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2019.09.02

ミルク育児のママにも細やかな支援が必要です

「ミルクの適量がわからない」
というママが来院されました。

赤ちゃんは3900gで出生
1ヶ月健診には4900g。

赤ちゃんの体格に換算すれば
一般的なミルクの量では全然足りないのではないか?
飲み干したあとも泣くのがかわいそう。
どれぐらいミルクをあげたらいいですか?

産院の母乳外来で相談したら

「適当でいいよ」

という答えが返ってきたのだそうです。

母乳育児の支援だけではなく
ミルク育児にも支援は必要だと痛感します。

発達段階(消化吸収能力や舌の使い方の個性など)を
よく観察、見極めた上で

どんな哺乳瓶が合っているのか。
人工乳首のサイズはどれが最適なのか。
1回のミルクの量は?
哺乳間隔は?

考えていかなければならないと思います。

生理的発達の習得スピードはみんな違います。
または解剖学的な視点から
個々にとって最適なミルクの与え方を導き出し

そこからママ自身が、しっくり来る方法を
選択、実践できるように配慮していく支援は
必須だと思うんですよね。

だけど、

助産院や母乳外来は
『母乳育児支援のための施設である』
という刷り込みが定着している感があり

ミルク育児をしているママにとって助産院は
「自分には無関係の場所」
「行っちゃいけない場所」
気後れから前進を阻まれてしまう場合が多いようです。

思い起こせば助産師学生のとき
力を入れて学んだのは母乳育児支援でした。

苦労するのは母乳栄養。
悩むのは母乳栄養。
軌道に乗せるには知識と技術の伝授が必要
という先入観を印象づけられた気がします。

だから、臨床に出てからも
無意識にわたしは
母乳育児支援ばかりに注力していました。

助産師側に、ミルク育児を軽視する価値観が
少なからず定着しているのではないでしょうか。

哺乳瓶なら飲むミルクの量がわかるから安心。
母乳より楽にたくさん飲める。
ミルクの子はよく寝てくれる。
体重もぐんぐん増える。

なんだか、ミルク育児は
母乳育児に比べて楽勝でできるような
イメージが先行しますが、

ミルクで育てたママたち、
どうでしたか?

ものの5分もかからずに飲み干してしまい
さらにおかわりを要求されたり

1回で規定量が飲めず、
ちょこちょこ飲みだったり

ミルクは3時間あけないといけないと
指導されたけど
うちの子は3時間もとてももたない・・・など

ミルクも、母乳も
赤ちゃんの成長に伴って
いろいろと飲み方が変化します。
1日の中でさえも飲み方が変わります。

ミルクだって試行錯誤。
悩んだ経験があるママも
多いのではないかと思います。

「赤ちゃんはおなかがいっぱになると眠る」

不動の思い込み。
多くのママ、そしておそらく助産師でさえ、
そう信じている人が多いのではないでしょうか。

赤ちゃんが一気飲みするのも、
なかなかミルクが減らないのも、
飲ませたのに眠ってくれないのにも、
赤ちゃん側の理由があるのです。

赤ちゃんの観察、知識の積み重ねがあれば
消化吸収が未熟だという生理的な理由こそが、
ミルク育児の悩みに
大きく直結していることが多いと気づきます。

科学的な視点で赤ちゃんを検証しようと
する意識が低いから
ミルク育児の指導に関心を抱き
注力することができないのではないか。

それが日本のミルク育児への指導の
現状じゃないかと思うのです。

助産院は
母乳の人も、ミルクの人も、卒乳後も
子育て中のママ全員が足を運んでいい場所でなければ
ならないとわたしは思います。

世の中にはさまざまな理由で
ミルクだけで育つ子がいます。
哺乳瓶と人工乳首と粉ミルクが
成長するための命づなである赤ちゃんが
数えきれないほどいるのです。

母乳育児ばかりが指導の対象になって
ミルク育児の指導がほとんどなされない現状は
よく考えてみればおかしな話ですよね。

2008年『授乳・離乳の支援ガイド』に

「育児用ミルクで育てるママにも
母乳育児のママと同様、
あるいはそれ以上の支援が必要である」

とはっきり書いてあるように
母乳育児だけにとらわれるのではなく
混合栄養、人工栄養育のママと赤ちゃんに対して
十分な支援が行われるべきなのです。

「ミルクをどのように、
どれだけ飲ませたらいいのか?」

その答えは、赤ちゃんによって違います。

ミルク缶の蓋に書いてある哺乳量の目安は
月齢別の量と回数が記載してあるだけで、
成長発達の個人差の配慮は
まったくされていません。

生後3ヶ月で体重4500gの子もいれば、
すでに8000gの子もいます。

離乳食の食べっぷりだって
みんな違います。

早産で生まれた子、未熟児ちゃん、
身体的機能的個性、
さまざまなことが、100人いれば100通りなのに
全員一律の回数、量が
適しているはずないですね。

「ミルクをどのように、
どれだけ飲ませたらいいのか?」

母乳栄養同等に
人工栄養の指導が大切だという意識を持つ助産師が
そもそも少ないのかもしれません。

世の中に出回っている育児書は
母乳育児推進の傾向が強いものが多く
ミルクに関しての記述は本当にわずかです。

しかも、ごく一般的な表面上の薄っぺらい
内容のものがほとんどなので
実践的な育児の現場では
残念ながらあまり役に立ちません。

母乳育児こそが最善の選択、という
暗黙の洗脳は、
『授乳・離乳の支援ガイド』の文面にも
反映されているように思います。

育児用ミルクで育てる場合の支援の
ポイントは以下のように書いてあります。

「育児に自信をなくしてしまうことがないよう
ママの心の状態に十分に配慮して支援を進める」

この文章に
母乳を与えられずミルクで育てている気の毒なママを
気遣ってあげましょう、というような
差別的な視線を感じてしまうのはわたしだけでしょうか。

具体的なミルク育児の方法や
医学的な理論は、いったいどこに書いてあるんだろうな?

わたしたち助産師は
母乳で育っている赤ちゃんも、混合栄養で育っている赤ちゃんも、
ミルクオンリーで育っている赤ちゃんも、

そしてばぶばぶは
卒乳後の子どもたちも

すべての子どもたちとママに
それぞれできるだけ良好な生育環境を
ともに考える使命があると考えています!

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