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2017.12.23

お空に帰った赤ちゃん

上の子は1歳半のおっぱい星人。
最近、第2子の妊娠が発覚し、
幸せいっぱいのママがいました。

いつも笑顔がかわいくて、
素直な心の美しさが
表情に滲み出ている彼女ですが、

先日、ばぶばぶに来院されたとき
これまで見たこともない、
生気を失った表情をされていました。

最初は、つわりでしんどいのかと思いましたが
次の瞬間、おなかの赤ちゃんに
何か重大な問題が起きたのだと直感しました。

わたしの顔を見るなり
彼女は泣き崩れました。

そして静かにこう話してくれました。

「一昨日、45gの男の子を産んできました。
昨日、火葬してきました」

言葉が出ませんでした・・・。

赤ちゃんに
致命的なトラブルが起きているとわかったのは、
つい先週、妊娠12wの健診のときだったそうです。

残念ですが、諦めてくださいと
医師から絶望的な宣告をされました。

でも・・・
おなかの中で心臓が動いているのです。
致命的だと言われても、
今ここに生きているいのちなんです。

その事実を
いったいどう捉えればいいというのでしょうか。

心の整理をする時間さえ与えられないまま
それから数日後に
彼女は小さな小さな赤ちゃんを出産されました。

妊娠12w未満の流産を「初期流産」といい、
12w以降21wまでの流産を「後期流産」
22w以降を「死産」といいます。

彼女の場合はすでに13wだったので
お薬で陣痛を誘発し
分娩しなければなりませんでした。

生まれた赤ちゃんは
男の子だったそうです。

手のひらに、そっと抱っこさせてもらいました。
1歳の上の子も、小さな赤ちゃんの頭を
なでなでしました。

目も耳も鼻の口も全部揃って

「なんてかわいいんだろう・・・」

それしかなかったそうです。

わたしのもとには毎日のように
「生まれました!」の
嬉しい報告が届きます。
何度聞いても本当に嬉しく心が弾みます。

だけど、おめでた報告の影で
育つことのできなかったいのちの報告も
避けられない事実です。

流産は全妊娠の11%もの確率で起きます。
臨床の場にいると、毎日数件は必ず
流産による子宮内掻爬術が行われるほど、
わたしたちの身近に起こり得ることです。

何度経験しても
流産は切なくて苦しくて悲しい。

「もうすでに子どもがいるんだから
いいじゃない?」

「またすぐ妊娠できるよ!」

励ましてくれる人もいるけど
そういう問題じゃないんですよね。

11%という数字はあくまでも
妊娠していることを自覚、診断できるようになる
妊娠5w以降での確率なので、
もっと早期の、本人も気付かない間に起こる流産もいれれば、
全受精卵の50%以上の高率で
胚は自然淘汰されているそうです。

授かったいのちが、
育つのか育たないのか。

こればかりは、
いくら医学が発達したとしても
わたしたち人間の力では
どうすることもできません。

自然のなりゆきに身をまかせ、
現実を受け止めるしか
手立てはないのです。

わたしも母子手帳をもらってきたあと
まさかの流産をしたことがありますが

しかたがないってわかっていても・・・
流産はやっぱり
悲しい・・・。

彼女のおなかに宿っていることがわかってから
あまりにも短すぎるいのちだったけど、
それでも、この世界に舞い降りてくれたことに
意味があったはずです。

彼女に気の利いた言葉も
かけてあげられませんでした。

母子手帳の出産のページには
お産の記録を残してもらったそうです。

障害がわかり、出産するまで
上の子も、パパも、
両実家も、

みんながいのちに向きあい、
支え合ったそうです。

みんなが精一杯がんばったそうです!!

ひっそりと胎内に宿り、
多くの人にそのいのちの存在を知らしめる前に
静かにお空に帰っていった赤ちゃんは、

家族の絆をもっと強固なものにする
大きな大きな使命を
まっとうしてくれたのですね。

・・・わたしにできること

それは、
彼女のおなかに確かに存在していた
小さないのちの物語を
このブログでみなさまに伝えることだと思いました。

こんないのちがあったんだよって
一人でも多くの人に
知ってもらいたいと思いました。

いのちって、あったかい。
いのちって、ずっしり重い。
いのちって、一生懸命。
いのちって、素敵。

でも、ずっと続くことはなくて
いつか終わってしまう、儚いいのちだから。

わたしたちは1日1日を大切に
今、ここに生きていることに感謝して
いかなくていけないと
改めて、強く思ったできごとでした。

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