おなかの傷は大切なわが子を守ったしるし
帝王切開は日本では現在、10人に1人か、
もしくはもっと
高確率で行われています。
10/9のブログで
わたしの11人目のお産の話を書きました。
主観として、陣痛が最高に気持ちよかったこと、
味わった高揚感と至福の感覚は、
陣痛という極度のストレス状態の中
母体の脳から放出される
エンドルフィンやオキシトシンといった
性ホルモンが引き起こしたのだという
科学的な説明もさせていただきました。
すると、帝王切開で出産されたママから
「帝王切開だと陣痛、出産の時の声だったり
ホルモン分泌だったりを経験せずに
赤ちゃんが体外に出されてしまうのでしょうか?
こういう経験がないと、
産後の母体のホルモンバランスに影響しますか?
赤ちゃんはそのめまぐるしい活動をしている
母体の産道を抜けないことで、発達に遅れが出ますか?
そんな思いが出てきました・・・」
というメールをいただきました。
自身の体験から
純粋に、お産の素晴らしさを
ただ率直に伝えたかっただけで、
決して、経膣分娩が勝っていて
帝王切開が劣っているなんて書いたつもりはありませんが、
陣痛を美化するような記述が
帝王切開のママたちの心を乱す内容だったとすれば
申し訳なく思います。
言葉足らずでごめんなさい。
ママと赤ちゃんと
2人で力を合わせて・・・
目を閉じておなかに感覚を集中すると
帝王切開だって、いのちの持つ無限の偉大な力を
存分に感じることができますね!
結果としてどのようなお産になったとしても
妊娠していることに気づいたあの日から
つわりの時期を越え、
胎動に感動し、
だんだん大きくなっていくおなか、
変化していく身体と心に一喜一憂し、
おなかの赤ちゃんとママは
いつだって一緒に成長し、
親子の歴史を積んできました。
胎内で大切に慈しみ
小さないのちを育んできた日々は、
妊婦の脳を、ママモード準備万端に
してくれます。
そして、お産の方法がどんなであれ、
最大限に赤ちゃんへ気持ちをシフトする『出産』という
体験が愛情ホルモンの引き金をひくのです。
陣痛を経験しなくても、麻酔がかかっていても、
赤ちゃんが産まれてくる瞬間のなんともいえない
圧迫感、産声などは感じられるはずです!
ただし、『相手』を心から受け入れる体制が
整っていないときは
本能が呼び起こされません。
受け入れ体制が整ってこそ、
性ホルモンは放出されるのです。
『相手』とは・・・
例えば、SEXのときは、
『相手』=パートナー。
精神的にも肉体的にも
リラックスできていないときに惰性でSEXしても
あまり気持ちよくはなれず、
それどころか、苦痛に感じたりしますよね。
心と身体を完全に解放できていてこそ、
性ホルモンが大量放出されて
オーガズムを味わうことができます。
例えば、経膣分娩のときは
『相手』=陣痛。
女性が本能のまま陣痛を受け入れ、
肉体的にも精神的にもストレスのない条件が整えば、
本能が発揮されて、苦痛と言われる出産が
正反対の快感へと繋がっていきます。
そして、帝王切開のときは
『相手』=医療行為。
あなたが帝王切開を肯定的に受け止め、
お産の方法にこだわるよりも、
赤ちゃんが安全に生まれてくれることに感謝し、
意識を歓びに向けることができたなら、
帝王切開も経膣分娩と同じように
性的行動に共通して見られる
性ホルモンが分泌されるのです。
エンドルフィンは、麻薬効果があり
モルヒネ様物質とも言われます。
感情を高揚させ、理性を抑え、
鎮痛作用を発揮します。
このエンドルフィンの作用によって
「この世のものとは思えない幸せ」の
感覚をも味わうことが可能だし、
術後の痛みも、軽減できるよう仕組まれています。
そして、
そんな快感の中で生まれてくる赤ちゃんも、
リラックスして、
とても幸せな状態で生まれてきます。
妊娠中でさえ、おなかの赤ちゃんは
意思を持っています。
ママが楽しそうにしていると、
くるくるとおなかの中を回転したりして
「ぼく(わたし)も楽しい!」
と伝えてきます。
そこには、すでにはっきりとした
意思表示ができる一人の人格が
存在しています。
本能のまま赤ちゃんを産むと
赤ちゃんも本能で
自分が愛されていることを感じます。
ここでいう『本能のまま産む』は、
経膣分娩を指すのではないですよ。
『本能』=「赤ちゃん誕生を心から歓ぶ」
ママが感動すること、
あるいは歓喜することが、
赤ちゃんにとっても何より大切なのです。
帝王切開で出産したママのなかには
「自然分娩がしたかったのに。。。」という気持ちを
ひきずっている人も多いです。
逆子や前置胎盤、2回目の帝王切開など
妊娠中からなんらかの医学的適応があって
あらかじめ帝王切開が決まる場合は
それなりに不安や疑問を解消しながら
納得して出産の日を
迎える時間が与えられますが
自然分娩する予定だったのに
陣痛の段階で胎児や母体にリスクが出てきて
緊急で帝王切開となった場合、
自分が描いていた出産と違うことに戸惑い、
わけがわからないうちに
終わってしまった・・・
ショックを受けることもあることでしょう。
陣痛が来て、痛みに耐えながら
赤ちゃんは産道を通り生まれてくる前提で
立会い分娩に想いを馳せたり
カンガルーケアを想像したり。
いわゆる「安産」のために
自然出産のイメージをふくらませてきたママほど
まわりの言葉に傷つき
辛さをひきずってしまうのかもしれません。
「帝王切開はラクでいいよね」
「陣痛なかったなんてうらやましい」
「もうちょっとがんばれたら、自然に産めたんじゃない?」
「帝王切開で生まれた子は
我慢してないから、わがままになるらしい」
悪気はないにせよ、
心ない言葉を平気で発する人もいるでしょう。
「帝王切開」=「出産の痛みから逃げた」
「帝王切開」=「普通のことができなかった」
周囲の言葉の数々は
帝王切開を否定的にとらえられ、
「あなたはママとして、最初からつまずいたのね」
とでも言われているように
聞こえてくることもあるかもしれません。
でも、
わたしの尊敬する主治医が言ってました。
「自然分娩より帝王切開のほうが
よっぽど安全やねん」
ホントその通り!
医学的な適応があって行われた
あなたにとっての帝王切開は
「赤ちゃんの命を守るための最善の医療行為」
だったのです。
こだわりや自分の希望を捨てて
帝王切開を受け入れたあなたは、
正しい選択をしたのです。
でなければ、わが子には会えなかったかも
しれないのですから。
だから!
帝王切開を選んだことに自信を持ってください。
帝王切開をがんばったママは、
ママのスタート地点で
「赤ちゃんの命を守る」
という大仕事をしたわけです。
それって、めちゃくちゃすごいことですよね!
『おなかの傷は大切なわが子を守ったしるし』
と考えてください。
今は、帝王切開で出産するママは
珍しくない時代なのに
妊娠中の母親学級や両親学級でも
自然分娩が中心の話ばかりで、
帝王切開についてはほとんど触れられません。
だから、そういうお産の方法があるということも、
そうなる可能性は決して低くないのだということも、
その重要な意味合いも
理解できていない妊婦さんがほとんどです。
いざ、あなたが帝王切開となったとき、
心の準備ができていなければ
混乱してしまうのも、しかたがないことです。
どうか、古い考え方や
知識のない周りの人に惑わされないでくださいね。
帝王切開は、あなたと赤ちゃんための
正しい選択だったことを理解して
わが子との素敵な時間を楽しみましょう。
自然分娩を希望しているのに、
帝王切開を余儀なくされたママ。
周りの心ない言葉に傷つかれているママ。
目の前にかわいい赤ちゃんがいるのに、
ネガティブな思いを抱えて過ごすのは、
とても苦しいことですね。
今すぐに心を軽くすることは難しいかもしれません。
だったらとにかく今は、
目の前の清純無垢な赤ちゃんを、
あなたなりに、精一杯愛してあげてください。
子どもが成長していく中で、
自分自身もママとして成長し、
たくさんの困難を乗り越えていく過程で
ゆっくりと心は軽くなっていくはずです。
母子の絆はとても強いです。
自然分娩か否かに左右されるようなものではありません。
わが子に寄り添う中で、
その揺るぎない絆を徐々に確信できるようになります。
その時に初めて、心は軽くなり
吹っきれるのだと思います。
自分とわが子のことを、
信じることから始めてみましょう。
経膣分娩でも帝王切開でも、
そんなこと
本来はどうだっていいこと!
家族や周りの人たちに
見守られこの世に生まれてきたことが
すべてだという初心を忘れないでくださいね。
お産とは、
自分の力を信じることであり
女性を最高に幸せにしてくれるできごとだと思います。