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2019.06.19

HISAKOのお産(第11子)その後

今度こそ人生最後のお産
そう思って挑んだ11人目でした。

10人目のときのような弛緩出血を起こすこともなく
退院のときには「12人目待ってるで!」
主治医に笑顔で送り出されました。
本当に幸せなお産でした。

きょうだいたちの中で
ひとりだけパパの異なる末っ子は
みんなに可愛がられ、
あのとき大反対だったお姉ちゃんたちも
分け隔てなく小さな妹を愛してくれました。

いろんな逆境を乗り越えて
生まれてきてくれた11人目は
「かわいい」という言葉さえ
当てはまらないぐらい愛おしくて

彼女がいてくれるおかげで
家の中が明るくなりました。

大きい子たちにとって11人目の誕生には
言葉にならない葛藤があっただろうに、

2018年の夏

「結婚したらええやん。
ママも幸せになっていいよ
もう十分がんばってきたやん」

あのときの言葉、一生忘れません。

晴れてわたしは再婚しました。

「もうひとり、僕らの子
挑戦してみないか?
後悔しない人生、一緒に歩もうよ」

MARKは言ってくれました。

一度きりの人生
何が起こるかわからないのが人生。

じきに43歳になり
年齢的には妊娠したら奇跡、というステージですが
ダメ元で挑戦してみようと思いました。

「新しい命が生まれることで
他の子たちが不幸になることはない
両者は別モノだ」

主治医の言葉がわたしに勇気を与えてくれました。

1年、がんばりました。
でも、妊娠検査薬が陽性になることはありませんでした。

44歳になりました。
毎月きっちり生理がきます。

ときどき、
ばぶばぶに高齢妊娠のママが来院されます。
44歳、45歳・・・
ほとんどが不妊治療の末の妊娠ですが、
高齢ママに出会うたび希望の光が照らしました。

44歳を半分過ぎたころ
MARKと話し合い、45歳の誕生日を迎えるまで
半年間の期間限定でできる限りのことを
してみようということになりました。

タイミング療法、排卵誘発、
子宮卵管造影、通水検査
4人目のときの経験と、

人工授精
11人目のときの経験

12人目の不妊治療なんて前代未聞だけど
体外受精、顕微授精
やってみるか!

仕事をしていて感じるのは
不妊治療をがんばっているママが本当に多いということ。

もっとも高度な生殖医療である
顕微授精さえも決して珍しい話ではありません。

自分自身が経験しなければ
治療と向き合うママの気持ちに
本当の意味では寄り添えない。

助産師として
もっと知識と経験という引き出しをもっと増やし
豊かな視野から支援していきたい、と思ったことも
不妊挑戦のひとつの理由でした。

不妊治療の闇。
不妊治療の光。

味わって実感して
いのちの神秘、いのちの奇跡
不妊に悩み、戦う女性たちの心に心底から
寄り添ってみたいと思ったんです。

毎日、何種類もの薬を内服しました。
日々のホルモン剤自己注射は
MARKの役目でした。

薬の力を借りて、卵巣を刺激するので
卵巣が腫れておなかが痛くなるなど
合併症が起きることもありましたが、
治療にまつわるさまざまなできごとがすべて
わたしを成長させてくれたと思います。

一気にたくさんの卵子を育て、
1日入院で麻酔下のもと、
細い針を卵巣に刺し慎重に採卵します。

20代なら10個ぐらい採卵できるのですが、
40代になるとせいぜい1個〜2個採れたら上出来です。

ですがわたしは同じ年齢の女性と比較して
11人も産んでいるため、
妊娠→授乳の繰り返しで卵巣機能が一時停止、
受胎能力温存期間が規格外に長かったという
背景があります。

「あなたほど産んでたら、
母体年齢での基準は当てはまらないし、
もう1人いけると思うんやけどな・・・」

医師の言葉。

不妊クリニックでは、
自分の素性は明かしていなかったんです。
めんどくさいから(笑)。

隠してたのに、

「あなたほど産んでたら」

・・・狭い業界です、
しっかりバレてました。

でも「年齢の基準が当てはまらない」
と言ってもらえたことは
かすかな希望になりました。

顕微鏡を覗き、培養士が採卵した卵子に1匹ずつ
元気のいい精子を注入し、受精させます。

受精卵は培養液の中で育てられ
1つの受精卵が2つ、4つ、8つ・・・
分割していきます。

ある程度育ったところで
フカフカ準備完了の子宮内に胚を移植します。

あとは運任せです。
子宮内膜に着床してくれるかどうかは
神様しか知りません。

胚移植から2週間後
妊娠反応は認められませんでした。

2周期目、3週期目、4周期目
胚移植まではこぎつけますが
いずれも着床にはいたらず。

厚い厚い、年齢という壁に打ちのめされ
20代、30代とは異なる身体の現実を
突き付けられました。

11人も子どもがいて、まだ欲しい?
意味がわからん。
頭おかしいんじゃないの?

そう言われるかもしれません。

人とはちょっと違うかもしれないけど
普通じゃないかもしれなけど、
でも、わたしたち夫婦は真剣でした。

45歳目前の5週期目、最後のチャレンジ。
検査薬で陽性が出ました!
信じられずに3回も検査しました(笑)

喜んだのもつかの間、数日後に出血、
やはり着床することができませんでした。

45歳になりました。

いつまでもしがみついていてもダメですね。
引き際も肝心です。

わたしは11人もの子宝を授かりました。
MARKの遺伝子も残すことができました。
できることはすべてしました。
後悔はありません。

思い描いていた結果は出せなかったけど
晴れやかな気持ちでした。

「まだ諦めてない。
医学の力でどうにかなることなんか
ほんのちょっとやから。
世の中は解明されてないことのほうがずっと多いねんで。
HISAKOは普通じゃないから
何が起きても不思議はない!」

今現在も
MARKはそう言います。

たくさんのママたちに
「沖縄行ったら妊娠しそうな気がする」
と励ましてもらったりもして

何が起こるかわからないからこそおもしろい
人生のナチュラルな人生の波に
素直に乗ってみようかと思いつつ

45歳も半分を過ぎようとしています。

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