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2018.11.05

(1)『産後うつ』を救うもの(前編)全5回シリーズ

産後10日目から半年の時期は、
産後うつが起こりやすい期間です。
(わたしの経験上は
産後1年まではうつになりやすいと感じています)

産後うつの症状は、個人差がありますが
要注意なのは

「眠れない」
「何もする気にならない」
「赤ちゃんがかわいいと思えない」
「自分は生きていたらダメな人間じゃないか」
「消えてしまいたい」
「死にたい」

これらの言葉が出てきたときです。

今の日本では、
このデリケートな時期のママへの継続的なケアが
まったくと言っていいほど足りていないと思います。

妊娠中には定期的に妊婦健診があり、
その分野のプロフェッショナルとつながっているので
いつでも、不安、疑問、
質問できて、助けてもらえる安心感がありますが、

退院と同時に産院とのつながりは希薄になって
産後1ヶ月健診を終えると完全に終結するのが
現状です。

産後まもなくのママの身体は、
骨盤や腰の痛み、会陰切開の傷、痔、悪露、
乳輪乳頭の傷など
さまざまなダメージを受けています。

女性ホルモン優位の妊娠期から、出産を機に
授乳ホルモン優位へと激変することで
そのあまりのスピードについていけず
感情は、コントロールできないほど激しく乱れます。

そこに追い打ちをかけるように
思い通りにいかない授乳、
泣き止まず、眠ってくれない赤ちゃん。
「こんなはずでは・・・!」のオンパレードが襲ってきます。

必然的にママは寝不足になり、
予想以上のたいへんさに、
疲労感はどんどん増していきます。

ばぶばぶでも、
産後すぐのママは共通して
みんな、涙もろいです。

出産後から2週間ぐらい続くブルーを
『マタニティーブルーズ』といいます。
これは10人中8人ぐらいが経験します。

わたしは11回のお産をしましたが、
なんと、11回とも産後には
マタニティーブルーズの自覚がありました。

意味もなくため息が出たり、
なんとなく気分が乗らなかったり、
些細なことで涙がポロポロ止まらなくなったり
するんです。

え?
これぐらいのことで
なんでわたし、泣いてんの?

と、冷静なもう1人の自分が、
パニックになっている現実の自分に
問いかけていました。

さすがに11回目のときは
「まだ来るんか!」
びっくりすると同時に笑えてきました・・・^ ^
笑いながら泣いてました。

2週間程度で自然に軽減すると数々の書籍には
書いてあるのですが、
ばぶばぶに来ているママたちを観察していると
1~2ヶ月続いて、その後、自然軽快している人が
多いような印象があります。

一過性のホルモン変化と環境の変化が原因なので、
時間の経過とともに、ホルモン状態が安定し、
赤ちゃんのいる生活に少しずつ慣れてくることで
自然に張り詰めていた気持ちがほぐれ、
ママは笑顔を取り戻していきます。

この、病的ではないブルーの時期に
ママに暖かく寄り添ってあげられると
ほぼ、産後うつを発症させずに済むんです。

退院後には、「2週間健診」(実施していない産院もある)
産後1ヶ月目に「1ヶ月健診」があります。

その後は産後3ヶ月未満のどこかで
自治体の助産師や保健師が家庭訪問してくれますが、
せいぜい1回、ないしは2回までです。

大阪市では、産後うつが心配なママに対しては、
専門的養育支援家庭訪問として、4ヶ月健診までの期間、
助産師が週に1回訪問、
ママサポートを行う事業が行われています。

わたしは5年前までこの事業を担当していましたが、
4ヶ月健診直前の訪問ラストの日には
関わったほぼ全員のママが、

「今後も継続して訪問してほしい」
「今やめられたら困る」
「これからは誰に相談すればいいの?」

不安いっぱいで懇願されたのが印象的でした。

そうなんですよ。
産後4ヶ月なんて、ほんとはまだ
子育てのほんのスタートラインなんです。

決まりだから、今日で訪問は最後だけど、
でも・・・
このまま見守ることができなくなることに
わたし自身がとても不安になりました。

なぜなら
産後はまだ、これからも続くからです。
産後うつ発症のリスクは、
依然として高い期間が続くのです。

赤ちゃんはどんどん成長していきます。
今日成功した寝かせつけ方法が、明日も通用するとは
限りません。

行動計画を立てたところで
日々変化していく赤ちゃんに、
それは無残にも崩されていきます。

だから、本当は
これから先も切れ目のない継続したサポートが必要なはず。

子育てにも、自身の女性としての生き方にも
自信を持てるまで、サポートは必要です。

不安で今にも泣き出しそうなママの表情を見ていて
たった4ヶ月前後で訪問終了なんて、
中途半端なところでママサポートを放棄するも
同然のように思えました。
申し訳なくてたまりませんでした。

また、この事業は、
妊娠出産という大きな環境の変化のなか、
必死で子育てをがんばっているママを救うというより、

「虐待予備軍のママから赤ちゃんを救え!」

という、
赤ちゃん視点の考え方が
メインになっているように思えました。

わたしのひねくれた感じ方自体、
問題なのかもしれませんが、
ママが「危険人物」「悪の根源」みたいなイメージが
拭えなくて、苦手でした。

産後の訪問では
なによりもママの心のケアが重要です。

ママが弱音を吐かなくても、
笑顔が見られても、

もしかしたら本人さえ気づいていない無意識下の苦悩と葛藤が
胸の奥に存在するかもしれない。
かもし出す雰囲気、オーラから、
デリケートに揺れる心の核心に、
ズバリ気づいてあげられる鋭い観察力が必要です。

また、本当の自分に自身が気づき、
鎧を脱いで正直に言葉にして表出できるよう
うまく引き出してあげられるような、
高度なコミュニケーション技術も必要。

ママの救世主となれる経験と知識、技術がある
訪問助産師、保健師がどれだけいるのかなぁ・・・

産後の訪問がどれだけ本当の意味で
機能しているのかなぁ・・・

あなたは、いかがだったでしょう?
パパ、家族、自治体、小児科、産院、助産院
などなど

産後のサポート、
そしてサポートの質、

満足のいくものだったでしょうか?

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