発達障害 (4)イライラのスイッチ
うちの5年生、ななちゃんには
発達障害があります。
人に暴力を振るうこと、
命に関わること以外の彼女の『やらかし』には
怒らずに優しく注意する程度にとどめ、
決して否定しないようにしています。
それって、
甘やかすことにならない?
という意見もあるかもしれませんが
発達障害の子は
周囲になじめないことが多いです。
上手に人と関われずに
トラブルばかり起こしてしまうことに対するじれったさ。
本人だって気づいています。
でも、そのたびに周囲から「わがままだ」と怒られたり
「人間的に問題あり」のレッテルを貼られ
否定される経験を繰り返すたびに
「自分はダメな人間」というネガティブ意識が
潜在的に植え付けられていきます。
自己否定は
年齢を増すごとにどんどん深く根付いていき、
ますます人との信頼関係が築けなくなって
悪循環に陥ります。
そのまま思春期に突入すれば
手をつけられない反抗を誘発したり
二次的な合併症、心の病や
生きづらさを抱え
社会適応ができなくなる可能性があるのです。
例えば昨日の朝、こんなことがありました。
「服、着替えてきて」
わたしの声かけに
「はーい」と着替えに行った娘。
選んだスカートの生地が暑そうだったので
「それ暑いやろ」
つい指摘しちゃったんですねー。( ̄◇ ̄;)
すると彼女は素直に
また着替えに行ったのですが、
寝起きでイライラしていたところに
ママのダメ出しが重なって
怒りの地雷を踏んでしまったようです。
「どの服も飽きた!」
「どれもちょっとキツイ!」
「なんやねん、むかつく!」
「死ね!」
クローゼットの服に対して(?)
ママに対して(?)
すべてのイライラに対して(?)
キレて怒鳴っている声が聞こえてきます。
ママ、やらかしてもた〜。
どのスカートでも別によかったのに。
指摘すべきじゃなかった。
こういうちょっとしたダメ出しでさえも
ななちゃんにとっては人格全否定ぐらいの勢いで
マイナスにとらえてしまうんです。
いちいち言葉を慎重に選んで
関わらなければならないのは気をつかいます。
いつなんどきイライラスイッチが入るかわからない
子どもの相手をするのは
正直かなりたいへん。失敗してばかりです。
実際、わたし
昨日はスカートごときで
やったらアカン対応、
うっかりしちゃったし〜!(^_^;)
ママだって、他にもいろいろすることがあります。
仕事行かなあかん。
保育園送っていかなあかん。
お弁当いっぱい作らなあかん。
朝はめっちゃ忙しいです。
ななちゃんだけの顔色を見て、
穏やかに笑顔で接するほど暇じゃないので
イライラスイッチ発動させないように接するのは
なかなかの難題なんですよ!
こちらもちょっと心がザワっと音を立てますが、
ここで声を荒げては
かえって彼女は敵意むき出しになってしまいます。
わたしがヒステリックになったところで
彼女の注意欠陥、多動性、衝動性は
治るもんじゃありません。
ママの頭ごなしの『叱り』で
発達障害の子どもは確実に逆上することが増えると思います。
凶暴という言葉がピッタリ、
瞬間湯沸かし器のような嵐が吹き荒れます。
今後の彼女の心の発達を考えたときには
家族との信頼関係を築いていくことが
もっとも大事なんですよね。
それは甘やかせとは違います。
ななちゃんが、言われて嬉しそうにする言葉を
どんどん言うように心がけ、
褒めて、褒めて、ありがとうをいっぱい言って、
ハイタッチたくさんして(園児にしてることと同じです)
自己肯定感向上キャンペーン実施中!
休日、家族みんなでお出かけしたときのこと。
めっちゃ暑い日でした。
お姉ちゃんが、ななちゃんに
「フラフラせんとまっすぐ歩きや」と
言いました。
瞬間、彼女の目つきが変わりました・・・。
はーい♡
その一言、衝動性のスイッチ入りました〜
ありがとうございまーす♡
ああ、めんどくさい・・・またやで。
ラーメン屋さんに入ったのですが、
機嫌を害したななちゃんは、お店の中に入ろうとせず
「もう食べへん!」と。
炎天下の店の外で鬼の形相で
体育座りを決め込みます。
通報されるシチュエーションですよ。
10歳の女の子が灼熱の日差しの下、
ラーメン屋さんの入り口付近で体育座りってねぇ。
どう見ても怪しいじゃないですか。
見逃せない状況です。(⌒-⌒; )
イライラします、正直。
公共の場でこういうことやられるとほんと困ります。
家族の楽しい空気が、
ななちゃんひとりの衝動性のおかげで
一気に重苦しくなります。
ラーメンななちゃんの分も
せっかく注文したのになぁ・・・
何度か、家族で入れ替わり立ち替わり
「一緒にラーメン食べようよ」
穏やかな説得を試みますが
深みにはまるだけで逆効果。
憤慨しているときに積極的に関わっていっても
神経を逆なでするだけ。
こういうときは、
しばらくそっと見守っておくのが一番なんです。
ですが、わたしも人間です。
世間体悪いし、
それ以前に周囲の人が心配するし、
そんな環境で食べるラーメンは
わたしたちも、他もお客さんたちも
美味しさ半減するし、
「もう!やめてよ!」
ブチ切れたくなるのをグッとこらえます。
気づけば店の中、
ちょっと離れたところに
ななちゃんが仁王立ちになっていました。
外は暑すぎてギブアップかな。
それとも空腹でラーメンにつられて入ってきたかな。
必死に気持ちを切り替えようとして
自分と戦っているのかな。
「こっちおいでや〜ラーメン一緒に食べよう」
ふつーのテンションで
さりげなく声をかけて、また放置。
周囲のお客さん、店員さん、
怪訝な顔されてました^^;
小学生の女の子が店の中に突っ立って
ラーメン食べてる家族を
ひたすら睨みつけているのですから・・・
「みなさん、決して虐待じゃないんですよ!
大丈夫ですから!」
心の声で、店員さんと他のお客さんに
訴えかけます。(伝わらんわな・・・)
だんだんななちゃん、
家族との距離がジリジリと縮まってきて
気づくとラーメン食べ始めてくれました。(もう伸びてる)
一同ホッとしました。
ななちゃんのわがまま放題の行動に
こっちがイライラ、エスカレートして
「いいかげんにしろ!」と怒鳴ってしまったら
彼女は心を閉ざしてしまい、
事態はもっと深刻になっていたことでしょう。
少々時間はかかりますが、
売り言葉に買い言葉で応戦するよりも
『待つ』ことで
わたしたちもななちゃんも、
嫌な気持ちを最小限に、ことなきを得たのです。
そしてその日の夜
お風呂上がりに自分の引き出しから
パジャマを出そうとしとき
朝のスカートの一件で
引き出しの中の衣類がぐちゃぐちゃになっていました。
ななちゃんの中で、
イライラのスイッチ、入りどころだったようです。
いきなり洋服を全部外にぶちまけ
見えない敵に大声で文句
暴言を吐いていました。
「何やってんの!」
言いたくなりますが、
それ言うと
「うるさい!ばかやろう〜!」
と怒鳴り返してきて
暴れ出すのが目に見えています。
「たたんで片付けたら
最初よりキレイになるで。一緒にやろか〜」
優しく促し、
わたしが洋服をたたみ出すと
しばらくわたしの隣で
険しい顔をしながらブツブツ文句を言っていたななちゃんは
散らかった洋服を
わたしと一緒にたたみ始めました。
彼女は、
人の言葉に込められたエネルギーを
感じ取っているんだなぁと思います。
ある意味、すごく繊細で賢い子です。
一旦イライラが爆発してしまえば
簡単には鎮静できないのですが、
爆発前に怒りを感じない言葉がけをしてあげれば
反抗的にならずに済むんですよね。
痛み止めは痛くなりきってからじゃ効きにくいけど、
痛みはじめ、早めに内服するとよく効きますね。
それと同じことです。
彼女は、わたしが求めるスピード、
わたしが求めるリズムで日々の行動をテキパキと
動いてくれることはないけれど、
確実に言えるのは、
イライラしないで過ごすことも
方法によってはちゃんとできる子だってこと^ ^
発達障害の子に
厳しく言い聞かせようとするのは逆効果です。
本格的な思春期を迎える前に
『自分って素敵だ』
『生きるって楽しい』
そんなふうに思える心を
育んでいきたいと思います。