パパの自覚・ママの自覚
4歳さわちゃんは
先日熱を出しました。
水分はとれていたので家で様子を見ていましたが
翌日になって体温40度を超え、
目が泳いでボーッとした感じになったので
慌てて小児科を受診したそうです。
土曜日の小児科待合室はいっぱいで
座る場所がありませんでした。
グッタリしているさわちゃんを抱きかかえ、
ママは立ったまま待つしかなかったそうです。
でも、混んでいる待合室をよく見てみると
おでこに冷えピタ貼った子どもにパパママ2人が付き添って
席を占領して笑顔で絵本を読み聞かせている姿が
視界に入ってきました。
(それほど具合悪くなさそうな)子どもの隣で
パパが座ってスマホを触っている姿も
あったそうです。
4歳児は重いですよ。
抱っこしたまま立って待つママは腕力の限界・・・
とうとうさわちゃんは
床にぐったりと座り込んでしまったそうです。
混雑状況を見て
付き添いの健康な人は立って待つのが当然です。
産婦人科の待合室の
付き添いパパの席占領問題も
よく話題になりますよね。
わたしが助産師になったころには
妊婦健診に旦那同伴で来院されるのは少数派でした。
待合室で男性の姿を見かけることは
今ほど多くはありませんでした。
妊婦のそばに
付きそう旦那さんの姿を見かけるのは、
分娩入院のときぐらいだったかな。
今では夫立会い分娩は当然のようになりました。
妊婦教室も、両親教室と名前を変え、
立会い分娩を希望する場合には
夫の教室参加が義務付けられている病院もあります。
診察室にパパも入って
エコーの赤ちゃんの様子を
夫婦で一緒に見られる産院もごく普通になりました。
産婦人科への男性の敷居は
ここ20年で大きく下がったと思います。
実際、土曜日の産婦人科はパパだらけです。
パパになる自覚や意識、
ママとともに小さな生命を共有したいという想いは
確実に上がってきていると思います。
それは素敵なことです。
でも、社会の風潮として
ただ無責任に男性の参加を促しすぎるのも
どうかと思います。
他の妊婦さんが立っているのに
付き添いの旦那さんがデンと座ってスマホに夢中・・・って
残念すぎますよね。
他の患者さんへの
気配りマナーさえもできないのに
妊婦(妻)に付き添う意味ってなんでしょう。
それが父親の自覚と言えるのでしょうか。
わたしは去年、半年間
12人目を目指して(笑)不妊治療を経験しました。
男性と女性がペアで受診するのが当たり前の現場なので、
みなさんご夫婦で来院されています。
不妊治療を受ける夫婦は年々確実に増加していて、
不妊専門クリニックの待合室は
常に患者さんでごった返しています。
そのとき、思ったんですよね。
不妊治療の待合室には
おなかの大きな妊婦さんはいません。
普通の元気な女性たちが
通院されている待合室で席を譲る必要は
ないと思われてしまうのかもしれませんが、
見た目ではわからなくても
妊娠がわかったばかりの
初期妊婦さんがおられます。
また、妊婦じゃなくても、
不妊治療中の女性は複数多量のお薬を内服したり
毎日注射をしたりしています。
ホルモン剤をバンバン入れて排卵誘発したり
受精卵が着床しやすい子宮環境を作ったり
けっこうな負担が身体にかかっています。
過剰な薬物刺激で卵巣が腫れて、
おなかが痛くて立っているのが辛い女性も
いることでしょう。
夫婦で受診する科であっても
不妊治療で大きな負担を抱えるのは確実に女性側です。
もしかしたらしんどいのかな・・・
表情や仕草から読み取れる女性患者さんを見かけたら
席を譲る配慮は必要です。
妊娠も不妊治療の苦痛も、
経験できない男性には
理解するのが難しいかもしれません。
男性の配慮不足ばかりが目立って
非難されますが
命の誕生を心待ちに周囲への配慮をしながら
前向きな気持ちで妊婦健診に付き添っておられる
男性もたくさんいます。
だから単純に
産婦人科など女性が主役になる場所から
男性を締め出すのではなくて、
さわちゃんの小児科事件のように
性を問わず、自分さえよければ他人なんてどうでもいい
という自己中心的な考え方をひとりひとりが見直し
どんな場所でも人に思いやりを持って行動することこそが
ママの自覚
パパの自覚
なのだろうなと思います。