帝王切開 術後の消毒は不要です
わたしが助産師になった
20年以上前には
お産セットの中に
外陰部用の消毒綿が入っていました。
お産のあと、
トイレに行くたびに
陰部の消毒を行うのが一般的でした。
さらに毎日、
褥婦は順番に処置室に呼ばれて
お産で傷ついてしまった
腟壁、会陰、外陰部、
帝王切開の場合には、おなかの傷、
『悪露交換』という名の消毒が
医師や助産師によって
熱心に行われていました。
創傷治癒の過程や、
赤ちゃんが産童を通過して生まれてくる
メリットについて
あまりわかっていなかった時代には
「消毒=感染を防ぐ」
それが医学界の常識だったので
経膣分娩介助では
助産師は当たり前のように
産婦さんの外陰部をイソジン綿球で
消毒するのがマニュアルだったんです。
あれから時代は流れました。
現在は、経膣分娩のときに
いちいち外陰部消毒なんてしません。
お産セットに入っていた
産後用の外陰部消毒綿は
いつの間にか消え、
帝王切開の創部でさえ
産後に消毒なんてしなくなりました。
現在は、かすり傷から手術後の創部まで
すべての傷は乾かさずに治す
「浸潤療法」がスタンダードです。
消毒液は悪さをする細菌を殺してくれるけど
健康な皮膚の細胞や
治癒に必要な成分まで
殺してしまうので
使わないほうがいい、
というのが
今の常識です。
帝王切開、術後すぐの創部は
キズパワーパッドみたいな
パッドで
覆って密閉することで
乾燥を防ぎ、治癒を促します。
専門的には傷を被覆するパッドを
「ドレッシング」と言います。
ドレッシングの目的は
・傷を外力や感染から守る
・過剰な浸出液や出血を吸収する
・傷の治癒環境(温度・湿度・PHなど)を良好に保つ
傷からは
黄色透明の液体が浸み出してきますが、
この浸出液の中には
皮膚の細胞を作るための
成分がたくさん含まれていて
治癒にとても役に立ちます。
ジュクジュクした汁が出ていると
膿んでいるんじゃないかと
思ってしまうかもしれませんが
傷の治癒のための
正常な過程なので
むやみに拭い取ってはいけません。
治すための成分である浸出液で
常に傷が満たされているからこそ
その効能を最大限に活用でき、
皮膚の組織がスムーズに再生され、
治癒も早くなるんですね。
ちなみに、
縫合した帝王切開の傷は、
たった2日ぐらいで
新しい皮膚ができ始め、
3日もすれば完全にくっついて
閉じてしまいます。
人間にはもともと自然治癒力があって
ケガをすると傷を修復しようと
体内では驚異のメカニズムが働く。
手術であんなにガッツリ
おなか開いたのに(笑)
あっという間に
傷は閉鎖しちゃうんだから、
びっくりするー!
人間、すっごいな〜!
傷が閉じると
滲出液も出なくなるし
基本的に外からの感染はしません。
よって実は、
もうドレッシングさえも必要なくなります。
その理論からいうと
術後3日目にはドレッシングを剥がして
感染兆候がなければ
以後はな~んにもしなくていいんですよね。
ただ、帝王切開のあと
すぐにママたちは
赤ちゃんのお世話が始まります。
立ったり座ったり
ショーツの外的な刺激が
傷に加わる機会も多いので
擦れて痛い!
なので、
感染予防という意味ではなく
単に傷を外的刺激から保護するための理由で
もうしばらく
ドレッシングで覆っておいたほうが
いい
かもしれません。
傷の治癒を早めるには
帝王切開術後、
3日経って
創部が閉じたら
ドレッシングの有無にかかわらず
ひたすらキレイなシャワーで
洗い流すこと!
それに尽きます。
よく医療ドラマの外科回診で
医師が患者さんの術後の創部を
ピンセット使って
清潔操作で
イソジンで消毒して
ガーゼで覆うシーンが
出てきたりしますよね。
あれ、
「いつの時代やねーん!」
と、医療関係者はみんな ツッコミ入れてると思います。(^◇^;)
そんなんしたら
ガーゼ剥がすときに
大事な滲出液が
ベリって剥がれて
創部治癒が遅くなるわっ!
現在、
医学の常識として行われていることも
この先20年でまた
覆されたりするのかな・・・
わたしは本日 帝王切開術後9日目 。
おなかの傷は痛痒くなってきました〜。
このまま肥厚性瘢痕(ケロイド)にならないように
専用の保護テープをネットで購入!
おなかの傷
を外部刺激から保護し、
さらに腹帯で巻いて
傷が動かないようにかため、
帝王切開の傷が
素敵な思い出になるように、
ここから先は、自分の努力で
傷のケアをしていこうと思います♪