ミルク補足が必要なこともあるんだよ
眠り姫で、1回の授乳で少量しか飲めず
体重増加が思わしくない生後20日目の赤ちゃんが
来院されました。
2週間健診で、退院時からほとんど体重が増えておらず
「飲めるだけミルクを足しなさい」と指導され
やむをえず言われた通りにミルク補足をされていました。
おっぱいはそれなりに出ているのに・・・
赤ちゃんも一生懸命飲んでくれているのに・・・
どうしてミルクを足さないといけないんだろう・・・
「飲めるだけ足す」って・・・
そんな足し方して、おっぱい飲めなくならないのかな?
「おっぱいで育てたい!」というママの強い意向があり、
ミルクを足しつつもなお、
1日20回の頻回授乳を維持していたことには脱帽でした!
原因がわからないままに
赤ちゃんの体重が増えなかったら心配です。
なんらかの病気が隠れている場合もあるから
慎重にならなければなりません。
が、この子の場合は
掘り起こしていくと
「体重増加ゆっくりで当たり前やんー」
という事項が、ザックザック出てきました〜。
・37w、少し早めに生まれてきたこと
・女の子だったこと
・お産が26時間もかかった末に
分娩停止で帝王切開になったこと
・お産の途中からママが高熱。赤ちゃんも感染を起こし
GCUで治療を受けたこと
・2468gと小さめ赤ちゃんだったこと
・お産の時の出血量が900gと多めだったこと
・黄疸で2日間の光線療法を行ったこと
理由さえはっきりすれば
具体的な改善の方法も見えてくるし、
根拠が明確になれば、
放置していて大丈夫な体重増加不良なのか、
それとも放置しちゃいけない類のものなのかも
判断もしやすく安心できます。
出産から生後間もなくに
体力気力を大量消費することが次々あった子は、
眠りがちになり、がっつりおっぱいを飲む
スタミナもありません。
消費したものを充電するには
1ヶ月・・・もしくはもう少しの時間が必要なのです。
だったら、エネルギーチャージ完了まで
上手にミルクを足しながら、頻回授乳を惜しまず、
ひたすら待ってあげることが
この赤ちゃんの場合には必要であることがわかります。
母乳で育てたい母心はよくわかるけど、
ここで頑なに「ミルクは足したくない!」のはNGです。
乳児期前半の赤ちゃんの体重増加は
やはり大切です。
必要があってのミルク補足は、
柔軟な気持ちで受け入れてあげなければいけません。
医学的適応のない、不必要なミルクではないのだから、
それは決して「負け犬」ではありませんよ。
時々、このような親子に対して
「赤ちゃんが飲めるだけミルクを足して」という指導をしている
産院があるようですが、
それってあまりにも乱雑すぎませんか?
頻回授乳を妨げないレベルの量を、
赤ちゃんの体重増加率を細かくチェックしつつ
具体的に示していくのが適切な指導というものですね。
今日は、ばぶばぶで体重定期チェック&おっぱいケアの日でした。
1ヶ月後半までなかなか体重が増えなかった赤ちゃんは、
2ヶ月目前にして、ようやく体重増加度が増し始めました!
そろそろ、ミルクを減らして、
さらにおっぱい率を上げ、
完母方向に仕向けていきたいと思います♪
ママ、ここまでよく頑張ったね〜!!