帝王切開は何回まで?
1人目を緊急帝王切開で出産し、
2人目は予定帝王切開しました。
出産後、先生から
「子宮の壁がかなり薄く
赤ちゃんの頭が透けて見えていた。
癒着もあるので3人目を望まれる場合は
ハイリスクとなります」
と言われました。
3人目妊娠中には、健診で
子宮の下側の筋肉がエコーに映っていないと
言われました。
4人目は厳しそうなので
帝王切開の際に卵管結紮をしたほうがいいと
勧められました。
3人目の帝王切開のとき
「やっぱり子宮の壁が薄い。
膀胱と前回の手術部が癒着していたので
子宮の上のほうを切りました。
卵管は左の癒着が酷くて結べない。
右だけ結んでも意味がないので
結ばずおなか閉じますね」
ということでした。
卵管結紮ができないと聞いて
少しホッとしたというか、
もしかしたら4人目ができるかもしれないと
思いました。
でも先生からは
4人目は母体の命のリスクの話をされました。
素人の私にはどれだけハイリスクなのか
正直わからないし、
先生にもつっこんで聞けませんでした。
↑↑↑
日本では「帝王切開は3回まで」
という施設が多いです。
でも実は、
帝王切開に回数の制限は設けられていません。
じゃあなぜ「3回まで」って
言われるのか?
それは、帝王切開を重ねるごとに
子宮の内膜や筋肉が柔軟性を失い
硬く薄くなってしまうからです。
内膜が薄いと
受精卵が子宮の高い位置(ベストポジション)に
うまく着床できず
ズリズリとずり落ちながら
低い位置(子宮口付近)でようやく着床
ということが起こります。
着床した場所で胎盤が作られるので
帝王切開の回数が多ければ多いほど
子宮口付近の低い位置の胎盤(前置胎盤)
になりやすい。
前置胎盤の怖いところは
妊娠後期に胎盤の一部が
剥がれてしまうことによる大出血です。
出血量が多ければ
母子の命にかかわる事態になることもあります。
また、
胎盤の血管が薄い子宮内膜を乗り越えて
子宮の筋層奥深くまで
がっちりと潜り込んでしまう
『癒着胎盤』も併発しやすいです。
通常、胎盤は赤ちゃんが出たあとに
自然に子宮から剥がれて外に出てきますが
癒着胎盤は簡単には剥がれません。
くっついた胎盤がじゃまして
子宮が収縮できないと
出血が止まらなくなって
母体の生命の危機になります。
複数回の帝王切開では
子宮筋の同じ場所を何度も切開するため
子宮破裂のリスクも出てきます。
ただし、
子宮内膜や子宮筋がどれぐらい薄くなるかは
個人差が大きいです。
通常、妊娠後期の壁の厚さは
5〜7mmぐらいですが
帝王切開後の子宮壁の厚さが
これだけあれば大丈夫、という論文もありません。
赤ちゃんの頭が透けるぐらい・・・
というのはおそらく
2〜3mmぐらいのイメージです。
人によっては5回ぐらい
帝王切開を繰り返しても平気だったりするし
1回帝王切開しただけでも
想像以上に薄くなるケースもあります。
なので、すべての人が帝王切開での
出産数に制限があるわけではなく
必ずしも前置胎盤や癒着胎盤に
なるわけでもなければ
子宮破裂の可能性のレベルもそれぞれ。
帝王切開になった理由や
切開方法、傷の開腹状況、年齢、持病の有無など
帝王切開が何回まで可能か
というのは個々のケースで
総合的に考え判断する必要があります。
ただ、統計的には
帝王切開2回目で癒着胎盤率は10%、3回目では40%と
合併症の確率はうなぎ登りに上がっていき
帝王切開の回数に応じてリスクが上昇する
ことは確かなので
「3回まで」とするのが一般的なのかもしれませんね。
そしてもうひとつ。
帝王切開では、開腹した傷跡を縫合し、
組織と臓器を自然治癒させていく過程で
本来離れているべき子宮、腹膜、腸、膀胱、
卵巣、卵管などの組織同士が
くっついてしまうことがあります。(癒着)
癒着があっても無症状のこともありますが
ひどくなると膀胱、腸の機能障害や
不妊、極度の生理痛など
さまざまな後遺症を引き起こすことも。
また次回の帝王切開やその他の手術のときに
癒着を剥がす細かい作業が追加され、
うっかり組織損傷すれば
大量出血になることも
想定しなければなりません。
冒頭のママの場合、
卵管を結ぶことさえできないぐらい
癒着がひどく、
膀胱と子宮も癒着していたため
膀胱損傷を危惧して
本来の子宮下部横切開を避け
あえて癒着のない子宮の上のほうを
縦切開したものと思われます。
子宮下部は収縮することがないですが
子宮上部は収縮します。
よって、収縮すれば
その刺激で子宮筋は断裂しやすい・・
1人目、2人目のときの下部横切開に
3人目のときは上部縦切開。
つまり、子宮の傷は1箇所ではなく
逆T字に2箇所あるので
子宮破裂を誘発しやすい条件が
揃っていると思われます・・・。
以上をふまえ、
もし4人目妊娠を考えるなら
周産期センターなどの大きな病院で
管理していく必要があると思います。
場合によっては長期入院になることも
あるでしょうし、
ママ不在の期間、上の子たちをどうするか、も
考えなければなりませんよね。
創部の状態によってはかなり早い妊娠週数で
帝王切開になることも
視野に入れなければなりません。
そうすると
生まれてきた赤ちゃんは当然、
NICUで長期入院になり、
早産ゆえの後遺症なども含め、
考えていかなければならなくなります。
ママの命、赤ちゃんの命。
そして家族の幸せ。
何が正解なのか、
答えはないと思います。
そして、あわよくばもう1人・・・
というママの気持ちもわかります!
さまざまな側面から
ベターな選択ができるといいなと
思います!