あ〜と〜で!
3歳りのちゃんとママが
公園のブランコで遊んでいたら、
他の子どもがやってきました。
「かわって」
りのちゃん、たった今ブランコに乗ったばかりです。
さぁどう出るか?
「かわって」→「いいよ」
「かわって」→「イヤや」
肯定or否定
どっちかだろうと予測していたら、
「あ~と~で!」
りのちゃんの気持ちを代弁すると
「代わってあげてもいいけど、
今わたしが乗ったばかりだから、ちょっと待ってね」
ってことですよね。
「イヤ」とトゲのある全否定はせず、
かといって「いいよ」と相手の思い通りにもさせず。
微妙なニュアンスを含んだ「あとで」。
なんとなく柔らかさのある言い回しに、
りのちゃんママは、
「あとで」って、なんてステキな言葉!
感動したのだそうです。
吉本新喜劇のネタにもなっているぐらい、
未就学児〜小学校低学年によく見られるやりとりが
「ごめんね」→「いいよ」
「かして」→「いいよ」
「(仲間に)入れて」→「いいよ」
ですよね。
昔、小学校の終わりの会で、
女子「今日、○○くんが掃除をさぼっていました」
日直「○○くん本当ですか?」
男子「はい」
日直「じゃあ謝ってください」
男子「掃除をさぼってすいませんでした」
日直「××さん、これでいいですか」
女子「はい」
日直「では終わりの会を終わります」
という、無意味な棒読みの話し合い(?)が
繰り広げられていたのを思い出します。
女子よ、
そんな簡単に謝られて納得できてるんか?!
男子よ、
ほんまに悪かったと思ってるんか?!
話し合ってお互いに仲直りさせようという流れだけど、
言葉と心がまったく連動していません。
もはや、「山!」→「川!」のような
合言葉でしかないですね。
男子はきっと、
早く終わりの会を終わらせて帰りたい。
長引くとめんどくさいから
とりあえず謝っとけ!・・・な、ノリですね。
もっと小さな子でも、
すぐ「ごめんね」を連発する子がいます。
何がごめんなん?
「ごめん」の内容を、
きっちり聞いてあげるようにしないと、
その子にとって「ごめん」はまったく意味のない
言葉になってしまいます。
また「いいよ」と言った子にも
ほんまにそれでいいん?
問い返すことも大事だと思います。
そして、4~5歳ぐらいになると
「ごめんね」→「いいよ」の方程式は
成り立たない場面が増えてきます。
「ぼくは悪くないのに!」
「わたし、わざとじゃないのに!」
大人はつい、素直に謝れる子、
人を許せる子になってほしいと考えてしまうので、
「いいよ」と譲れる精神を叩き込もうとしますが、
謝れないのも、譲れないのも、
小さな心に意思が芽生え始めたからです。
それは足を引っ張るべきではない心の成長です。
子どもの話をろくに聞かないで、
「ごめんね」→「いいよ」
「かして」→「いいよ」
で体裁よく美しくまとめようとするのは
大人都合の短絡的な解決法だと思います。
小5のここちゃん。
友達と一緒に帰る約束をしていたのに
うっかり忘れて先に帰ってしまいました。
翌朝、友達に
「昨日帰ってしまってごめん!忘れてた!」
謝りましたが、
友達の答えは
「イヤや!許さへん!」
その日は放課後まで冷たい態度が続いたそうです。
「まぁ、怒ってるときになんぼ謝っても無駄やし、
ちょっと経ってからもっかい謝ってみるわ」
ここちゃんは平然としていました。
5年生にもなれば、トラブルが起きたとき、
必ずしもすぐに解決しなくてもいいってことを
すでに学んでいます。
ほとぼりが冷めたころ、
改めて謝る機会も逃したまま自然に解決することもあるから、
友達がカッとなっているときは
慌てず冷却期間を置いてみようと・・・。
う〜ん、オトナだ。
ここちゃんの言うとおりで、
話し合いの終わり方に正解はありません。
いつもいつも
「ごめんね」→「いいよ」
「かわって」→「いいよ」
である必要はないのです。
子ども同士、トラブルが起きたときこそ
コミュニケーション能力を磨く絶好のチャンス!
自分がどう思っているのか。
どうしたいのか。
どうしてほしいのか。
そして、相手の気持ちはどうなのか。
考えるきっかけになります。
考えた結果、納得してはじめて、
心から悪かったと思えてはじめて
「ごめんね」の言葉が自然に口から出るようになり、
相手の気持ちを思いやることができてはじめて、
「いいよ」が言えるようになります。
体験の中から芽生えた思いは
子どもたちの心の基礎になっていき、
この積み重ねこそが、大人になったときの
器の大きさに現れてくるのではないかと思います。
冒頭の、りのちゃんは
「あ〜と〜で!」が言えてとてもカッコよかったですが、
「あとで」という言葉、
ママたちも子どもに対して乱用していませんか?
ママー見てー!
あとで。今忙しい。
ママーあのねー!
ちょっと待って。あとで。
本当は「あとで」と子どもを待たせるのではなく
ママのしている用事を「あとで」にするのが理想。
つまり、待つべきなのは子どもじゃなくてママのほう、
という発想ですね。
でも現実のママたちは
毎日やることだらけで本当に忙しいです。
やり始めた用事は中断されずに滞りなく終わらせたいですね。
ママからしてみりゃ、
子どもの「ママー!」は、
緊急に用事を中断しなくちゃいけないほどの重大事項ではありません。
優先順位の低い、どうでもいい要求だから、
つい後回しにして、自分のしたいことを優先してしまいます。
おおまかな行動計画を頭の中で練りながら
用事をしているので
つまらないことで予定外に手を止められると、
けっこうなストレスになりますよね。
実際、大人にも都合があるんだし、
いちいち手を止めて子どもの話に耳を傾けてたら
家の中が止まっちゃいます。
よって、
「あとで」はママの用事。
「あとで」で子どもを待たせるべきではない。
という『キレイごと』『できたママ』思考は、
リアルではない!!
とわたしは思うのです。
子どもに「あとで」って言ってもいいと思うんですよ。
ただし、ママは3歳りのちゃんじゃないんですから、
「あとで」だけじゃ、伝え方としては不足です。
「洗いものが済んだら聞くね」
「洗濯物たたみ終わったら見るね」
「あとで」がいつまでなのかを
具体的に子どもに伝えてあげましょう。
そして「あとで」と言ったからには、
その約束は絶対に守ってあげてくださいね。
ばぶばぶで、
こんなエピソードがあります。
「今日は洗いもの僕がするよ」と言ってくれたパパ、
喜んだもつかの間、
いつまで待っても始めようとしない・・・
「やるって言ったんだから、早くやってよ。
いつやるの?」
しびれをきらしてママが指摘したら
「あとでやるよ・・・」
めんどくさそうな答えが返ってくるだけで
なかなか始めようとしない・・・
「あとで」って、いつやねん!!
果たされない約束を繰り返されたら
相手に不信感しか感じなくなりますよね。
もうパパのこと信じられないし、
待てないし、我慢できなくなります。
りのちゃんママが感動したように
「あとで」は、YESかNOかという
断言的な直球の言葉に比べて
ニュアンスを含んだすてきな言葉だと思うから、
大人はそこにもうちょっと色を添えて具体的に
「あとで」を上手に使っていきましょう!
ママが約束を守ることで、
子どもはそれを信じて「待つ」「我慢する」力を
身につけていくと思います♩