妊娠中の腰痛
ばぶばぶには産前おっぱいケアで
妊婦さんがたくさん来院されます。
おっぱいケアは寝転んだ姿勢で行いますが、
手技のあと、
腰痛で起き上がれなくなる妊婦さんが続出!
ちょっと待ってくださいね・・・
イテテテ・・・・
右向いて、左向いて
せーの
うっしゃ!
おりゃ!
妊娠後期は
気合の掛け声がないと
もはや起き上がることさえ難しくなります。
裏返しにされて元に戻ろうと、もがく亀みたいですが(失礼)。
大きなおなかに支配されて自由がきかず
じたばた悪戦苦闘する妊婦さん、
微笑ましくかわいらしくて
見てるこっちまで笑って・・・いえ、
骨盤周り、いろんなところが痛いよなぁ
と思わず歯を食いしばってしまいます。^ ^
辛い妊娠中の腰痛は
どんな理由で起こるのでしょうか。
足の付け根~お尻・腰にかけての骨は、
複数の骨がそれぞれ上下左右のじん帯でつなぎとめられて、
1つの大きな骨「骨盤」を形成しています。
生まれてくる赤ちゃんの頭は
グレープフルーツぐらいの大きさがあり、
ママの骨盤を通れるか通れないかギリギリのサイズです。
なので、妊娠前と同じ広さの骨盤では
物理的に赤ちゃんの頭が通過することはできません。
そこで妊娠したことに気づくおおよそ妊娠5wころから、
のちに胎盤になっていく受精卵の一部分(じゅう毛)という組織から
リラキシンというホルモンが分泌を開始し、
骨盤の周りのじん帯や関節が少しずつゆるめていきます。
赤ちゃんがストレスなく生まれてくることができるように
妊娠発覚と同時にお産の準備を始めるのです。
女性の持つ、子を育み生み出す本能はすごい!
ギリギリになってから
お尻を叩かれてやっと腰をあげるんじゃなく
計画的に、先を見越した用意周到な準備・・・
無意識下でやってのけるって、
わが身体ながら、尊敬してしまいます。
普段からよく運動し、バランスよく食べ、
キュッと締まった健康な骨盤を持っていれば
妊娠してもリラキシンの作用は
日常生活に支障の出ない程度です。
効率のよいお産のためだけの、
ちょうどいいゆるみレベルなら
妊婦の身体に大きな不快症状は起こりません。
わたしは11回出産して、
幸いにも妊娠中にも産後にも
一度も腰痛を起こすことがありませんでした。
昭和生まれやし。
子どもの頃はゲームもまだそんなに普及してなかったし。
スマホなんかもちろんなかったし。
小学生のときはコンビニなんかもなかったし。
暑い日も寒い日も、
外が真っ暗になるまで山の中を
走り回って遊ぶ毎日でした。
家に車がなくて
田舎で不便なのに、移動手段はひたすら
自転車と徒歩ばかりだったこともよかったのかもしれません。
そして、競泳、陸上
本格的に鍛えあげられた身体は
確実に今のわたしの
強さの基盤になっているのだろうと思います。
また、ずっとヨガをやっていたことも
妊娠出産に適した身体に貢献したと思います。
今の若い女性は
子ども時代からの運動不足や
偏りがちな食生活、夜更かし、
朝寝坊など、生活リズムの乱れなどの蓄積によって、
妊娠する前からすでに
骨盤の周りのじん帯、関節、筋肉が弱く、
骨盤を形成するためにつなぎとめられている
たくさんの骨がそれぞれとても
不安定な状態になってしまっている人が多いように思います。
細いのに、猫背で下腹がぽっこり出ている女性、
妊娠前から腰痛を訴える女性
妊娠する以前からゆるんで開いた骨盤の女性が
妊娠してリラキシンの分泌が始まったら
どうなるでしょうか?
骨盤は「これでもか!」と裾広がりに開き、
ゆるみすぎて今にも崩れてしまいそうになります。
必要最低限に左右均等
キレイにバランスよく開いた骨盤ならいいのですが、
じん帯が伸びすぎて必要以上に開いてしまった骨盤は、
ユルユルグラグラで不安定です。
なんとかしてバランスをとり
骨盤を安定させようと四苦八苦します。
そして、
身体のさまざまな部分に負荷がかかり、
全身の筋肉が硬直して、
じん帯は極限まで引き延ばされ
骨盤はただゆるんで開くだけではなく、左右上下
どこかがあらぬ方向へとゆがみ、ずれ、
かたむきなどを生じてしまいます。
崩壊しないようにとお尻の筋肉が張って
どんどん腰痛が出てきてしまうのです。
リラキシンは妊娠初期に急激に分泌されて
妊娠後期でふたたび増え始めます。
おなかも大きくなり、体重増加もあって
それに応じて腰痛が起きる率も上がってきます。
おなかを支えるために
骨盤も腰椎も前方に傾きます。
そのままだと前に倒れてしまうので
背中の筋肉で後方へ引き戻すようにしてバランスをとります。
重心はかかとに傾き、反り腰の状態に。
つまり、妊娠後期は背中の筋肉が絶えず張った状態になるのです。
腰といっても範囲は広くて
お尻に近いところ、背中に近いところ、いろいろです。
痛みの感じ方も違和感から鈍痛、
刺すような痛みなど人によって異なります。
よほど歩行困難になって日常生活に大きな支障が出ないかぎりは
妊婦だからある程度はしかたがないと
我慢してしまっているかもしれませんが、
妊娠中から産後半年の女性の骨盤は
リラキシン効果でびっくりするほどしなやかなので、
腰痛は悪化しやすいと同時に、
ちょっとした意識で、改善される可能性も高いんです。
そのために、
できることはいろいろありますよ。
妊娠中の腰痛のほとんどは
骨盤の問題から起きているので
辛くてたまらないときは
マタニティー整体、カイロプラクティック、整骨院などで
骨盤調整をしてもらいましょう。
また、冷えると骨盤内の血流やリンパの流れが滞ります。
するとさらに筋肉が張り、腰痛悪化になるので
身体を冷やさないように気をつけてくださいね。
姿勢にも気をつけて。
重心がかかとにばかりかかって
踏ん反り返った姿勢になっていませんか?
体重の急激な増加にも気をつけてくださいね。
骨盤ベルトを締めて腰痛が楽になるようなら
使ってみましょう。
ただしベルトは装着位置がとても難しいので
できれば整骨院などで正しい付け方を
教えてもらったほうがいいと思います。
サンスクリット語で『マージャラアーサナ』
ヨガの『猫のポーズ』もおすすめです。
(実はわたし、マタニティーヨガのインストラクター資格を
持ってます)
お風呂上がりに行ってみましょう。
1)両手を肩の真下におろして床につき、
両膝を腰よりも後ろについた四つん這いの姿勢をとります。
両手と両膝を肩幅ぐらいに開き、
腕と太ももが床と垂直になるようにします。
目が両手よりも少し前に。
両手の指をしっかり開いて手のひらをベタっと床につけます。
足の甲を床につけ、つま先を伸ばします。
2)息を吐きながら、両手と両膝の位置は動かさず
背中を丸めていきます。
背骨が天井に引き寄せられるようなイメージで
猫が威嚇するときのような丸まった姿勢に。
目はおへそ。頭を下げます。
ゆったりと3回ぐらい深呼吸しながら30秒ほど姿勢を保ちます。
3)息を吸いながらゆっくりと背中を元に戻します。
床と背中が並行になるように。
ゆったりと3回ぐらい深呼吸、30秒姿勢キープ。
(腰痛がない人は、お尻を天井へと突き出すイメージで
胸を張り、目線は天井に向けましょう)
1)~3)の流れを5回行います。
マージャラアーサナは、背骨や肩甲骨の周辺を柔軟に動かし
背中や腰の筋肉をリラックスさせることができる動きです。
本来は、背中をそらす→丸める
一連の動きを通して腰回りの筋肉をほぐしていくのですが
腰痛がひどいときは「背中を反らす」動きは
省いて「背中を丸く→まっすぐ」にしてみてくださいね。
首が痛い人は、目線を天井に向ける動きは避けましょう。
妊娠期の腰痛が、
産後に持ち越されることがないように
子育ては体力勝負だからこそ、
妊娠を機に、自分の身体の発する声に
耳を傾けてみましょうね!