ママになると強くなる?
『母は強し』
という言葉があります。
出産しママになると小さなことにクヨクヨしなくなり
どんと構えた肝っ玉の強さを発揮できるようになる
という意味の言葉です。
昨日、名古屋で講演会を開催しました。
わたしも子育て現在進行中のママです。
同じ目線に立って、
『あなたはあなたのままでいい』
というママ等身大のメッセージを贈りました。
話を聴いてくださったママたちが
途中、あっちでもこっちでも
ポロポロ泣いておられて
その姿を見ていて思いました。
いつも凛として
軸をブレさせてはいけない。
強くまっすぐ
たくましくなければならない。
ママは強くて当たり前という
暗黙の圧力に支配された世の中で
そんな理想を刷り込まれたら、
必然的に非の打ち所のないママを
演じなければならなくなって
酸欠で溺れちゃうなぁ・・・と。
出産したら復職することさえ一苦労。
社会からの疎外感で煮詰まり、
消沈するワーキングウーマンも少なくありません。
自分と家族の健康問題。
ずっと健康で、子どもを育て切ることができるだろうか、
考え始めたら見えない未来が恐ろしくなってきます。
経済的な不安。
そこへ、介護の問題がのしかかってくることだってあります。
いろんな角度から子育て世代の女性への
重責は大きく落ち着きません。
周囲のママがキラキラ輝いて見えたりします。
自分だけが取り残されたように感じ、
劣等感に潰れてしまいそうになります。
毎日、同じことの繰り返し。
自分のことなど後回しで、
子どもに振り回されて気づけば日が暮れています。
一生懸命に育てても
うまくいかない子育て。
何をやってるんだろう・・・の空虚感に
モチベーションは下がる一方。
どんなにがんばっても
どんなに疲れていても
だってママなんだから当然よね、
という目で見られる無価値観。
ママの抱える葛藤に、せめてパパが
寄り添ってくれたらいいのですが、
「ともに寄り添い・・・」
結婚式で誓った言葉は
幻だったのかと絶望するかのように
男女の脳の違いから繰り返される心のすれ違いは
とめどない孤独感を誘います。
ママも人間。
泣くし怒るし、自己嫌悪にも陥ります。
ママが、強くあることを期待される世の中で、
母は強さを演じるしかないのです。
たくさんの子どもたちを
育ててきたからこそ思います。
子育てには、ママが元気で明るくあることが
一番というのはわかっていても
そんな簡単に強くなれません。
赤ちゃんが生まれたら
代替できない大切な存在を守るべく
無条件に強くたくましくなれると感化され、
それを目指している人は多いですが
実際のママはどうでしょうか。
子どもの事故や事件にまつわるニュースを目にすると
胸が痛くなり、いたたまれない気持ちになりますよね。
そして、自分はわが子を守れるのだろうかと
不安になります。
そう、わたしが知っているママたちは
みんなかなり弱いですよ。(笑)
もともと前向きで
明日は明日の風が吹くタイプだった女性でも、
守るべきものができた途端に
些細なことも臆病になり、
神経質なほどにちょっとしたことも気になって
楽観的に受け流すことができなくなってしまうことが
あるのです。
1人目より2人目、2人目より3人目、
だんだんたくましくはなっていくのですが、
そうはいっても、子どもはみんな違います。
4人目でも5人目でも、ずっと・・・
子育てには終わりはありません。
戸惑ったり、悩んだり、不安になったり。
自分の弱さに自己嫌悪になることは
何度だって訪れます。
そんな中で、
いつも太陽のように明るく笑っていられるほうが
不自然だと思います。
うちの大きい子はもう成人していますが、
わたしは今もずっと目先のことで
彼らのことを想い、心配し続けています。
きっと死ぬまで、この弱さは
変わらんのやろな〜となかば諦めモードです。(^◇^;)
子どもに対して心配になったり不安になったりするのは、
それだけ子どものことを愛しているからです。
だから、弱い自分を誇ってください!
だらしない自分に寄り添ってあげてください。
『子どもを愛している』
その、大きく深く強く揺るぎない想い。
これこそが、『母は強し』の本当の意味だと
わたしは思っています。
日常の細かなことには、どうしようどうしよう・・・
あたふたと弱々しく不安定なママたちだけど、
いざという事態が起きたとき、底力は発揮されます。
あなたが
身を投げ打っても子どもを守ろうとすることを
わたしは知っています。
(たぶんパパのほうがあたふたします)
産んだから
強いママになるんじゃありません。
子どもとの歴史を積むごとに
表面化する弱さの核の部分に密かに強さが育まれ
経験を積めば積むほど叩き上げられ
強固な強さとなっていきます。
ただ、平和な毎日には
強さを発揮しなければならないような
修羅場が起こることはまれだから、
強さは弱さに隠れて
静かに温存されたまま眠っているだけなんですよね。
肩の力を抜きましょう。
強い母、明るい母、たくましい母
そうあるべき。
という思い込みを捨てましょうね!
心配しなくても、
あなたのママとしての強さは、
あなたの自覚できない深いところに
ちゃんと佇んでいますよ。