の遅れに
影響する可能性があります。
その他、
スキンシップや子どもの安心感のためという意見も多く、
ママが授乳による精神的な母子のつながりを
重視する場合も卒乳が遅れます。
でも、長期授乳には「単なる栄養源」以外の効果が
たくさんたくさんあって、
2歳になっても、栄養素としても十分に
子どもの体内で活躍してくれる、
それが長期授乳の意味なのです。
「母乳育児をいつまで続けていいのか?」
その答えは、ないのだと思います。
ママに苦痛がなく、
子どもが欲しがるのであれば、
母乳育児の「やめどき」など
本来は悩む必要もないのかなぁと思います。