HISAKOブログHISAKOブログ
2016.10.07

お迎え棒

昨日は妊婦健診でした。
よくおなかは張るけど、自分的には
まだまだ前駆陣痛のレベルです。

だけどNSTモニター上では
子宮収縮の波はなんと3分ごと。
しかも、けっこう規則的。

「11回目のお産やし。
始まったら一気やろうし。
この波形を見る限り、
プロやし解ると思うけど。
このまま入院したほうがええなぁ。」

確かに。
11人目出産の妊婦が3分間隔で子宮収縮あり。
わたしが産院スタッフの立場なら
とてもじゃないけど恐ろしくて家には帰せません。

とはいえ、自覚的には
まだこんな余裕なんですけど、入院?
場違いじゃありませんか?
なんだかソワソワ落ち着かない感じです・・・。

「おかしい思ったらすぐ戻って来てや!」

主治医に念を押されつつ
外出許可が下りたので、
最後の晩餐に和食ブッフェ、
スーパー温泉、はしごして、
夕方、言いつけを守っておとなしく産院に戻りました。

調子に乗って食べ過ぎて
外食=塩分過多
おかげさまで脚むくみました(笑)
ごめんなさい。

36w臨月に入ったあたりから
ずっと不定期な前駆陣痛が続いていて
健診でも「そろそろかも」「近いかも」と
脅されながら
結局、出産予定日を超えました。

お世話になっている主治医が
めっちゃオモロイ大阪ノリのおじちゃんなんです。

腕は一流なんですが、ドクターらしくないというか、
妊婦健診でもほとんど診察結果についての説明がなく、
毎回、世間話で盛り上がり、
ハイ終了〜〜

わたしが同業ってこともあるからだとは
思いますが

「プロやからわかるな!」
「大丈夫やな!」
「じゃ、そーゆうことで!」

そーゆうことってどーゆうことやねん?!
ほとんどなんにも
説明してくれてへんやん。(^^;;

医者って変な人が多いけど、
彼はわたしが知るなかでも
ひときわめだって変な人です。

助産師さんいわく、

「先生、人選んでるからね
HISAKOさんに対しては遠慮なしの全開やわ〜」

一般の妊婦さん相手なら、
医師あるまじき彼のトンデモ発言は
おそらくドン引きされるのがオチだと思います。
眉間にしわを寄せて
「主治医変えてくださいっ!」の
パターンですね。

だけど、わたしは
人間クサい人が大好きです。
どんなときにも、ジョークのひとつやふたつ
飛ばせなくてどうしましょうか。

わたし自身、いつも自然体の助産師でありたいので、
キレイごとを並べ立てるカッコつけにだけは
なりたくないって思っています。

もっと、なんというか、
『ヒト』という哺乳類の本能に即した
理性外の遺伝子レベルの特性の部分を、
さわやかに堂々とみなさんに語りたいんです。
そして、誰しもが生きていく上で、
その潜在意識に根付く『本能』に気づき、
神秘を感じ、素直な感動を味わってほしい。

そんなポリシーを持って
日々、仕事をしています。

不安をいっぱい抱えた妊婦さんに心を寄せ、
言葉のひとつひとつを選んで
声かけをしていく気遣いは、
医療者として必須項目だとは思います。

でも、ときに、
その教科書通りの融通のきかない生真面目さや、
ガチガチの理性の固まりが、
かえって妊婦さん、患者さんを
不安にさせる場合もあると思うんですよね。

どんなときにも、どんな土壇場でも、
緊迫した場面だからこそ、
周囲を和ませるゆとりある笑いの要素は大事!

そういう意味で、主治医は
心の緊張をほぐしてくれる
たぐい稀なる才能を持った変人だと思います。
わたしと同じ匂いがして、
ちょっと興味をそそられます。

普通、淡々と仕事をこなす産科医は
予定日前後の妊婦さんがなかなか産気づかないとき、

「よく歩きましょう」
「スクワットもおすすめですよ」
「雑巾がけをやってみましょう」

などのアドバイスをしてくれると思います。

でもわたしの主治医は、ちゃいますよー!!
前駆陣痛を有効な陣痛へと導くために

「ここまで来たらな、一発ヤルことや!
すけべぇ〜にならな、アカンで。
たぶん、それで一気にお産になる!」

自信満々
言い放ちました!

おおーーー!
さすがだ!
着目点はそこですか!
わたしの見込んだ医師だけのことはある!!

『お迎え棒』って聞いたことがあるでしょうか?
臨月にセックスをすることで
精液の中に含まれるプロスタグランディンという物質が
陣痛を促すといわれます。

また、臨月には
乳頭マッサージをすると授乳準備になるのと同時に
オキシトシンという子宮収縮ホルモンが分泌されて
分娩誘発になると言われています。

薬剤化された
プロスタグランディンとオキシトシンは
れっきとして産科で使われていますが、
天然素材(?)のプロスタグランディン、オキシトシンに
どの程度の効果があるのか、
医学的根拠はありません。
現在のところ
残念ながら統計さえ存在しません。

実際に産院で、
分娩誘発、分娩促進剤として使用されているお薬は、
プロスタグランディンとオキシトシンそのものです。

統計はないものの、
それぞれの物質が持つ性質からいうと、
理論的には37w以降、柔らかく熟した
スタンバイOKの子宮頸管には
精液中のプロスタグランディンも
おっぱい刺激のオキシトシンも
分娩誘発のスイッチを入れるための
なんらかの効果はあるかもしれないと思います。

臨月にセックスなんて、大丈夫なの?
と思うかもしれませんが
正期産に入る37w頃には
赤ちゃんはいつ出てきてもいいように成長を遂げています。
なので、セックスの刺激が赤ちゃんが苦しい
というようなことはありません。
無理のかからない体位で楽しんで大丈夫です!

ちなみに、
妊娠中は性欲が高まる女性もいれば
そんな気がまったくなくなってしまう女性もいます。
これはパートナーを男性として
見られなくなったのではなく、
ママとしての感情が強く、
赤ちゃんのことを想うあまり
危険な行為をしたくないという
気持ちの表れかもしれません。

逆に男性がセックスに乗り気になれない場合は、
妊娠中のあなたに性欲が湧かなくなったわけではなく、
身重の妻に何かあってはいけないという
優しさの気持ちの表れかもしれません。

どちらも大切な相手のことを想って
湧き出す感情なので、
素直にお互いの気持ちに寄り添って行動することが
一番だと思います。

産科医で『お迎え棒』を勧める人は
ちょっと珍しい気がしますが、
分娩を取り扱っている開業助産師さんなどは
大真面目で『お迎え棒』を勧めたりします。

お産を自然の営みととらえ、
何か困った問題が起こらない限りは
なるべく人工的な手は加えずに
ただそのときを待とう・・・

科学的製剤である
プロスタグランディンやオキシトシンという
『お薬』に頼る前に、
自然界に存在する、
わたしたちの生活に密着したところに
何気なく転がっている、同じ成分の物質に
なりゆきを委ねてみないか?

助産師が『お迎え棒』を勧めるのは
冷やかしではなく、それなりの医学的理論が
そこに存在するからなんですね。

誰が考えたのか、
『お迎え棒』というネーミングも、
なかなか的を得ていて絶妙で素敵♪

だと思いませんか?^ ^

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