大家族番組に思うこと・・・
昨日、MBS毎日放送『ミント』で
助産院ばぶばぶが取り上げられました。
密着取材のドキュメンタリーは
何度か経験させてもらっていますが、
ディレクターの感性はすごく重要で、
一言を切ったり、使う映像によって
視聴者への伝わり方のニュアンスが
かなり変わってしまいます。
『ミント』は
どんな観せ方をするのか・・・
不安でしたが、
ありのままのばぶばぶの風景、
ありのままのわが家の光景、
嘘偽りない誠実な編集、
とても素敵にまとめられていてホッとしました。
わたしの助産師としてのママたちへの想い
伝わったらいいなと思います( ・∇・)
さて。
テレビといえば。
昔、いわゆる『大家族モノ』の取材に
何度か応じたことがあります。
バラエティー番組は報道番組とは違って
おもしろおかしくイジられることが多く
大家族のリアルよりも、
常識を逸脱した大家族の物珍しさを追求する制作側と
取材される側の意図が噛み合わない違和感・・・
純真な人の気持ちを利用した構成に
嫌悪感を覚えることが何度もありました。
ああいう番組って、
まず企画ありきで、それに合う映像、
インタビューを集めるという構造になっているんですよね。
「自然のままを撮るのでいつも通りで」
と言われて、『やらせ』はないんだと安心し、
いつもどおりの日常を撮ってもらいました。
数日後、制作会社の上司が視聴、
「大家族っぽくない」
とダメ出しが入り、
「もっと大家族のお母ちゃんらしい場面を!」(どんな場面やねん?)
と要求され、追加撮影になったことがありました。
ワケありだったり、極端に貧乏だったり
引いちゃうような大家族じゃないと
番組を作っても視聴率とれないんですね。
もう産んだ後なのに、
これからお産をするってことにされて
時間軸を捏造された状況で、
子どもたちにインタビューされたこともありました。
「きょうだいが生まれるに向けて今どんな気持ち?」
そんなこと言われても・・・
あうんの呼吸が通じる大人ならまだしも、
ウソのつけない純粋な子どもたちが
大人都合の無茶なインタビューに
上手に答えられるはずありません。
目の前に新生児がいるのに
子どもたちに空想上の答えを誘導するなんて、
『演出』にも程があります。
テレビとは
誰かが伝えたいことを
映像を通して伝えるもののはずだけど
結局は、製作者側の主観が
盛り込まれていたりするんだなぁと
テレビの裏事情を知り、がっかりしました。
激動の大家族モノは
おもしろい内容、おもしろい人を映しているから
おもしろいのではなくて、
おもしろく見えるように企画し、
視聴者を楽しませる意図で
構成し、演出、編集しているからおもしろいんです。
その反面、
大家族番組は嫌い。
大家族は気持ち悪い。
大家族は無責任、無計画。
大家族は貧乏。
子どもがかわいそう。
ネット上には、
大家族を批判する書き込みだらけ!
「きちんとしつけのできている
大家族は見たことがない」
という厳しい書き込みもけっこうあります。(;_;)
しつけ・・・かぁ〜。
人の子育てを「なってない!」って指摘できちゃう人って
よっぽど素晴らしい子育てをしているんでしょうね^^;
・・・とか、いじわるなこと
思っちゃいます。
わたしは人間できてないから〜♪
確かに、テレビに映る大家族の生々しい現実は
直視できないものがあります。
見ていて不快だと感じる一番の理由は、
映し出される大家族の日々の生活水準が
子どもの貧困問題と直結してしまうからでしょう。
それが、子だくさん家族のイメージとして
視聴者に一律にインプットされてしまうのは
大家族当事者としては実に複雑な思いです。
大家族であれ、少子家庭であれ
子どもが何人いても関係なく
どこの家にもそれなりに悩みや苦労があり、
事件も起きるし、楽しいことや嬉しいことも
たくさんあります。
そういう、
通常は隠したいプライベートな一面を
大家族特番では赤裸々に見せちゃうわけで・・・。
そこに建設的なメッセージがあるのでしょうか?
負のイメージを植え付けるだけの
番組の意図はよくわかりません。
ばぶばぶには、5人の子だくさん
6人の子だくさん、
さらには8人の子だくさんママがいます。
子だくさんだけど、家は片付いていますよ。
栄養考えた献立が食卓に並んでいます。
愛情たっぷりに育てている
ごく普通のママたちの姿がそこにあります。
片付けなんかね、子どもの数は関係ないんだな〜。
子ども1人でも、片付けられないママは
片付けられないです。
料理だって、大家族=大皿料理
と思われているようですけど、
うちでは大皿料理は出しません。
がんばる大家族を
おもしろおかしくネタにする
バラエティー番組のオファーには、
「うち、子ども多いですけど
全然おもしろくないですよ?
期待に添えないと思います」
ってことで、すべてお断り
させてもらっています。
制作サイドの企画構成には程遠い、
まるで視聴率がとれない
テレビ的におもしろくない子だくさん、
素敵な大家族は
実は世の中にたくさん存在します!