HISAKOブログHISAKOブログ
2021.04.09

ジャンクフードでおっぱいは詰まるのか?

体質的に分泌過多で
詰まりやすいおっぱいのママから
以下のようなご相談を受けました。

↓↓

ちょっと授乳間隔を開けただけで
岩のようにカチコチになり、激痛。
乳腺炎になりかけたことは数知れず、
抗生剤を内服しなければならないような
ひどい乳腺炎にも何度もなりました。

トラブル頻発のため、
近所のおっぱいマッサージに通っていますが
そこの助産師さんが
『ママの食事=母乳の質』
の考えがとても強い方で
パンはダメ、肉もダメ、朝からお米をしっかり一汁三菜で・・・
食事制限がとても厳しいです。

言われたとおりに頑張ってきたけど、
やっぱり繰り返すおっぱいトラブル。

もう食べるものがありません。
・・・断乳したい

授乳期は体にいいものを・・・とはわかっていますが
HISAKOさんと同じで私もパンが大好きです。
脂っこいものや甘いものを食べた母乳って
やっぱりよくないのでしょうか。
詰まりやすくなるのでしょうか。

↑↑

おっぱいトラブルを減らすために
あれこれ試されたのですね。
よくがんばったと思います。

果たして乳房トラブルにママの食事は
影響するのでしょうか?

「おっぱいトラブル」「食べ物」
のワードで検索すると
出るわ出るわ、トンデモ情報がザックザク!

情報の中には
おっぱいトラブルを繰り返すことを
誘発してしまいそうな
あるいは余計に症状をひどくしてしまいそうなことが
多く記されています。

・乳腺炎は高脂肪、塩辛い食事で誘発される
・和食を中心にしていれば
自然におっぱいトラブルは改善される
・ケーキや果物を食べると甘味の強いドロっとした母乳になる
・ハーブティーで母乳がよく出るようになる
・ごぼうの種は乳腺炎を予防する
・乳製品や動物性脂肪は禁忌
・タンポポ茶で乳腺炎予防
・おもちはおっぱいを詰まらせる
・1日3Lの水分補給で血液をサラサラにすると
おっぱいもつまらなくなる
・食生活で母乳の質が変わる
・白いごはんと味噌汁をよく噛んで食べる
・青魚は乳腺を詰まらせる

これだけ読んでると授乳中は
ジャンクフードやスイーツ、
食べることで満たされる幸せは
一切忘れなさいってことですよね。

沖縄でもときどき、
食と母乳に関しては、
マンゴーやパパイヤなどの果物は
母乳の産生を減少させるので食べちゃダメ!
という話を聞きかじります。

おっぱいトラブルの原因が食べ物であるかのように
根拠を示さずに「食べないで」「控えて」
というあいまいな指導がされる場面は
全国的に、よく見受けられます。

実際、わたしが助産師になった1990年代には
乳腺炎にならないように和食を中心に
脂っこい食事や甘いものを避ける
という指導が主流だった時代がありました。

ですが2021年現在は、
食べ物とおっぱいトラブルは関係ないという
新しい見解がエビデンスのもとに
認知されつつあります。
(とはいえ、まだ全然周知不足!)

食事制限は解除していいこと、
授乳のタイミングや姿勢、
吸い付かせ方を見直すことで
トラブルは改善されると説明するのですが、

これだけ、いろんなサイトで
食べ物とおっぱいの質について
根拠もないのに自信満々に書いてあるので、

ママの食べることへの恐怖心が
すぐに払拭されるわけではありません。

さて、食べたものはどのようにして
母乳になるのでしょうか。

乳汁が作られる仕組みを理解するには
食物の消化、吸収、代謝・・・
つまり生化学の知識が必要になります。

わたしたちが毎日食べているものを
体内に取り込むことを『消化』と呼び、

その取り込んだものを分解して
血液やリンパ液の中に取り込むことを
『吸収』といいます。

そして吸収したものを生体内で化学変化
させることを『代謝』といいます。

ママが食べたものは
消化管、胃や小腸から体内に
取り込むことができる状態に分解され、

消化された糖質、脂質、タンパク質は低分子となり
体内で吸収され、血液やリンパ液の中に
取り込まれます。

つまり、ママが食べたものが
そのままの形で母乳に出ていくわけではないのです。

さて、次は
母乳はどうやって作られるのでしょうか。

母乳の構成成分は
水分88%
固形成分は、
脂肪・炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル。

「おっぱいは白い血液」といわれますが、
乳汁はまさしく、
血液の中の物質が代謝されて作られます。

乳房の細胞に集められた血液から
栄養素を取り入れて、
細胞内で新たに乳糖、乳たんぱく、乳脂肪を
生合成します。

その中で、よくおっぱいトラブルに
直結するは、乳脂肪だと言われます。

『脂肪分の多い食事は、
脂肪分の多い母乳になる。』
それって本当なのでしょうか。

母乳中の脂肪の98%は球形で存在します。
『脂肪球』と呼ばれます、

その大きさは2〜5μmで
母乳中の脂肪球同士はくっつくことなく
乳管を流れています。

乳管の直径は400〜1700μミリで、
乳頭に近い部分では2mm程度。
射乳反射と一致して58%拡張します。

イメージとしては
幅10mの川を直径1cmのビー玉が
流れている感じですね。

乳管中の脂肪の〝濃度〟は、
ママの食事によって影響されます。

また、
夜か昼か(朝は少なく午後は増加)
授乳の長さ(飲ませ始めは少なく、飲ませ終わりに増加)
授乳の間隔(間隔が短いほうが増加)
によって多少左右されますが
食べたものがそのまま母乳の脂肪分になるわけでは
ないことがわかっています。

ママの食生活や食文化の違いで
母乳中の〝脂肪の濃度〟は多少変化しても
〝脂肪の量〟には変化は起こらない
ということが、生化学的に理解されています。

つまり、母乳中の〝脂肪球の数〟は、
どんな食事であろうと変化することはないのです。

『脂肪の濃度はママの食事に影響』
『脂肪の量はママの食事に影響しない』

母乳中の脂肪は、球になって存在するから
その中身の濃度が濃くても薄くても

どんなに脂っこい食事をしたとしても
摂取した脂肪が乳管を詰まらせることは
ない、ということのようです。

母乳育児中のママに
「あなたが食べたものが子どもに影響するんですよ」
「あなたの食べたものでおっぱいとトラブルを
誘発するのですよ」

という根拠のない指導をすることで
母乳育児をやめたくなったり、
楽しめなくなったり。

ママに提供される情報の中には
専門家からの情報も含めて
残念ながら適切とは言えないものもあります。

ママはマジメにその情報を信じ、
あるいは混乱したりしながら
母乳育児をしています。

そのような中で
乳糖が痛いまま不適切な授乳を続けていると
乳汁のうったいから乳栓。
乳腺炎、乳りゅうなどのおっぱいトラブルに
移行してしまうのです。

乳腺炎の予防の一番は、
なによりも、乳房内に母乳を溜めすぎない
(乳汁うっ滞を起こさせない)こと!

食べ物とおっぱいトラブルとの関係性

についての支援は、

医学的、性科学的にエビデンスに基づく
情報提供が必須ではないでしょうか。

わたしたちの体は、
食事によって影響を受ける疾病もあるため、
授乳中のママに限らず
こどもから大人まで、食事はバランスよく
適切なカロリーの食物摂取が推奨されます。

一言でいうと

バランスの良い食事が大切

ということになり、

母乳育児のためにそのような食生活を
意識することで、母子を含む家族全員が
健康に過ごせる食生活の見直しにも
なりますね。

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