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2023.10.17

乳児湿疹は母乳が原因?正しい知識で対策を!

助産師HISAKO

執筆:助産院ばぶばぶ院長 助産師HISAKO

2006年開設の「助産院ばぶばぶ」で育児支援を15年以上担当。YouTube「12人産んだ助産師の子育てチャンネル」のフォロワーは50万人以上。自身も12子の母。

こんにちは。助産師HISAKOです。

昔、わたしが新米ママだった頃。赤ちゃんの顔にブツブツができて受診したら「母乳の質が悪いことが原因」と言われ、頭が真っ白になったことがあります。

わたしの食生活のせいで、わたしの母乳のせいで、赤ちゃんに苦痛を与えてしまった・・・

「あなたのせい」の一言でわたしは立ち直れないほどのショックを受けました。

赤ちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいになり、ずいぶん自分を責めました。

令和のママたちには、不正確な情報に振り回され、当時のわたしのように無意味な罪悪感を味わってほしくありません。

乳児湿疹と母乳との関係。いろんな情報が飛び交っていますが、実際はどうなのでしょう。

この記事では、乳児湿疹と母乳の関連性について、正しい知識を熱く語らせていただきます!

乳児湿疹と主な原因とは?

1歳までの赤ちゃんの肌トラブルを総称して『乳児湿疹』と呼びます。

赤ちゃんの肌はとても未熟。表皮は大人の半分程度の厚さしかありません。

過剰な皮脂、乾燥、摩擦、汗、食物などの外的刺激。また、体質や遺伝的要素などの内的刺激。さまざまな刺激に対して肌の適応能力が乏しいため、涼しい顔でスルーすることができず、肌はいちいち過剰反応してしまいます。

このように、『乳児湿疹』と表現される状態を引き起こす原因はたくさんあります。

母乳も乳児湿疹の原因になるって本当?

乳児湿疹と母乳との関連性についての研究は多数行われていますが、実は「母乳の質が直接的な原因になる」というエビデンスは確立されていません。(なのに安易に母乳のせいって言わないでー!)

母乳と乳児湿疹。考えられる3つの関連性を以下に深堀してみます。

1)食物アレルギーが原因の湿疹

赤ちゃんが遺伝的にアレルギー体質を持っていると、さまざまな環境要因によって肌のバリア機能が低下しやすくなります。

肌バリアが弱くなっている部位から、アレルゲンとなる食物成分が体内に侵入することで、身体が過剰反応を起こし、ブツブツができたり、赤みやかゆみなどの肌トラブルを発症するものを食物アレルギーといいます。

母乳中にも食物アレルゲンは移行しますが、その量はごく微量。口から食べたり肌から侵入するなどの直接摂取量の100万分の1程度と言われています。

そのため、赤ちゃんの持つアレルギー体質が例外的に重度でない限り、赤ちゃんの湿疹の直接的原因が母乳だ、とは言えません。

2)体温上昇が原因の湿疹

スタミナのない赤ちゃんにとっては、授乳はまるでマラソン大会のランナーのようなもの。

一心不乱に母乳を飲むにはたくさんのエネルギーを消費します。すると体温が上がり、皮膚のすぐ下の毛細血管が拡張します。

つまり、体温上昇によって、とくに皮膚が薄い目のまわり、口のまわり、おなかの肌が赤くなったり、普段は目立たない細かい湿疹が一時的に目立ちやすくなってしまうんですね。

このような赤ちゃんの肌の変化は授乳後に気づくことが多いため、あたかも母乳が直接原因で湿疹が現れたように錯覚してしまいますが、しばらくして体温が落ち着くと、赤みや湿疹はスーッと目立たなくなっていきます。

授乳後だけではなく、お風呂上がりやギャン泣きのあとなど、体温が上がったときに同じような肌症状が現れるのが特徴です。

3)母乳かぶれが原因の湿疹

口の周りは栄養分たっぷりの母乳が付着したままになったりするので肌荒れを起こしやすい部位です。

そして、赤ちゃんはよく顔を触る(掴んで握る!)仕草をしますよね!残念なことに、口の周りに付着した母乳をご丁寧にも顔中に塗りたくってくださる・・・(笑)そんなことすれば、そこに雑菌が繁殖し、乳児湿疹になってしまうのも当然の結果ですね。

赤ちゃんの乳児湿疹と授乳中のママの食事

そもそも「母乳の質」ってなんだ?

母乳に含まれる脂肪、乳糖、ナトリウム、カリウムなどの塩化物、タンパク質の量のバランスを『母乳の質』と表現します。

実は母乳の成分は、ママの食生活、住環境、気候などによって大きく影響を受けることはほどんどないと言われています。(そんなに簡単に成分が変化したらヒトという哺乳類は繁栄していないはず!)

とはいえ、わたしたちの気分や体調がいつも一定ではないように、母乳の成分もいつも同じわけではありません。

左右7〜8本ある乳腺は、すべての腺から同じペース、同じ質の母乳が出るわけではなく、それぞれのタイミングで

・乳糖が多く消化しにくい濃縮母乳だったり
・さらっと水分が多く脂肪分が少ない母乳だったり
・脂肪分多めの栄養価の高い母乳だったり

複数本の乳腺から、複数の乳質が全部混じり合って分泌されます。

このように、母乳はさまざまな条件で濃度がわずかに変化しますが、ただその「さまざまな条件」が何か?というところはまだ解っていません。

つまり、現時点で何を基準に「乳質がよい」状態なのか、科学的に定義さえできていないのが現状なのです。

赤ちゃんにどんな影響があるのかはっきりしたエビデンスもないのに「赤ちゃんの乳児湿疹の原因はあなたの母乳」なんて指摘されれば、ママはなんにも悪くないのに、崖の上から蹴り落とされるような理不尽な苦しみを与えられるだけですよね。(やってられねぇ!)

はい、ということで!

以下の一文がこの記事のもっとも重要ポイントですよ!

頭に叩き込んでくださいね!

『あなたの母乳の質が直接原因になって、赤ちゃんに乳児湿疹ができるわけではない』

赤ちゃんのために食事制限はしないで

『食物アレルギー診療ガイドライン2021』(日本小児アレルギー学会)には、

食物アレルギー発症予防のために妊娠中と授乳中のママの食事制限を行うことを推奨しない

https://www.jspaci.jp/guide2021/

と記載されています。

乳児湿疹の原因が食物アレルギーだったとしても、母乳を飲んだことで危篤な症状(呼吸困難、嘔吐下痢、意識混濁など)を引き起こした場合を除いて、ママの食事制限は必要がないと指導されることが多いはずです。

ほとんどのアレルギー児は、全身の肌の保湿ケアを継続的に行い、弱い肌バリアを縁の下の力持ちで整えていってあげれば、1歳、2歳、3歳と消化管機能の成熟とともに原因食物を食べても症状が出なくなっていきます。

根拠もなく乳質の良し悪しを強調することは、ときにママたちを追い詰め、罪悪感など否定的な感情につながる危険性があります。

母乳の質はママの食事内容の影響を受けることは少なく、ハイカロリーな食事によって単純に母乳分泌量が増えることはあっても、母乳が脂肪分でドロドロになって乳管を詰まらせる、なんてこともありません。

また、ママの食事制限で赤ちゃんのアレルギー予防に効果があるわけでもありません。

授乳中のママは多くのエネルギーや栄養素、水分を必要としています。

和食、洋食、ごはん、パン、どんなものでも構いません。偏らないようバランスよくしっかり食べて、水分はたっぷり摂りましょう。

ときどき、子育て奮闘のご褒美にジャンクフードやスイーツだって、もちろんOKですよ!

<授乳中に意識してほしい食事のポイント>

1)サプリを上手に活用する

授乳中は、糖質、脂質、タンパク質、各種ビタミン、鉄、亜鉛など、エネルギーや栄養素を多く必要としています。

食事から摂れるのが理想ですが、忙しい子育て中のママは自分の食事にそこまで気遣っていられないのが現実ですよね。

だからこそ、不足しがちな栄養素を補うサプリメントを利用するのもひとつの賢い方法です!

2)たくさん食べたら、しっかり授乳を

食事内容から影響を受けるのは母乳の分泌量の増減のみ!たくさん食べたら乳房は張りやすくなるので、その分しっかり授乳を。

食物が直接原因で乳管が詰まることはありません。

3)ママこそ、しっかり食べよう!

ママが食事制限をしても、乳質がよくなることもなければ、赤ちゃんのアレルギー予防にも効果はありません。

むしろ、低栄養状態は産後のママの体調やメンタルにも悪影響を及ぼす可能性があります。しっかり食べましょう!

母乳に関連した乳児湿疹が出ているときの対策は?

ここまで読み進めてくださったあなたは「母乳が乳児湿疹の直接原因になることはない」ことがご理解いただけたでしょうか。

母乳そのものが悪いんじゃなく、アレルギー体質や、授乳による体温上昇、母乳を顔に塗りたくったことによるかぶれなど、「母乳は乳児湿疹を引き起こす間接要因になりえる」と考えるのが妥当しょう。

乳児湿疹の症状が出ている場合、何が原因の湿疹か、まずは医療機関での診断が最も確実です。その上で、母乳に関連した湿疹だとわかった場合の自宅での肌ケアを以下にご紹介します!

母乳やよだれが肌についた場合はきれいにふき取る

母乳やよだれが赤ちゃんの肌についた場合、そのまま放置せず、柔らかいガーゼなどでやさしくふき取りましょう。

授乳前に口の周りにワセリンを塗って母乳の刺激から肌を守る方法も効果的です。

患部は清潔に保ち、しっかりと保湿する

湿疹が発生している部分、何もないキレイな部分も含め、赤ちゃんの肌ケアは、清潔と保湿!この2つのステップが最重要です!

わたしが開発した赤ちゃん用洗浄料『ポメロ』は、トラブルが起きやすい赤ちゃんの肌を適度にうるおしながら洗い上げます。乾燥しやすい赤ちゃんの肌には、保湿力のある洗浄料を選ぶことがとても大切です。

また、弱い肌バリアをすり抜けて体内への異物侵入を防ぐため、保湿剤を使用して毎日欠かさず継続的な保湿ケアを行いましょう。

同じくわたしがプロデュースした、赤ちゃん向け保湿料『マシュマロ』は無添加にこだわり、ミネラル成分豊富な沖縄の海洋深層水をベースに厳選した原料でつくりました。

外部からの異物刺激をもろともしない肌は、わたしたち大人の保湿サポートが絶対的に必要です。

少しでも気になる症状がある場合は病院を受診しましょう

適切な保湿ケアをしているのに乳児湿疹の症状が長引いている場合や、授乳するたびに湿疹の症状が明らかに悪化するような気がする・・・という場合。

また、授乳後に肌の湿疹だけではなく、呼吸が苦しそうだったり嘔吐や下痢が見られる(食物アレルギーによるアナフィラキシーショック症状の可能性)ような場合は速やかに小児科や皮膚科を受診することをおすすめします。

まとめ

乳児湿疹の原因として母乳が指摘されることがありますが、その関連性は一概には言えません。

正しい知識と正しいスキンケアによって乳児湿疹の悪化を防ぎつつ、自信を持って母乳育児を楽しんでください!そしてどうか、意味をなさない罪悪感であなた自身を苦しめないでくださいね。

迷ったときは、赤ちゃんの健康を第一に考え専門の医師の診断を受けましょう!

昔、「あなたの母乳の質のせいで乳児湿疹が出ている」と言われて育ったわたしの子は、今でははちきれんばかりのすべすべ肌の少女に成長しました。ツルッツルでうらやましいかぎり!

ちょっと触らせて〜とお願いしたら「ぜったいイヤ!」と拒否られて、意気消沈。

やりきれない思いのかわいそうな助産師HISAKOでした。(負けへんぞ)

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助産師HISAKO

執筆:助産院ばぶばぶ 院長 助産師HISAKO

1974年生まれ。
総合病院産科、クリニック勤務を経て2006年大阪市阿倍野に「助産院ばぶばぶ」開設。母乳育児支援・育児相談を中心に、自治体育児支援訪問・妊婦教室を15年間にわたり担当。パパママ向け講演、専門職向けセミナー、教育現場では性教育等の出張授業を展開。

2020年沖縄県うるま市に助産院移転を機に『【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル』配信開始。妊娠出産育児を科学的根拠に基づき解説、自らの経験から得た学びを元に肩の力が抜ける子育ての考え方のヒントを提案、2023年YouTube登録者50万人以上に。

書籍、雑誌等の執筆活動、テレビラジオ等メディアにも多数出演。

また助産師とママ両面の視点から母子の健康と笑顔に直結する良質の保湿料をはじめ、こだわり商品の開発、製造販売を展開。

プライベートでは1998年から2020年の間に12人を出産。子だくさん助産師として認知されている。

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