貧血!入院伸びちゃった〜
胎盤が正常より低い位置
(子宮口に近いところ)にあって
内子宮口の一部、
または全部を覆っている状態を
『前置胎盤』といいます。
前置胎盤では
胎盤が産道を防いでしまうため
100%帝王切開でのお産になります。
妊娠後期、陣痛や破水が起きたときに
胎盤に負荷がかかり、
その一部が剥がれてしまったり、
近辺にある臍帯血管が断裂してしまうリスクがあり、
いきなり大出血!!
胎児への血液循環が低下して
母体は出血が止まらなくなり、
母子ともに危険な状態になるため
自然な分娩開始を待たずして
先手を打っての帝王切開が必須です。
わたしの胎盤は、
内子宮口を覆ってはいないものの、
かなり低い位置にある『低置胎盤』でした。
通常、
臍帯は胎盤実質の中央に付着します。
でもわたしの場合は
低い胎盤の辺縁から臍帯が出ているか、
もしくは、胎盤実質付着ではなく
卵膜に付着している可能性もなきにしもあらず・・・。
臍帯血管はプニプニした
こんにゃくみたいな物質(ワルトン膠質)で
保護されているのですが、
保護されない
剥き出しの臍帯血管が卵膜上を走行し、
卵膜血管が内子宮口付近に存在する臍帯の異常を
『前置血管』といいます。
前置血管は、
臍帯の卵膜付着があるタイプと
二葉胎盤、副胎盤の間の卵膜の表面に
血管走行があるタイプの2つがありますが
どっちにせよ、前置血管は
ワルトン膠質が欠けて
臍帯血管を守ってくれるクッション材がないので
未診断のまま陣痛が始まれば
剥き出しの臍帯血管は
赤ちゃんの頭にグイグイと
圧迫を受けて血流不全となり、
破水すれば
卵膜が破れると同時にその位置を走行する
剥き出しの弱い臍帯血管も一緒に断裂します。
急激な胎児機能不全からの
胎児死亡という最悪の結果が
待っています。
つまり、陣痛にせよ破水にせよ
自然に分娩が開始すれば
剥き出しの前置血管は容易に破損し、
大量出血とともに
胎児への栄養と酸素供給がその時点でストップ、
赤ちゃんの生死を左右する事態に発展するという
超ハイリスクな異常です。
前置血管での破水例での胎児死亡率は
なんと60%です。
よって、前置胎盤や
前置血管の赤ちゃんを救うためには
妊娠中の超音波診断と破水前の帝王切開が必須。
自然にお産が始まる前に、
早めに(35w~37wぐらい)
選択的帝王切開が行われるのが妥当なので
わたしは35wから管理入院になり
38wで帝王切開となりました。
さらにわたしの場合
12人目ということがあり、産後の子宮収縮が
弱い可能性があります。
何度も伸びたり縮んだりを繰り返している
子宮の筋肉が、ぎゅっと収縮してくれなかったら
どうなるか・・・
これまた大出血のリスクなんですね〜。
ということで、
術前から輸血同意書にサインをし、
人一倍、高リスクである術中術後の大量出血に備え
問題が起きたときにすぐ対応できるよう
血管確保(点滴針留置)は両腕でした。
手術途中から急に眠気が襲ってきました。
後半は目を開けていられない感じでしたが、
先生たちの
「やっぱり出血多いな」
という会話
そして幾度となく
「止血鉗子!」
のワードが聞こえていました。
寝てなるものか!
最後まで手術見届けるぞ、絶対!
でも〜・・・
大量出血による血圧低下・・・
あくび連発、目が閉じていく〜
眠気っていうか、
正確には意識レベルの低下ですね。
子宮下部の横切開縫合は、
創面どうしをしっかりと密着させることができる
垂直マットレス縫合
さらに
子宮の下(峡部)から上(体部)に
ぐるりと一周、
ランドセルみたいに2本の糸をかけて縫合し、
多産ゆえの弛緩出血を防ぐことを想定した
手技も足してくださったようで
ありがたや〜。
かなり際どい量の出血だったけど
なんとか輸血せずに手術は無事
終わりました。
普通は帝王切開が終わったら
そのままお部屋に戻って
術後管理していくのですが
わたしの場合は
このあと産後も弛緩出血のリスクが
持続するため数時間は油断を許さず。
そのまま24時間、
観察室で厳重管理になりました。
これだけ大量出血したら
母乳分泌スイッチが入るのは
ちょっと時間がかかるはずなんですが
(母乳は血液の加工品です)
いえいえ。
これだけ失血しても、産後3日目には
1回の搾乳で余裕の100cc。(^◇^;)
わたしの身体は、何を優先しているんだろう・・・。
貧血食と鉄剤処方で
ヘモグロビン、ヘマトクリット値の改善をはかりながら
産後5日目で退院しようと思っていたのですが、
退院前の血液検査で
わ〜お!!( ̄◇ ̄;)
びっくりしちゃうレベルの貧血の値を
見てしまいました。
もうフラフラしないし、
傷は痛いけどずいぶん回復した!
と自分では思い込んでいただけに
具体的な数値を見た瞬間
改めて卒倒しそうになりました。( ̄▽ ̄;)
こんなんでよく歩けてたな・・・自分・・・
鉄剤も、食事も、
母体回復、母体生命維持を優先せず、
母乳作ることを優先しちゃってたらしいです。
(なんでやねん!)
で、Dr.からの提案。
その1
予定どおり退院したいのなら輸血で一気に改善
その2
数日入院延長していいなら鉄剤でゆっくり改善
さぁどっちか選べ!
輸血かぁ〜・・・
手術で免れたのに、いまさらかぁ〜・・・
それにわたし、知ってるねん。
輸血はせーへんに越したことはないって。
わたしはA型なので、当然A型の血液が
輸血されるのですが、
同じA型であっても、微妙にいろんな型があるんです。
例えば、
同じ助産師でも、価値観が同じ人、異なる人がいます。
同じ職場にいる同じ助産師でも、
合わないな〜という人が必ずいます。
異なる価値観に対して
いちいち影響されて傷付かずに済むように
心の免疫をつけないとやっていけません。
輸血もそういうことなんです。
他人の血液をいただくとき、
同じ型の血液なんだけど、ちょっと合わないな〜
な、部分は
うまく器用に排除しちゃうスキルが必要で
それには免疫をつけなくちゃねー
という作用が働きます。
苦手なものはわざわざ受け付ける必要なし。
華麗にスルー!
さりげなく遠ざける!
この免疫を、『不規則抗体』といいます。
輸血によって
不規則抗体が血液内にできてしまうと
次回、もし輸血が必要になったとき
わたしの血液は不規則抗体を使って
価値観の違う助産師を
笑顔でシャットアウトー!
することができちゃいます。
つまり、入ってきた他人の血液を
器用に悪びれもせず
いたってさわやかに攻撃してしまうのです。
攻撃の仕方ですか?
〝受け入れない=出血を止まらなくする〟
これを『溶血反応』といいます。
将来、輸血が必要な
病気や事故になるかもしれない。
そのときに溶血反応が起きないように
避けられる輸血は避けるに越したことが
ないわけです。
さらにDr.には
こんなことを言われました。
「もし、次の妊娠が・・・もしね?
あるんだったらさ。
不規則抗体は作らないほうがいいと思うんだよね
13人目のときも出血、輸血リスクあるしさ。」
ということで、
入院したときにはトータル10日間で
家に帰れると思っていたけど
なんじゃかんじゃで、
12人目出産にともなう入院日数は
トータル22日間になってしまいました。
11月3日(文化の日)に
退院できそうです。
それにしても
なんで最近、いろんなスタッフが
ニヤニヤしながら
やたらと
「次の妊娠」
「13人目」
の話をするのかな?
と思ったら、
どうやらMARKが
病院で堂々と宣言してたらしい。
「僕ら、ラブラブなんで♡
もうひとり考えてるんでぇぇ〜〜〜〜〜っっ!」
うーわ、やらかしおった・・・。( ̄◇ ̄;)