HISAKOのお産(第8子)前編
7人目出産後、産後のリカバリーヨガ、
ベビーヨガに勤しみ、
インストラクターの資格をとりたい気持ちは
さらに強くなっていきました。
助産院で産むことも、
一度は身を引いたものの
やっぱり諦めきれないまま
8人目妊娠が発覚しました。
ちょうどそのタイミングで、
仕事でお世話になっている助産師さんが
数ヶ月後に分娩取り扱い助産院を開業すると聞き、
こりゃもう、リベンジだ!
お願いするしかない!!
さっそく直談判しました。
8人目の妊娠というのは
実はハイリスクなんです。
4人目までは「経産婦」と呼びますが
5人目以降は名称が変わります。
なんて呼ぶかご存知でしょうか?
「多産婦」です!
多産婦になると、
当然、妊婦が高齢になってくるケースが多いです。
わたしは8人目妊娠発覚時、35歳でした。
(若いな笑)
さらに、上の子どもたちがたくさんいるので
母親業だけでもハンパなく忙しく、
ゆっくり妊娠中の身体を
いたわる暇などありません。
確実に、一般的な妊婦さんより
酷使していると思われ、
当然、妊娠高血圧症候群や切迫早産など
妊娠中のトラブルは起きやすくなります。
また、前置胎盤は
多産婦によく起こることも知られています。
子宮筋疲労による
分娩遷延、弛緩出血のリスクや
急追分娩(一気に産み落としてしまう)や
巨大児、低出生体重児のリスクも
増加傾向になります。
わたしが産科に勤務しているとして、
8人目妊婦のお産を介助してくれと言われたら
さまざまなリスクが頭をよぎるため
かなり緊張すると思います。
そういう専門家目線の諸事情をわかっていながら
高度な医療行為を行わない助産院でのお産介助を
お願いに行く時点で、
「何考えとんねん」
かもしれませんが・・・
7人目まで、多産が引き起こす合併症は
何もなかったし、
そういう意味では、多産がもたらすリスクは
多少軽減されるかと・・・都合のいい解釈。
(もちろん異常は突然起こり得るので
過信はもってのほかです!)
開業後はじめて扱うお産が
わたしの8人目になるとのことでした。
しょっぱなから濃い仕事ですよね。
ほんと申し訳ないと思いましたが、
彼女は快く(?)引き受けてくださいました!
今までの妊娠では、10kgぐらい増えていました。
甘いものも食べてました。
でも、8回目の今回、
助産院で産むと決めたからには
お世話になる助産師さんに迷惑かけられません。
徹底して自己管理やってみようと決めました!
妊娠中になんらかの問題が起きれば
助産院でのお産は叶いません。
残念ながらそのまま
嘱託医のいる病院へ転院となります。
また、出産予定日1週間以上超過(41w0d~)でも
助産院出産は不適応になります。
ビッグベビーが生まれることは、
ある程度は遺伝的要素や
親の体格などが関係しています。
肥満妊婦から生まれた赤ちゃんは巨大児が多いです。
肥満ではないけれど、
妊婦の体重が増えすぎたケースでも
胎児が高血糖にさらされるため
大きな赤ちゃんが多くなります。
5人目妊娠時に
別の助産院で言われた言葉
「あなたが太りすぎるから
赤ちゃんがぶくぶくに浮腫んで生まれてくるんでしょ?」
その言葉が、
ずっとひっかかっていました。
心に溜まったままのモヤモヤした想いを
自分の中でクリアにし、
前に進みたい気持ちもあり、
8人目は自分のすべてをかけて
毎日しっかり歩き、食事は徹底して管理し、
これ以上ないというぐらいに頑張りました。
間食は一切やめました。
大好きなパンさえ、おあずけ。
食事は和食オンリー、外食なし。
そんな修行僧のような日々を送りました。
その甲斐あってか
臨月の体重増加は、妊娠前よりプラス2kg。
つまり、おなかの赤ちゃん分の重さ、
胎盤や羊水、子宮そのものの重量を差し引けば、
妊娠して母体は痩せる、という状態ですね。
遺伝的に大きい赤ちゃんはしかたがないにせよ
これだけコントロールしたんだから、
せいぜい3600g程度?!
臨月に入ったころに
建築中だった助産院の建物がようやく完成し、
分娩受け入れ態勢が整いました。
予定日が近づくと
助産師さんがときどき電話をくださいます。
「どんな感じ?まだっぽい?
あのねーわたし今からちょっとお酒飲みたいからさ
赤ちゃんに今晩は遠慮してねって伝えといて~」
「あ。わかりました。
飲酒分娩介助、イヤなんで。
赤ちゃんに今夜はダメって伝えときますー」
無意味な会話のようですが、
不思議なことに
案外おなかの赤ちゃんは
大人事情を聞き入れてくれるんですよね〜。
そしてその日はやってきました。
明け方、破水。
次第に陣痛らしきものが始まりましたが、
まだ朝5時なので、あと1時間
みんなを起こしたくなかったので
ひとりで様子をみることにしました。
さすがに8人目なので
現在の状態が「ヤバイ」のか「まだいける」のかぐらいは
判断できます。
陣痛は始まっているけど「まだ待てる」
助産師さんもギリギリまで寝かせてあげたかったので
連絡は入れず。
朝6時半に「そろそろヤバイかな〜」と
思ったので、ようやく子どもたちを起こして
助産院にも電話。
助産院に移動し、
普通の和室にお布団を敷いてもらい、
バランスボールに座って
ぽよんぽよんしながら陣痛を味わいました。
家族と、それからなぜか
仲良くさせてもらっている近所の小学生、
そのママさんもそこにいて(笑)
「学校行かせるよりこっちの方がずっと
勉強になるから立ち会わせて」
そうやな~
それならあんたら、
最後までしっかり見ときや!!
ということで、公開分娩に。
7人目のお産から1年2ヶ月、
さらに深めたヨガの精神で
陣痛の波と赤ちゃんの欲求に身を委ねます。
そこにはもう
至福しかなかったです。
「変な人・・・」と思われるかもしれないけど
実際そうなんだもん。
子宮口全開大した瞬間が
感覚でわかりました。
赤ちゃんが骨盤をくぐり抜け
ゆっくり回旋しながら
下がってくる感じも、リアルな映像で見えました。
助産師さんは
「好きなように産みなさい」
と言ってくれて
ほぼわたしの身体には触れませんでした。
いきみたくなったので
バランスボールに抱きついて
四つん這いの姿勢になりました。
もう赤ちゃんの頭が見えていました。
そのままいきまず、
フーっと息を吐きながら
赤ちゃん誕生の瞬間を感じました。
いきなりお産に立ち会うことになった
近所の小学1年生は、
次男と一緒に大興奮。
「おばちゃんの下の毛が伸びてきた~!!」
ちゃうわ!
それは赤ちゃんの髪の毛や!
そんな冗談を飛ばしつつの
それはそれは
厳かな(?)お産でした。
後日、1年生のお友達の担任の先生から
「おばちゃんの下の毛が・・・!」
彼がそればかり教えてくれるんですけど、
どういうことですか?
と聞かれました。
1年生男子の照れ隠し。
彼にとって、新しいいのちの誕生は
言葉にできないほどに感動と興奮の瞬間だったのですね。
かわいいですね~♡
さて。
徹底的な摂生の結果、
赤ちゃん出生体重はいかに?!
3900グラム
うそやろ・・・
なんでなん・・・(^◇^;)
わたし2kgしか体重増やさなかったのに。
あんだけがんばっても
やっぱりビッグベビーやんっ!
結論
『妊娠糖尿病などの合併症がない場合、
どんなに妊婦が体重コントロールをしても
遺伝的に、体質的に
大きい赤ちゃんが生まれることもある』
よって、わたしのビッグベビーたちは
決してわたしの不摂生ダメ生活のせいで
大きくなったわけではない!
ということが明らかになりました。
どうや!
あのときの助産師!
わたしの子たちは、
『ぶくぶく浮腫んで生まれてきた』
わけじゃないよ!
『スクスク育って生まれてきた』
んだよ!