単一臍帯動脈と診断されました
最近立て続けに
「臍帯を走行している動脈が
2本ないといけないのに1本しかないと言われた!」
という妊婦さんたちに出会いました。
おなかの赤ちゃんは妊娠週数に見合って
元気に育ってくれており、
エコーで診てもらったかぎりで
現時点で赤ちゃんの臓器に異常は見られず
妊婦健診では
心配しなくて大丈夫だと思う
と言われたものの
やっぱり不安なのでネット検索したら
〝染色体異常〟という言葉が・・・。
原因はなんなのか?
どんなことが予想されるのか?
今は異常は見つかっていなくても
生まれてから見つかることもあるのか?
・・・ということで、
臍帯の異常、『単一臍帯動脈』について
お話ししたいと思います。
さて。
臍帯には1本の太い臍帯静脈と
2本の細い臍帯動脈が通っています。
母体から赤ちゃんへ酸素や栄養を送るのは臍帯静脈。
臍帯静脈って名前だけど、
中を通っている血液は栄養酸素たっぷりの
キレイな動脈血が流れています。
赤ちゃんから母体へ老廃物へ返すのは臍帯動脈。
臍帯動脈って名前だけど
中を通っている血液は末端から心臓へ戻る
静脈血が流れています。
臍帯動脈には静脈血が。
臍帯静脈には動脈血が。
ややこしいですね・・・^^;
臍帯動脈が1本しかない単一臍帯動脈の頻度は
全出生の1%ぐらいです。
1%っていうと珍しいように思うかもしれませんが、
病院勤務していたとき、
分娩数の多い産院だったのですが
月80件ぐらいのお産があって、
2ヶ月に1回は単一臍帯動脈の赤ちゃんに
出会っていた記憶があります。
助産師的には、
けっこう普通に見かけることでした。
原因は
もともと1本しか形成されなかったのか。
それとも、もとは2本あったんだけど
なんらかの理由で途中で1本が萎縮して
1本になったか。
2つの説がありますが、
後者が有力とされています。
無事に赤ちゃんが産まれたあと、
助産師は胎盤や臍帯の観察・計測をして
記録するのですが
そのときになって初めて
「あれ?
臍帯動脈1本やん!」
と気づくこともありました。
「単一臍帯動脈」で検索すると
怖い情報がいっぱい載ってます。
単一臍帯動脈に合併する先天異常・・・
腎臓や膀胱など泌尿器系の異常、
心臓や血管系、
消化器系、中枢神経系(脳の異常)
など、多岐にわたりますが
単一臍帯動脈に加え、
これらの奇形が認められる場合は
染色体異常の合併を伴うことが
しばしば見られる、というのは事実です。
ですが実際には、
単一臍帯動脈があっても
他に問題がなければ
正常児であることのほうが多い印象です。
単一臍帯動脈自体は、
別にどうってことはないんです。
母体⇆胎児の物質交換は
動脈は1本あればまかなえますから!
現時点での
超音波検査で他の病気の指摘がなく
赤ちゃんも順調に大きくなっているのなら
このまま経過観察でいいと思います。
とくに生活面で気をつけることもありません。
ですがほんと、ネットには怖いことが
まぁまぁの確率で起こるっぽいニュアンスで
書かれているので
悪い方ばかりに想像し、ネガティブに
なってしまいますよね。
母体の年齢やら体質やら生活習慣病やら
そういうのはまったく関係なく
偶発的に起こることです。
赤ちゃんに他の異常がないなら
過度に心配しなくて大丈夫です!