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2019.05.23

乳腺炎治療の基本軸

乳腺炎。

おっぱいの痛みだけじゃなく
尋常ではない関節痛、頭痛、発熱、倦怠感
経験者はよくご存知だと思いますが、
ありゃもう、気合いで乗り切れるような
レベルの代物ではありませんよね。

多くのママは心身ともに消耗、
育児に自信がなくなり、
すべてがネガティブになってしまいます。

あまりにもしんどすぎて
受診する気力もないかもしれませんが

適切な治療をせず、なんとなく放置すると
一旦は治ったように思っても、
すぐに同じ箇所が再発したり、
症状が悪化して乳腺膿瘍に発展、
外科的な治療(切開)が必要になることもあります。

乳腺炎の一番の治療は

とにかく授乳!
とにかく排乳!

ですが、

乳腺炎になると
明らかに塩辛い母乳が出てくるので、
赤ちゃんが嫌がってまじめに飲んでくれないことも
多いです。

母乳に膿が混じって出てきたとき、

「こんなバイキンのかたまり、
赤ちゃんに飲ませて感染したらたいへん!」

勘違いしているママにもときどき出会いますが
そうではありませんよ。

ママが急性化膿性乳腺炎にかかっていても
赤ちゃんに感染することはないことが
研究では明らかにされていますから
高熱と激痛のなかの授乳は拷問のようですが、
決して授乳をやめることがないように
がんばってくださいね。

赤ちゃんが嫌がって飲んでくれないときは
ひたすら搾乳をします。

うっ滞している母乳の排出が
乳腺炎治療の基本軸です!

外科的治療(切開)という最悪の事態に
ならないように
正しい知識を持ちましょう。

乳腺炎で病院に行くと

「マッサージはできません
とにかく授乳をしてください」

抗生剤処方だけで
あっけなく帰されることもあるようです。

逆に時間をかけてしこりのところをアザになるまで
マッサージされ、
乳腺炎悪化でばぶばぶに駆け込まれるママも
いらっしゃいます。

炎症している乳腺組織をゴリゴリ刺激したら
悪化するのは当然ですよね。

炎症部分をもみほぐす、
しこりを取り除く、

ということではなくて、

赤ちゃんが炎症部分の母乳をしっかり
飲んでくれない場合を想定して、
適切な手技により、
母乳の排出を促す必要はあると思います。

抗生剤を内服すれば
すぐに症状はよくなるかもしれませんが、
母乳の排出を怠ったまま薬を使っても
一時しのぎにしかならず、
結局、ほどなくして再発するのがオチです。

感染を伴わないうっ滞性乳腺炎のときには
抗生剤は必要ありません。
むしろ、使うべきではないです。

ですが、まだ感染は起こしていなくても
乳頭亀裂や水砲形成があるときは
感染リスクが高いと判断して抗生剤をすすめます。
(ばぶばぶでは、婦人科クリニックと
連携を組んでいます)

細菌感染を伴う化膿性乳腺炎のときは
迷うことなく抗生剤の内服が有効です。

症状が落ち着いたとしても
5日間、最後まで内服は継続、
自己判断でやめてしまわないようにしましょう。

乳腺炎再発のママに聞きとりをしてみると

2日間、抗生剤内服して
痛みも熱もすっかりよくなったので
薬をやめてしまった・・・
授乳中に薬を使うことになんとなく罪悪感があって・・・

このようなパターンも多く
投与期間の短さと再発率には
関連があると思います。

授乳中に使える抗生剤はたくさんあるので
自己判断はやめましょうね。

『溜まりすぎた母乳の排出』が
乳腺炎治療の基本軸ですが、

根本的な治療とは別に
対処療法(今この瞬間の苦痛を取り除く)も
あります。

解熱鎮痛剤は授乳中、OKです!
名前のとおり、熱を下げる効果と
おっぱいの痛み、関節痛、頭痛など
乳腺炎特有の痛みを軽減してくれます。

暴飲暴食
身体が冷えている、
ストレスや疲労
長時間のだっこひも
授乳リズムの乱れなど・・・

乳腺炎の原因として
よく語られるものがありますよね。

それらは、乳腺炎発症のひとつの材料には
なり得るかもしれません。

でも、乳腺炎に限らず
体調不良というのは、さまざまな材料が重なって
さまざまな条件が絡み合って
起こりますよね。

なので、ママたちに説明するときに
「これが原因です!」と断言することはできません。

乳腺炎になると、
徹底した食事管理の指導が今の世の中、定番かもしれません。
わたしもかつて、助産師学生時代には
そう教えてもらったし、
働き始めてからも、習った通りに指導していました。

洋食はだめ
お肉はだめ
スイーツもだめ
パンもだめ

現在の最先端の医療では、
「欧米食は乳腺炎の大きな原因!」
という昔ながらの理論は否定されています。

おっぱいケアに来られるママたちも

「最近まともな食事してないから、
わたしの母乳、きっとダメダメだと思う・・・」

という弱々しい自己否定をよく聞きます。

毎日、一生懸命子育てして、
がんばっているのに、
ごはんと味噌汁、煮物しか食べたらダメ・・・
なんて!!

じゃあいったい
母乳育児してるママは
何を希望に生きていったらいいんですかぁぁ~~~~!!!

「食べる」って幸せですよね。
おいしいものを食べると、またがんばろうって思えます。
その楽しみさえも奪われる母乳育児・・・

んなわけねーやろ、
と思うわけですよ。

暴飲暴食をして、授乳をしなかったのなら
それは乳腺炎の理由としておおいに考えられますが、
暴飲暴食だけが単独で、乳腺炎を誘発するわけでは
ないのです。

たとえ粗食にしていたとしても、
授乳をサボったら、乳腺炎になるかもしれませんよ。

つまり、乳腺炎の原因、
確実に言えるのは
『乳房内に母乳が溜まりすぎている』
ということ。

そこに、食事やストレスや疲労や冷えが重なって
はい、アウト~!になるのです。

乳腺炎と食事との関係は
まだまだ都市伝説のように信じられているんですよね。

あれも食べたらだめ、これもだめ、
制限だらけでいったい誰が好き好んで
母乳育児をするんでしょうね?
追い込まれて自滅してしまいそうです。
(わたしは無理やなー)

ストレスや疲労をためすぎない、
身体を冷やさないようにする、

このあたりの材料は、
授乳うんぬん無関係ですよね。
健康でいるためにごく当たり前の
意識すべき話だと思います。

なので、ママに説明するのは、
授乳中だから特別なことをしてもらうのではなくて

バランスよくいろんなものを食べながら
しっかり授乳してもらうことを説明する。

おっぱいライフのアドバイスは
実はとてもシンプルで、
健康でいるために当たり前のことだけなのです。

あ、それと!

おっぱいが痛い=冷やす
これも定番なんですが、

文献を読み漁っているとどうやら・・・
冷やしたからといって炎症が早く改善されるという
統計はないようです。

ただ、猛烈に痛いから
冷やすと痛みがマヒしてごまかされる。という
効果はあるのかな。

乳腺の詰まりがなければ
温めてガンガン搾乳するほうがいい場合もありますが、
詰まっていて母乳の出口が塞がっているときに
おっぱいを温めたらたいへんなことになるので、

よくわからん・・・というときは
助産師に診てもらい、指示を仰いだほうが
いいかもしれませんね。

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