HISAKOブログHISAKOブログ
2022.10.01

稽留流産。手術か自然排出か

稽留流産を経験された女性からの
ご相談です。

↓↓↓

自然排出を待つ方法と
手術で子宮内をきれいにする方法、
どちらかを選択できると言われ
私は手術を選びました。

後日、
稽留流産をした方々のSNSを見ると
手術に対して肯定的意見が
とても少なくて驚きました。

「手術をして後悔している」
「自然に待てばよかった」

というネガティブな話ばかり目につきます。

「流産だって立派なお産。
「赤ちゃんが自然に出てくるのを
待ってあげることができて救われた」

そんなふうに言われると
手術を選んだ自分を否定されたようで
とても辛い気持ちになりました。

↑↑↑

稽留流産とは、
赤ちゃんの心拍が停止してしまい
子宮の中に留まっている状態のことです。

初期流産は
大半が胎児の染色体異常によるものですが、
昔は、流産と診断されたら
手術を行うことが一般的でした。

最近では、
流産の大半は待機しているとそのうち
自然排出することから、手術を行わない方針も
よく選択されるようになりました。

自然排出待機のメリットは

1)子宮内膜が薄くなることがないので
次回の妊娠時に着床しやすい

2)外科的手術という心身の苦痛を
経験しなくて済む

3)手術費用がかからない

自然排出待機のデメリットは

1)予測困難な
突然の大出血を未然に防ぐことができない。
(おおむね2週間以内、数ヶ月かかることも)

2)排出がスムーズにいかずに
痛みがどんどん強くなり
出血のコントロールができなくなり
救急搬送、緊急手術になることがある

3)待機しても結果的に排出に至らず
手術が必要になるケースがある

4)あまり長く待機すると
子宮内の死んだ組織に感染が起き
緊急手術になることがある

予測困難な突然の大出血を未然に防いだり
子宮内感染なども考慮すると
自然待機はせいぜい2週間程度と
言われています。

では、手術のメリットはどうでしょうか。

1)今回の妊娠を早くリセットして、
次の妊娠に備えることができる

2)排出された組織を
染色体検査に出すことができる
(流産の原因が赤ちゃん由来だったのか、
それ以外なのかを明らかにすることができる)

2)をもう少し詳しく説明すると
赤ちゃん由来の染色体異常だったとわかれば
今回たまたまそうだった、ということなので
次も繰り返す可能性は低いです。
なのでこのまま妊娠にトライしてOK。

検査の結果、
染色体異常が見つからなかった場合には
母体側の原因・・・
つまり不育症に関連した流産の可能性が考えられます。

不育症だと、妊娠はするけど、
何度も流産や死産を繰り返すことになるので
次回の妊娠の前に、詳しい原因の追求と
場合によっては治療が必要になってきます。

手術のデメリットは

1)稽留流産の診断からあれよあれよと
手術になるため現実を受け止める心の整理を
する時間がない

2)子宮の内膜が薄くなり
次回の妊娠で着床しにくくなる
(ほぼありませんが!)

手術も、自然排出待機と同じく
メリットデメリット両方ありますね。

さて、ここからは
気持ちの問題を語りたいと思います。

妊娠出産は女性にとって
自然な営みであるため

自然なお産=いいお産

と称賛されることが多いですよね。

例えば、最近増えてきている無痛分娩。
麻酔をしなくたって産めるけど、
避けられる痛みなら回避する選択もあり、
ですよね。

無痛分娩は自然なお産ではないけど、
だからって、無痛分娩を選んだママの
子どもへの愛は不足しているのか?
というと、そんなのまったく関係ありません。

女性には産む力がある
赤ちゃんには生まれる力がある

だからなるべく自然に・・・
自然こそが素晴らしく
それこそが本来の姿である・・・
それなのに医療介入は不自然で暴力的
でしょうか?

流産にしても出産にしても、
産婦人科における場面というのは
救命救急に相当するほどの緊急性を要する
冷や汗をかくようなケースに遭遇することが
たびたびあります。

外科的な処置が必要な事態が予想されるときに

お産は自然の営み!
流産も自然こそが善!

という考え方は
現場を知らないからこそ言えることでも
あります。

稽留流産で手術を勧めるクリニックが
今も多く存在するのは

リスクマネージメント上、
大出血を伴う可能性のある自然排出を
わざわざ夜中に持っていくようなことは
したくないから・・・ではないかと思います。

緊急帝王切開などは夜中でも
行われることがありますが

あえて計画的に行うことが可能な手術を
人手の少ない夜中に行うことは
『ママの安全を守る』という意味で
避けたいのです。

危険な産科医療を
できるだけ減らすこと。

つまり医学的には、
稽留流産の手術にはそれなりの意味があるわけです。

もちろん、
リスクのない流産なら自然に任せて
夜中に自然排出でもいいと思います。

ただ、さまざまなケース、背景があるので
『自然排出を待つこと=善』
と決めつけてしまうのは
ちょっと無理があるかな。

稽留流産は女性にとって
本当に悲しい出来事です。

冷静な判断なんてとてもできないような
不安定な精神状態の中で、

自然排出を待つのか
それとも手術をするのか
二者択一したことだけでも立派!

自然排出のタイミングを待たずして
手術を選んだあなたへ。

勇気と覚悟を持って決定した道に
どうか自信を持ってください。

赤ちゃんの意思を尊重せず
身勝手な決定をしたダメなママだと
自分を責めないでください。

短い期間だったけど、
おなかにいる赤ちゃんの存在が
あなたを温かくて優しい気持ちに
してくれたはず。

それは紛れもなく愛であり、
お空に戻った赤ちゃんは
そんなママの気持ちをしっかり受け取っていると
思います。

本当によくがんばりました!!

【新登場】よりお得に、大容量になった「新マシュマロ」を大発表するで〜!
一覧に戻る

人気記事

2023.03.06

お菓子のレイ

2021.04.15

あれ?抜けないぞ?

2021.06.04

母乳育児は痩せるのか?

2019.09.27

げっぷは「出させるもの」じゃないんだよ

2023.01.26

インスタグラムに挑戦!