双子を産みたいって言うけど・・・
街で見かける双子ちゃん。
かわいいですよね〜。
2人分のお世話をするわけだから
さぞたいへんだろうなぁと思うけど、
傍目に見てるぶんには本当にかわいらしい!
それゆえ、ときどきばぶばぶでも
「双子を妊娠したい!」とおっしゃる方がおられます。
双子には2種類のタイプがあって
受精卵が子宮内膜に着床する頃(受精後8日目ぐらい)に、
なにかの拍子に2つに分割して
それぞれ成長していく『一卵性』、
2つの卵子が同時に排卵され、
それぞれが精子と出会って受精し、
2つの受精卵となる『二卵性』があります。
一卵性の双子は、顔がそっくりです。
性別は同性、血液型も同じ、遺伝子的に同質です。
おなかの中で2人とも順調に育ってくれることもあるけど、
ひとつの胎盤を2人の赤ちゃんが共有するケースや
ひとつの羊膜の中に2人の赤ちゃんが
共存しているケースなど
妊娠の継続そのものが難しいような場合もあります。
胎盤を共有するため、
2人の成長に偏りが出てしまうことがあったり、
赤ちゃんを包む膜がひとつしかないので
赤ちゃん同士を隔てる壁がなく、
へその緒同士が絡まってしまったり、
このタイプの一卵性双子は大病院で厳重管理に
なります。
先日ばぶばぶでは、
胎盤、羊膜がひとつしかないタイプの三つ子ちゃん妊娠の
ママに出会いました。
「そんなことってありえるの?」というレベルで
珍しい妊娠でしたが、
ハイリスクすぎて妊娠継続は不可能であるという診断。
せっかく宿った三つ子をあきらめざるを得ないという
悲しい出来事がありました。
胎盤はひとつだけど、赤ちゃんを包む卵膜は
2つあるタイプの一卵性双子は
胎盤・卵膜共有のタイプよりはずっとましだけど
一卵性である時点で、やっぱりハイリスク。
二卵性の双子は遺伝子的に同質ではなく
性別も性別も同じとは限りません。
簡単にいうと、同時に生まれてきたきょうだいで、
卵膜も、胎盤もそれぞれにひとつずつ存在するため
栄養や酸素が偏ることがなく
一卵性のような致命的なリスクは伴いません。
不妊治療では、
排卵誘発剤を使って複数の排卵を促すために
二卵性の多胎を妊娠することがありますが、
昔は少しでも治療成績を上げたいクリニックが
たくさんの受精卵を一気に子宮内に戻した時代がありました。
その結果、超ハイリスクな
三つ子や四つ子を妊娠を誘発しました。
それを受けて、
2008年に、日本産婦人科学会が、
不妊治療で子宮内に戻す胚(受精卵)の数は
原則1つ、という提言をしました。
以後、不妊治療に伴う双子妊娠の発生率は
昔ほどは高くなくなりました。
そういっても、
2人以上の赤ちゃんを一度に妊娠することは
医学的には細心の注意が必要になります。
妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの
母体側の合併症のリスク、
早産、未熟児などの赤ちゃん側のリスクなど
単胎妊娠に比べたら、妊娠中になんらかの問題が
起きる可能性はずっと高くなります。
慎重に経過を見守らなければらならないし、
ときに未熟児で生まれてしまうような場合には
視力や聴覚などに障害が現れることもあり・・・
生まれるまで常に不安定で
いわゆる安定期なども「ない」と思ってもらったほうが
いいかもしれません。
無事に、健康に生まれてきてくれるとは限らない、
それが、多胎妊娠なのです。
そういうことを何も知らないと
「かわいいから双子がほしい」
「一気に出産、子育てを終わらせたい」
ってことになるのでしょうが、
これだけいろんな危険性をはらんでいる双子妊娠を
そうたやすく望んでいいんだろうか?
と思います。
実際、双子妊娠中のママたちの気持ちは複雑です。
今は超音波診断技術が発達して
妊娠初期に双子は正確に診断できるようになりました。
妊娠がわかったとき嬉しかったか?
というと、
妊娠の喜びよりも
無事に生まれてくるまで不安でたまらなかったり、
切迫早産で管理入院を余儀なくされ
精神的に不安定になってしまったり、
なかには、人工妊娠中絶を選ぶ妊婦さんも
いらっしゃるのが現実です。
体質的に卵巣を刺激するホルモンの
分泌量が多い遺伝的要素を持つママ家系では
自然妊娠のなかで発生する二卵性双子が、
多くなることがあります。
ばぶばぶのママで、
双子三連発、計6人の子どものママがいらっしゃいます。
彼女自身が双子で、彼女のお姉さんも双子を
出産されているそうです。
「次、もしも妊娠しても
双子しか生まれる気がしない・・・」
と、ママはおっしゃっていました。
ちなみに一卵性の双子は、パパ側の家系の
遺伝がかかわっていることが多いです。
初産より経産のほうが若干双子妊娠率は上がります。
複数個の卵子を排卵させる機能(ホルモン分泌)が
年齢とともに上昇するからです。
40代になると自然妊娠そのものが
難しくなってくるということはあるのですが、
運良く妊娠できた場合には双子率は上がります。
日本でも双子出生率は1/100なので、
けっこういるんだなぁという印象ですよね。
ちなみに人種では、黒人がもっとも双子を産む率が高く、
アジア人は低いです。
なぜか?
日本のように四季があり、
温暖で作物が実りやすい過ごしやすい環境化では
年間を通していつでも妊娠に適した時期という
ことになり、生物学的には単胎で回数をこなして
繁殖していく方式がとられたそうです。
一方、雨季や乾季、過酷な環境化の亜熱帯地域では
いつでも繁殖に適した環境とはいえないために
産めるときに一度にたくさん産んでおこうという
遺伝子的プログラムが起動して、
多胎が多くなるのだそうな。
自然界の掟はすごいですね〜!
わたし自身、双子を妊娠したことがあります。
でも、妊娠初期に片方の子だけ流産してしまう
バニシングツインと呼ばれるトラブルを経験しました。
バニシングとは、「消失」を意味する言葉。
バニシングツインがあった場合、健常児の死亡率も
単胎の5倍ぐらいまで跳ね上がるので
無事に生まれてくるまで気が気じゃなかった思い出が
あります。
双子ちゃんは無事に生まれてくれれば
かわいいけど、
2人とも無事に出産できること、
それらは決して当たり前のことではないという
事実を知っておいてくださいね。