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2021.06.29

カンガルーケア(2)

病院勤務していたころ、分娩介助のときには
深く考えずカンガルーケアを実施していました。

だって、
『素晴らしい効果が認められている』って言われたら
それを行うことが、
母子のためだと思うじゃないですか!

よかれと思って
産婦さんの意思などろくに確認もせず
当たり前のように生まれたての赤ちゃんをママの胸の上に
乗せてたな・・・。

病院での出産は
出生直後から赤ちゃんがママから引き離されることで
生後早期の母子相互関係に悪影響を及ぼす

とか

カンガルーケアは母子の
人間としての当然の権利

とか言われたら、

なんだかカンガルーケアをしないと
子ども想いのママ、いい親子関係は築けませんよ
母乳育児でつまずくよ、

って脅迫されてるようにも感じます。

そんなの困る!!

なのでわたし自身も、
出産するたびに何の疑問もなく・・・
というか、愛着形成のための義務感にかられて
カンガルーケアをしてました。

したかった・・・というより
しなくちゃ!の気持ちが大きかったかな。

産後2時間って
産んだママもヘロヘロです。

出産の状況にもよりますが、
疲労困憊のところに
「カンガルーケアはできるだけ長く推奨」
と言われると、

2時間も赤ちゃんを抱いて過ごすって
けっこうな苦行だけど
母たるもの、やるしかない!
みたいな気持ちになって断りにくい・・・。

正直、わたしは
分娩直後の赤ちゃんとのskin to skin contact
裸の触れ合いは5分で十分かな~。
2時間もいらんわ・・・。

お産に力を使い果たして
休みたい、と思う産婦さんもたくさんいるはず
だと思うんですよね。

全身脱力
疲れ果てているママの胸の上に
ふにゃふにゃの赤ちゃんを
「はいどうぞ!」と手渡すのであれば
転落の危険にも配慮が必要です。

カンガルーケアを実施するなら
スタッフは絶対にそばを離れてはいけません。

でも、実際には
助産師は分娩後の片付けや
入院中のほかの患者さんたちのケアも
同時にしなければなりません。
お産が重なることだってあります。

カンガルーケアのためにスタッフが1人
つきっきりになるほどのマンパワーがある
産院ってどれだけ存在するんだろう。

たぶん、どこの施設も
カンガルーケア以前に、
通常業務でさえもっと人手がほしいぐらい
だと思います。

1年前、
わたしは長女の出産に立ち会いました。
(孫がいるの、実は♡)

産後2時間、
がっつりカンガルーケアをしましたが、
スタッフはときどき分娩室をのぞきに来る程度で
ほぼいませんでした。

そうだよな・・・
夜勤スタッフの数、マンパワーを考えると
こうなるよな・・・

わたしがいたからいいけど、
産婦と赤ちゃんだけ残して
助産師がその場を離れるのは怖いと思いました。

実際、長女は途中で
「眠くなってきた・・・」とボヤいていましたから。

skin to skin contact

出生後すぐの肌と肌の接触こそが
定義上のカンガルーケアですが、

生後2時間の不安定な時間を超えてから
服を着せてバスタオルで包んで
十分保温した状態で
ママの希望があれば抱いてもらったり
授乳してもらうのではダメなのかなぁ・・・。

後々調べてみると
ガイドラインには
「できるだけ早く、できるだけ長く」と
書いてあるわりに

「効果がある科学的根拠はないけどね~」

って書いてあってビックリ!

なんやそれ!
なんやそれ~!

反対に、
カンガルーケアの実施時間が長くなれば
なるほど事故や異常発生の頻度が上がる
という統計が出ている事実も知ってしまい、
どう解釈したらいいのか困惑しています。

昔は、「カンガルーケアはいいものだ!」
と言われれば
疑問に思うこともなく
そうなんだ~!!
と信じて疑わなかったけど

今、多くのママたちと関わっていて思うのは
カンガルーケアをしてもしなくても
母乳育児率に差はないということです。

そもそもミルクで育てたいママだって
たくさんいるし、

カンガルーケア=母乳育児成功=よい効果

という図式を堂々と掲げられたら
母乳育児はミルク育児より優ってる
ってことをさりげなく示唆してるようにしか
聞こえません。

そんなの先入観の押し付けやん!
「べき論」でママを追い込むだけやん!

カンガルーケアをしたから
産後うつや育児ノイローゼにならないか?
というと、まったく無関係だと思います。

カンガルーケアをしたから
愛着形成は大丈夫!

カンガルーケアをしなかったから
子どもにイライラしてしまう

なんてのは、
ただの思い込みに過ぎないのでは
ないでしょうか。

赤ちゃんにとってママは
かけがえのない大事な存在であることは
言うまでもありません。

でも、彼らが世の中に信頼関係を築くために
影響していくのは
決してママだけじゃないと思うのです。

周囲の、関わってくれるすべての人の愛情が
健全な心身を育んでいくために
必要なんじゃないかと思います。

そして、その信頼は
カンガルーケアをしたから、
何かをしたから
すぐ得られるような単純なものではないです。

繰り返し繰り返し関わっていくことで
少しずつ築かれていくものでは
ないでしょうか。

それに、24時間子どもに向かい合うママたちは
いつもいつも女神のような微笑みで
いられるわけではありません。

現実の子育ては
イライラすることだらけです。
そんななかでも、母子の絆はちゃんと育っていきます。

なので、
カンガルーケアは安全の配慮ができるのなら
短時間だけでしてもいいし

しなくても
その後の親子関係に影響しないので大丈夫!

ということを
これからバースプランを立てる妊婦さんたちには
正しく伝えてあげないといけないと思います。

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