HISAKOブログHISAKOブログ
2017.11.21

助産師学生にご協力を!

いつもわたしの講演会には、
九州、関東、東北・・・
飛行機に乗って日本中から
助産師や、助産師のタマゴがたくさん来てくださいます。

「HISAKOさんみたいな助産師になりたい」

「高校生のときにテレビでHISAKOさんを知って
助産師を志しました」

キラキラした瞳で
そう話してくれる助産学生さんたち。

わたしが助産師学生だったのは21歳のときです。
看護師の資格を取得したあと、さらに受験勉強をして
進学し、助産師になるための地獄の1年を過ごしました。

この1年は、もはや言葉では言い表せないぐらい、
きつい毎日でした。
いったいどれだけ涙を流したことでしょうか。

春から秋口までは、
学校で助産学の基礎をいやっちゅうほど頭に叩き込まれ
基礎知識、基礎技術を持って
秋移行は病院の寮に住み込みで鬼のような実習開始。

たぶん、助産師は誰でも
「もう二度と学生には戻りたくない」と
言うんじゃないかと思います。(^^;;

助産師は、明日の希望である赤ちゃんを
取り上げる尊い仕事を志しています。
一度に2つの命を預かる仕事なので当然なんですが、
その緊張感と重責は、21歳のわたしには重すぎました。

もともと人一倍、体力もあって、
強気な人生を送ってきたわたしでしたが
この時ばかりは弱音を吐いて
メソメソ泣いてばかりでした。

実習が始まってからの半年間は
いつなんどきお産が来て、
病棟からお呼びがかかるかわからないので
病院から10分以上かかる遠方に
出歩くことも禁止されました。

病院横のコンビニと、病院裏の寮と
産婦人科病棟という魔の三角地帯を
行ったり来たりするだけの毎日。

当時、まだ携帯電話は普及していなかったので
学生はみんな、いつ鳴るかわからない
ポケベルを肩身離さず持ち歩されました。

病棟のベテラン指導者助産師の判断で
学生が担当しても大丈夫と思われる
ローリスクの正常分娩入院があると

昼夜問わず

『03』・・・お産

奈落の底からのポケベルメッセージ。
生きた心地がしませんでした。

呼び出されたら即動く!
10分以内に病棟へ!!
急げ、急げ!
1分1秒を争うぞ!

助産学生は国家試験を受けるために、
実習期間中に正常分娩の直接介助を10人以上
とらせてもらうことが条件となっています。

出産施設の集約化、少子化、人手不足、
高齢妊娠などのハイリスク妊娠の激増など、
いろんな問題を抱える周産期領域なので
10例のお産の直接介助は、
たった10例、されど10例なんです。
もちろん、土日祝日も関係なしでした。

さらに他の学生が直接介助に入るときは、
手のあいている学生は、間接介助かベビー受けを行います。
ひとつの病院に4~5人ずつ、学生が配置されていたので
直接介助以外にも、なんらかの形で関わるお産の数は40例近くに
及びました。

いくら正常分娩であっても
ときには3日ぐらいかかる長期戦もあります。
こうなると学生は
とことん産婦さんに付き添って、赤ちゃん誕生まで
助産計画を立てては実施し、アセスメントして
その都度のお産の進行状態に合わせ、
計画を修正し、また実施して、
指導者に評価をもらい・・・を
延々繰り返していきます。

3日目にもなると、
お風呂にも入れない、ろくに食べる時間もない、
寝る暇もない、まさに体力ギリギリ、
精神状態は崩壊寸前、
人間の限界を超えていたと思います。

とうとう指導者に

「あなた、臭い!
そんな汚い状態で産婦さんのそばに寄らないで。
寮に帰って一瞬でシャワー浴びて戻ってきなさい!」

怒られたこと、
今も鮮明に覚えています。

それでもこの実習を乗り越えられたのは
自分の夢があったからだし
それを支えてくれる仲間がいたからです。

10例のお産介助のほかにも、
妊婦健診、乳児健診の介助や
新生児看護、授乳指導、妊婦教室、退院指導、
帝王切開介助とケア、

それから、助産実習のかたわら、
卒業論文のための研究も同時進行で
進めて行かなくてはいけません。

21歳の乙女が、おしゃれをして街に出かけることもなく、
世間の流行りからも、テレビからも遮断された
髪を振り乱す無我夢中の1年でした。

さらに、学生には受け持ち妊婦さんを2名ずつあてがわれます。
受け持ち妊婦さんには、
妊娠中から出産、産後1ヶ月検診まで
つきっきりで学生ならではの
全身全霊の助産ケアを提供していきます。

オドオドして、なにひとつ満足にできない助産学生を
快く受け入れてくださった妊婦さんとその家族には
心から感謝です!

責任のある立場に置かれると
人は強くなれるのだと思います。

よいお産をした人は
よい育児ができると信じています。
生涯に1回か2回か3回ぐらいしかない
人生最大とも言えるイベント、出産に立ち会えるのだから
この助産師に取り上げてもらってよかったと思われるような
人間になろうと思いました。

個人のクリニック、診療所、総合病院、
さらに専門性の高い周産期医療専門の機関、
助産院や自宅分娩、
お産の施設はさまざまだと思いますが、

助産学生の実習受け入れ病院で出産するみなさんに
お願いがあります!

助産学生に経験を積ませてもらえませんか?

学生の身です。
もちろんベテラン助産師のような手際良さには
足りないかもしれません。

そのかわり、彼女たちは誠心誠意です。
業務に慣れっこになってしまった
中堅助産師よりずっと、誠心誠意です!
(中堅のみなさま、ごめんなさい!)

あなたは神様ですか?
と思うぐらい、その妊婦さんに尽くしてくれて
一緒に泣いたり笑ったり、一生懸命に
力になろうと取り組んでくれます。

わたしにも、そんな時代があったんです。
次世代の後輩の育成は、
産み、育てる女性たちのご協力があってこそ
だと思っています。

いつか、
わたしの講演会に来てくれた助産学生さんたちが
人の痛みのわかる立派な助産師として巣立ち、
豊かな心を育み続け、
成長されていきますように・・・

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