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2019.08.27

ミルク足しても母乳は出なくならんよ!

退院したばかりの赤ちゃんとママ。

母乳で育てたくて
ママは妊娠中からおっぱいのことを
ずいぶん勉強されていました。

「ミルクは与えて欲しくなかったんです。
なのに、産院では勝手にミルクを飲まされていたんです。
ひどくないですか?
ミルクを飲ませたら母乳が出なくなるのに・・・!」

うーん・・・
彼女の主張は、
半分合ってるし、半分間違ってるなー。(^_^;)

わたしが助産師学生だった1990年代後半は
まだ母子別室の産院も多く
授乳は3時間ごと
7時、10時、13時、16時、21時、22時・・・
ママは一律、3時間ごとに授乳室に出かけていました。

授乳前後で体重を測って
直母量を計測、
足りない分のミルクを毎回補足。

夜中、1時、4時の授乳は
ママには休憩してもらい、
赤ちゃんは新生児室にお預かりで
代わりに助産師が規定量のミルクを与えていました。

当時は希望者のみ母子同室でしたが、
「しんどくなったらいつでも赤ちゃん預かりますよ」
とてもアンニュイなスタンスで
気楽に預けたり、ミルクを足したりしていました。

2000年代に入ってから
母子同室が一般的になりました。
産院のお部屋も個室が主流になっていきました。

母乳のメリットは
さらに大きくクローズアップされるようになり、

『ひたすらおっぱいを吸わせれば
母乳はどんどん分泌量を増していく』

という乳房生理学の基本姿勢が定説となり
生まれたばかりの入院中の赤ちゃんにさえ
糖水やミルクは足されず
母乳だけ与える方針の産院や

冒頭のママのように
母乳育児を強く希望されるママも増えました。

今は、ネットなどで簡単に母乳に関する情報を
得ることができるようになりましたが

一部の情報源には

「母乳育児こそがママとしての最大の使命である」
「母乳こそが赤ちゃんにとって最高の栄養である」

「ミルクを足したら負けだ」
「ミルクを足したら母乳が出なくなる」
「ミルクの赤ちゃんはブクブク太る」
「ミルクの赤ちゃんは知能レベルが低くなる」

など、
ミルクに関するネガティブな価値観が蔓延し、
母乳信仰的な価値観が一人歩き・・・

中立な立場から母乳とミルクを語っていない
極端なサイトも見受けられます。

『ひたすらおっぱいを吸わせれば
母乳はどんどん分泌量を増していく』

理論的には間違っていないのですが
最初の数日は吸わせても
なかなか分泌しないのが普通です。

母乳だけでがんばろうとすると
直母回数は相当な数になることもあり、

赤ちゃんはずっと泣いていて
満足げに寝てくれることはありません。

産後の体力と気力の大部分を
頻回授乳と赤ちゃんを寝かせることばかりに
吸い取られてしまい、ママはヨレヨレに・・・。

それでも、どんなにフラフラになっても、
頑なに「ミルクは足したくない!」
のですよね・・・。

さて

産後すぐから
乳房生理学的な理論に基づいて
母乳栄養を徹底したママと

産後まもなくは
ミルクにも頼りつつ、適当な混合栄養で
やってきたママを比べたとき、

その後の母乳育児率にどれだけの差が現れるのでしょうか?

具体的に統計を取ったわけではないので
あくまでもわたしの主観なのですが、
経験感覚的には、
両者の6ヶ月後の母乳育児率に
差はまったくないような気がするんですよね・・・。

ばぶばぶに通っておられるママたち
最初から完全母乳の人は圧倒的に少なく
産後3ヶ月ぐらいまでかけて
だんだん母乳寄りになっていく人が多いです。

「吸わせなければ出なくなる」
「ミルクを足すと出なくなる」

この理論を、
どうか正しく理解してほしいのです。

授乳回数1日8回を
下回らないように気をつけてくれさえすれば、
ミルクを足しても母乳分泌量が減ってしまうことは
ありません。

1日5回を下回るような授乳回数では
当然母乳は出なくなっていきます。

また、ミルクだけ与えて、
おっぱいを吸わせなければ当然出なくなります。

『吸わせなければ出なくなる』
『ミルクを足すと出なくなる』

『ひたすらおっぱいを吸わせれば
母乳はどんどん分泌量を増していく』

これらの正しい解釈ができれば、

新生児期から「ミルクは絶対足さない!」
を厳守する意味ってなんだろう?
そのこわだりに、なんの効果があるんだろう?
という疑問になるわけです。

産後はママが休みたいと思うときに
その気持ちを遠慮なく言える環境は
大事だと思います。

最初にミルクを足していても
おっぱいオンリーにしていくことは十分に可能だから、
産後まもないママたちが
ミルクに手を出すことに罪悪感を抱かずに済むように、
正しい解釈を伝えてあげる必要がありますね。

『生後100日まで、ひたすら根気よく
おっぱいを吸わせ続ければ
赤ちゃんに必要な量をまかなえるまで
母乳はしっかりと分泌されるようになる』

乳房生理学的には
その通りなんですよ。

でも、授乳支援の現場で
たくさんのママと接していて感じるのは

科学的な根拠に基づく理論を説明し、
適切な授乳方法と乳房管理法を伝授しても
必ずしも全員が
完全母乳になるわけではありません。

例えば
『明るく前向きな子に育てたい』
と願っているママが
向上心と希望を持って
発達心理学や教育論を学び、

『明るく前向き』
のために実践するとよいとされることを
あれこれ試して
愛情いっぱいに育てた結果、

子どもがひきこもりや不登校に
なってしまう場合もあるのです。

母乳栄養に限ったことではないですが、
結果が保証されるような育児方法論はないのです。

科学的根拠に照らし合わせ行動、実践すれば
うまくいくこともあるけれど
実を結ばないこともある・・・

それが『人生』なんじゃないかと思います!

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