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2020.08.15

12人目は計画分娩します!

今年春、
大阪からなんのゆかりもない沖縄移住と同時に
妊娠発覚。

現地の助産師仲間から
産婦人科情報をかき集め、

「よし、ここで産もう!」

と決めたのも束の間、

22wの妊婦健診で
10人目のときの分娩時出血が多量だった(弛緩出血)ことをふまえ、
12人目のお産は緊急時に輸血対応できる総合病院のほうが
よいのではないか、と提案されました。

そして先日、26wの健診
救急対応可能な大きな病院へ
紹介状を持って行ってきました。

現時点、合併症があるわけでもなく
妊娠経過はいたって順調。

ただ多産であることゆえの
分娩時弛緩出血に備えての転院ですが、
リスクマネジメントは重要です。

「スタッフみんなで話し合ったのですが、
HISAKOさんのお産は出血に備えて
計画分娩にさせてほしいと思いますが、
かまいませんか?」

計画分娩とは。

あらかじめ、
産科病棟の人手を確保した日中に
計画的に分娩誘発をかけて出産する方法です。

出血など、予期せぬトラブルに遭遇することが
たびたびある「出産」を取り扱う産科医療関係者が
それを提案するのはごく当たり前のことだと
思います。

日本ではまだ多くの産院が(妊婦が)
普通分娩にこだわっています。

気持ちはわかります!
わたしも、一妊婦として、
女性として、叶うことなら計画分娩ではなく
自然に『その日』を迎えたいと思いますから・・・。

考え方は、人それぞれ、そして施設ごとに異なるので
「何が正しい」いう結論はないのだと思いますが

人手が足りない夜間の外科的対応のリスクを
冷静に考えたら
今回のお産はどう考えても
計画分娩にすべきだと思います。

自分自身の、過去11回のお産、
助産師としての22年間、
これらの年月と経験から、
最近、お産について思うのは

(1)出産にはつねに急変がつきまとう

(2)出産にはさまざまな外科的処置や手術が
必要になることがある

(3)安全を確保するために『人手』が必要

(4)日本の産科医療環境にはゆとりがない

ということです。

わたしのような妊婦は、
「経産婦」とは呼びません。
6回目以上のお産は、
医学的には「多産婦」と位置付けられます。

たくさん産んでるから
産道ができあがってて安産なんでしょ?

とよく言われるのですが、

違うんですよね~^^;

多産婦の子宮は、何度も伸ばされたり縮んだりを
繰り返しているので
筋肉が疲労しています。

通常は胎盤娩出と同時に、子宮筋がキュッと収縮することで
胎盤剥離面の毛細血管も収縮して
止血が促されますが

わたしの子宮はダラ~ンと締まりがないので^^;

産後直後から

『子宮収縮しない→出血止まらない〜!』

が、大きなリスクとなるんです。

実際、10人目のとき
赤ちゃんはあっという間にスルンと生まれてきましたが、

産後1時間を過ぎたころ、
床にバシャバシャと音がするぐらいの滝のような出血!
みるみる出血量1.5Lを超える
とても危険な弛緩出血が起きました。

スタッフが何人もバタバタと集まってきて
点滴を何本も追加され、双手圧迫止血術が施され、

わたしは遠のく意識の中で、

あ~・・・死ぬのかな・・・

なんて、考えました。

なんとか止血できましたが、
極度の貧血と低血圧で数日間フラフラでした。

お産って、こういうことがあるんだよな。
ナメとったら痛い目に合う、と

改めて襟が正される
体験をさせてもらいました。

人間は本来は動物なので
もっとも無防備で危険な出産を
外敵に襲われないよう無事に終わらせるため
静かで暗い夜間に陣痛が始まるケースが
圧倒的に多いんです。

先祖たちから受け継がれる本能が
現代人にもまだ残されているから

お産はリラックスした副交感神経が優位になる時間帯に
開始するというメカニズムもあり、

1日の終わり、眠りにつこうとする夜間に
お産が始まるのは
ごく自然の流れだと思います。

だから、医療介入をしないのなら
分娩介助は「夜のお仕事」であることが多い!

胎児心音低下や回旋異常、分娩遷延、
胎児仮死、吸引分娩、帝王切開、
小さいことでいうと会陰切開、そのあとの縫合術など・・・

無事に赤ちゃんが生まれたあとも、数時間は
わたしの10人目のときのように
なんらかの医学介入が必要になるケースは
半数、いやそれ以上あるんじゃないかという印象があります。

生まれたらもう安心!

ではないんですよね~。

会陰裂傷かと思ったら、
直腸や膣壁の奥まで裂けていた!
ということもあって

止血しつつ縫合となると
産科医ひとりじゃとてもとても人手が足りません。

さらに子宮頸管裂傷が見つかると
そう簡単には出血が止まらないこともあって、

のんびりやってたら産婦さんは
出血性ショックを起こしかねない状況になるし、
ぶっちゃけ、時間勝負で慌てます。

本当に、お産というものは
救命救急に相当するほどの緊急性を要する、
冷や汗をかくような場面に遭遇することが
たびたびあるのです。

そんな外科的処置が必要な事態が予想されるのに

「お産は自然の営み。自然こそが善!」

という考え方は
現場を知らない者の夢物語・・・。

リスクマネージメントの上での基本は
出血を伴う可能性のあるお産を
わざわざ夜中に持っていくことなんかしません。

緊急帝王切開などは
夜中に行われることもありますが、

あえて、
計画的に行うことが可能な手術を
人手の少ない夜中には行いませんよね。

実際、夜間の緊急帝王切開は、
産科医一人で当直をしている小さな分娩施設だったら
そこから他の病院に招集をかけて
スタッフを集めるのでバタバタします。

緊急ですからね・・・
正直、1分1秒を争う中で、人手不足ほど
怖いものはありません。

こういった危険な産科医療を
できるだけ減らすことができるのが、
計画分娩だと思っています。

リスクのない妊婦さんは
自然に任せて夜中のお産でいいと思うけど

わたしのようにリスクのある妊婦さんは
「自然分娩が善」とは言えません。

計画分娩にするからこその恩恵を受けて

12人目のお産、
しっかり計画立てて、楽しんできます!

(出血しませんようにー!!
がんばれ、わたしの子宮!)

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