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2017.12.06

傷つくのはこわいよね

ある高校で『いのちの授業』をしたときに
出会った高校1年生の女の子がいます。

彼女には、ずいぶん年上の彼氏がいます。
「なにもかも許された恋じゃないから・・・」
どこからともなく尾崎豊の歌が聞こえてきそうな
容認しがたい、複雑な恋が現在進行中。

愛情に飢えていて、寂しがりや。
かまってほしい。
傷つくのがこわい・・・

そんな彼女の話を、唯一、彼が聞いてくれます。
抱きしめてくれます。
そばに寄り添ってくれます。
彼女にとって居場所はそこしかありません。

自力では、自分の心をコントロールできないから
常に誰かにすがっていたい・・・

自分の弱さを、彼の優しさでごまかし、癒してもらうことで
どうにか精神状態を保っている彼女は
同じように弱くて、寂しさを抱えている
似た者どうしの彼と、
ただ傷をなめあっているだけだということに
気づいています。

お互いが自分本意で、見返りばかり求め合い、
ただ純粋に相手の幸せを願い、
高め合う建築的な関係性はおろか、
足の引っ張り合いをしているだけ。

いつまでも彼氏のところへ現実逃避していたら
自分はいつまで経っても成長できない。
だから、なんとかして
この依存から抜け出さなければいけない。

わかってる。
わかってるけど、どうすることもできないんですね・・・。

頭の中がこんがらがって、ぐちゃぐちゃになると
親や他人に当たり散らしてしまったり、
学校で暴れてしまうこともあります。

傷つくのが怖いから、自分が傷つけられる前に
先手を打って傷つける。

そんな自分が嫌で、情けなくて
過食や自傷行為に走ってしまうこともあります。

そしてまた、自己嫌悪・・・

「・・・強くなりたいんです。
変わりたいんです・・・」

ほんとはしっかりと自己分析ができる
大人も顔負けの優秀な子なんです。

地域社会では、いわゆる『問題児』かもしれません。
周りの大人は振り回されてたいへんだと思います。

でも、表面に見えている彼女は本当の彼女ではありません。
彼女の奥にある本質は、デリケートで優しい
16歳の少女なんです。

傷つくことはこわいですよね。
わたしも同じです。

これ以上傷つきたくないから
彼女は、自分を守ろうとしているだけなんです。
周囲に壁を作り、いつも臨戦態勢、
血も涙もない冷血な人間を装います。

話を聞いてくれる彼氏にだけは
本当の弱い自分を見せたい。
でも、「めんどくさい女」って思われたくない。
素の自分を見せたら去ってしまうんじゃないか?
嫌われることが怖くてたまりません。

自分の居場所がなくなってしまうかもしれない・・・
ひとりぼっちになってしまうかもしれない・・・
そしたら、立ち直れないかもしれない・・・
そんなこと、耐えられない・・・

だから、彼氏の前で、
物分かりのいい女性を演じます。

でも、それは決して自然な姿ではありません。
彼のご機嫌伺いをして、居場所を失わないように
演じているだけの関係は、対等とは言えません。

後には空虚と疲労感、
そして不安しか残りません。

そんな満たされない欠落感をひた隠し、
なんとか平常心を保つために、彼女は自分を守ります。

人を傷つけ自分を傷つけ、
他者を疎外にして殻に閉じこもって
自分を守ろうとすればするほど
結果的に人から嫌われたり、軽蔑されたり、
交渉を避けられる結果となり
また傷ついてしまうのです。

これまで、たくさん傷つけられ
どれだけ嘆き苦しんだことでしょう。
聞いてくれる大人もいなくて本当に辛かったね。

防御することで身を守れたら
絶対そのほうがいいってわたしも思います。

でも、彼女が今、対面している相手は
過去に傷つけられた張本人ではありません。

目の前の人たちは
彼女に対し友好的かもしれないのに。

盾をふりかざし剣を振り回す、
それが、心を閉ざして自分を守ろうとする
おろかな彼女の姿です。

目の前の、「こわい」「できない」と感じる問題は
今の彼女なら乗り越えられるかもしれないです。
だって、迷って、間違えたりしながら進んできた数年間は
無力だった彼女を立派に成長させてきたはずだから。

彼女は、成就することのない辛い恋愛をしていますが、
実は、たとえそれがどんなに
幸せに満ち溢れた恋愛だったとしても
人と人とが自分をさらけ出し、向き合い、
深く繋がろうとする過程で傷つくのはごく当たり前のこと。
傷つかないなんて逆に不自然なんじゃないかと思うんです。

好きだからこそ、相手の感情を汲み取れない自分に
苛立ちを覚えることもあります。
真剣なら真剣なほど、すれ違ったり、衝突したり
相手のふとした行動や言葉に、思わぬ悲しみや苦しみを
味わうことだってあります。

みんなそうやって、さまざまな人間関係を
構築しながら生きているのです。

彼女は、たくさん考えてきたはずです。
そして今も、考えているはず。

迷いも間違いも、彼女の成長の一部。
恋愛だけじゃなく、
これは人生全般に言えることですね。

ありったけの情熱を傾けて
本気で挑んだことであればあるほど
つまずいたときは深く落ち込み、大きな挫折を味わいます。
自分のすべてを注ぎ込んだと思えるほど
『本気』で向き合ったことに対しては、
人はそのぶん傷つくようにできているんです。

だから、傷つくことから逃げるのではなく、
失敗して、軌道修正して、行動して、
間違えたらまたそのとき「どうすればいいかな」って考えて
そうやって一生懸命生きていけば、それでいい。

傷つくことって、そのときは確かに悲しいし、苦しいです。
でも、それは確かに、自分の糧となり、
その傷ありきの「自分」になっていけるはず。
人生、うまくいくための選択肢がはっきりしていれば
誰も苦労しませんね。

よくないと思われる状況に陥ったときには
「人を傷つける」という方法ではなく

自分の欠点も、苦手なことも全部受け止め
「しんどい」「助けて」って
ちゃんと誰かに助けを求めることができる大人に
成長していけたらいいなぁと思います。

それは、悪い「依存」ではなく、
人生を切り開くための、
前向きでエネルギッシュな「依存」です。
そんな依存なら大歓迎です!

わたしは彼女の話を聞くことしかできないけど、
そのことで、時間をかけて少しずつでも
彼女が自分自身と向き合うことができるようになり、

そして、小さな気づきのカケラを拾い集め
勇気を持って人生を歩み出せるように
お手伝いをしていけたら・・・と思っています。

幸せになってほしい

心から願うのは、
シンプルに、たったそれだけです!

・・・今を一生懸命に生きている高校生のあなたへ・・・

人は、
ときには、とてももろく、
ときには、とても強い

そういう生きものだね。

誰かのためならば
何にも負けない強さを持てることもあるのに
自分のことになると途端に弱くなってしまう。

でも、生まれてきた瞬間、
周りの人を笑顔にする最高の思いやりを持って
この世界に誕生したんだもの!

だからこそ
人は素敵なんだと思うよ。

恐怖におののいて、
手当たり次第に人に防御の姿勢をとることで
あなたは本当に自分を守れているかな?

守れてる!って思うのなら
人になんと言われようと、
自分のやり方で堂々と守り抜けばいい。

「正しく生きる」っていうのは難しすぎて
なかなか器用にはできないね。
わたしも失敗の連続でここまで突っ走ってきたから
あなたの気持ち、よくわかる。

彼氏のことも、一緒に乗り越えようね。
すぐに解決はできないかもしれないけど、
あなたはひとりじゃないからね!!

甘ったれで、自己中で、世間知らずで
危なっかしくて。

そのくせ

純粋で、無邪気で、清らかで。
暖かい血が流れていて。

そんなあなたをほっとけない。

そんなあなたが大好き♪

HISAKO

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