小児科か耳鼻科か
子どもが風邪を引いたとき、小児科に行きますか?
それとも耳鼻科に行きますか?
小児科は子どもの全身状態を総合的に診てくれます。
血液検査もできるし、点滴もしてもらえます。
基本的に風邪はウイルス感染ですが、
子どもは風邪を引くと抵抗力が落ちるので、
鼻や耳の奥に二次的な細菌感染が起きて
中耳炎や副鼻腔炎を併発することがあります。
だけど残念ながら小児科では、鼻の奥、耳の奥の
二次的炎症までは詳しく診ることができません。
鼻や耳の奥に膿が溜まっていたら、それを外に出してしまえば
あっという間によくなるのだけど、
小児科では「鼻を吸う」「鼓膜切開」などという処置は
してもらえません。
耳鼻科は、正しくは耳鼻咽喉科。
名前の通り、喉から上の不具合の診断、治療の専門科です。
小児科ではお手上げだった二次的感染は、耳鼻科の得意分野です!
鼻を吸ったり、吸入器で鼻の奥にまんべんなく薬を
吹き付ける処置も可能。
中耳炎では鼓膜切開で中に溜まっている膿を簡単に出してくれます。
だけど、耳鼻科は喉から上の専門ゆえに、気管支や肺など、
呼吸器系の病変の診断は不得意です。
小児科のように、病気を総合的に判断するのは苦手なんですね。
最近の小児科はあまり薬を出してくれませんよね。
少々熱がある程度では鼻水と痰切りの水薬が処方されるぐらいで
抗生剤はなかなか処方されません。
それに比べ耳鼻科では、ドカーンと抗生剤を処方してくれます。
風邪は
抗生剤を飲んだらすぐに治る
と思っている人も多くて、
風邪を引いたら小児科じゃなくて、抗生剤が欲しいから
耳鼻科に行くのよ、という話もよく聞きます。
でも実は、いわゆる風邪には抗生剤は効きません。
風邪はウイルス感染だから。
ウイルスに抗生剤は効かないんです。
抗生剤は細菌感染にだけ、効果があります。
小児科で話題になっているのは、抗生剤の使いすぎで
抗生剤が効かない細菌が増えているということ。
耳鼻科で安易に抗生剤を処方され続け、
安易に飲み続けていると、その子の鼻の奥には抗生剤の効かない細菌が
どんどん増殖してしまいます。
結果、病気をしやすい子になってしまうんですね。
小児科は、子どもの一生を考えて総合的な判断をするので、
タチの悪い細菌感染症でないことを確認した上で、
緊急性の低い風邪に対しては、抗生剤に頼ることはしないわけです。
なるべく、子どもが本来持っている自然治癒力を大切に考えます。
耳鼻科は細菌感染で起きる中耳炎や副鼻腔炎を治すのが仕事だから、
敵はウイルスではなく、細菌なんですね。
だからすぐに抗生剤を出してくれるわけだけど、
よほど酷い中耳炎や蓄膿でない限り、単なる風邪にともなう中耳炎ぐらいなら、
抗生剤を使わず膿を吸って取り除いてもらうだけで
十分効果的だと思います。
ウイルス相手の小児科と
細菌相手の耳鼻科。
それぞれの立場で治療の方法が違います。
うまく使い分けて受診することができたらいいですね。
難しいけど〜・・・。