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2022.09.07

帝王切開の麻酔。マニアックな裏話

通常、帝王切開のときには
背中から麻酔を入れて
意識は残した状態で
おなかから下の感覚だけをなくします。

詳しく言うと
硬膜外麻酔とクモ膜下腔麻酔
2本セットで挑むことが多いです。

硬膜外麻酔は
無痛分娩のときにも使われる麻酔で
効き目はマイルド。
長くじわじわと効きます。

くも膜下腔麻酔は
即効性があり、
効き目も強いかわりに短期集中型。

帝王切開は開腹するので
術中の強い痛みのブロックには
くも膜下腔麻酔は必須です。

母子の命に関わる
緊急帝王切開のときなどは
ちまちま作業している暇もないことから
効き目の強い、くも膜下腔麻酔のみ
単体で行くこともありますが

ゆとりのある帝王切開の場合には
術後しばらくの痛み止めの意味も兼ねて
じわじわ長く効く硬膜外麻酔も入れておくと万全
ということになります。

どちらの麻酔も脊椎(背中)から入れます。
妊婦さんには手術台の上で横向きで
膝を抱えるように背中を丸めた姿勢になってもらって
麻酔薬を注入します。

脊椎から入れる麻酔は自律神経に効きやすい
性質があります。

自律神経とは、血圧、呼吸、脈拍などを
つかさどる神経。

血圧調整の中枢にとても近いところに
麻酔液が入るので
帝王切開の手術中は
血圧が下がりやすいです。

さらに妊婦の場合には
仰向けに寝かされると
子宮の右裏側にある下大静脈が
大きなおなかに圧迫されて
心臓への静脈環流が減るために
低血圧を起こす可能性があります。
(仰臥位低血圧症候群)

そのため、帝王切開は
下大静脈を圧迫しないように
妊婦の腰の右下に三角枕を挿入して
30度の角度をつける必要があります。

先述したように脊椎麻酔は
横向きで丸くした背中から入れますが、

右下の横向けで麻酔して、
まず右側に麻酔薬を浸透させてから
すみやかに左下半臥位にすることで
左側にも麻酔薬が行き渡るようにします。

これで左右まんべんなく麻酔が効く
状態になるわけです。

もしも脊椎麻酔を左下の横向けで入れて、
そのまま左下半臥位で帝王切開開始したら
身体の左側ばかり麻酔が効いて
左右均等じゃなくなります。

「右側の効きが悪い〜!
痛いやんか!」

ってことになりかねません。

多くの人が、
帝王切開は平らな手術台の上に仰向け
と思っていたんじゃないでしょうか。

実は違うんですね〜!

微妙に左側を下にした
30度、斜めに傾いた仰向けで帝王切開は
行われるんです。

こんな話、マニアックすぎて
どうでもいいことかもしれませんが笑

わたしはこの事実を初めて知ったとき
衝撃的だったんですよね。^^;

詳細に人体のメカニズムや
妊婦特有の身体の仕組みが研究され
明らかにされ対処されていることに感動。

脊椎麻酔実施直後から
血圧測定は1分ごとに行われ
低血圧が起こらないようにチェックする
念の入りよう。

妊婦の身体を
こんなに丁寧に扱ってくれてるんだ〜
と思ったら

医学ってすごいな!

と胸が高鳴ります。
(だからあなたと
この事実を共有したかった笑)

帝王切開中に生アクビが連発だったり
急に眠気が襲ってきたり
気分が悪くなるようなときは
血圧低下のサインだったりもするので

黙って我慢しないで
医療スタッフに伝えてくださいね!

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