卵管結紮するよね?
・胎盤の位置が低い(低置胎盤)
・それにともなって一部臍帯が
内子宮口にかかっている〝可能性〟(前置血管)
10月12日(月)
帝王切開が決まりました。
破水したり陣痛が始まると
大出血を起こして赤ちゃんの予後にかかわる
事態に発展するため、
35~36wで帝王切開で分娩することが必須!
帝王切開の術式説明を受け、
それはそれはサラっと主治医から
「帝王切開でおなか開けたついでに
卵管縛っちゃうよね~?」
と聞かれました。
卵管結紮・・・
永久的避妊手術のことです。
12人目、46歳。
普通に考えて最後の出産。
って話になりますね。(^◇^;)
卵管は、
単純に卵巣と子宮をつなぐ『管』ではありません。
卵巣から排卵した卵子をキャッチして
→精子と卵子が出会う受精の場でもあり、
→受精卵を育てながら
→子宮へと輸送する
という、かなり複雑で重要な仕事を
してくれていて
なんらかの理由で卵管が詰まったり
癒着していたりすると不妊になります。
卵管結紮は
卵管をプラスチックのバンドで縛ったり
卵管そのものを根本から切除したりして
人工的に卵管性の不妊を作り出して
しまおうという手術です。
最近、卵巣がんの発生部位は
実は卵巣ではなく卵管なのでは?
と言われているので
子宮筋腫などで子宮摘出する際にも
昔は卵管は残していましたが
卵管発生のガンを予防できるということが
わかってきてからは
卵管も一緒に切除することのほうが
多いようです。
避妊目的の卵管結紮でも
卵管を縛るより、摘出してしまう術式が
増えています。
ちなみに女性ホルモンの分泌は
卵巣が担っているので
卵管や子宮を切除しても
ホルモン異常による体調不良は起きません。
卵管結紮は今も昔も
帝王切開のついでに
やってもらうケースが圧倒的に多いのですが
今から16年前、5人目出産直後
分娩介助してくれた医師が
分娩台の上で横たわっているわたしに
「明日、ぼくオペ日なんだよね。
卵管結紮できるけどどうする?」
と聞いてきたのを
今もはっきりと憶えています。
産科医療スタッフの立場から言えば
このタイミングで卵管結紮を提案することに
とくに異論はありません。
でも、たった今、出産したばかりの
ひとりの産婦としては
え~~~
それ、今聞くー?
と、正直思いました。(^◇^;)
「まさか6人目はないよね?
だったら確実な避妊しとこうね」
ってことですよね・・・。
あのとき、5人連続産んだら
そのあと仕事復帰しようと人生計画を組んでいたので
「6人目はありません」と
自分のなかでは考えていたのですが、
改めて他人にそれを決めつけられると
なんだか急に抵抗したい気持ちになったのでした。
とっさに、
「先生、人生何が起こるかわからないよ。
離婚とか死別とか、あるかもしれない。
で、いつか再婚するかもしれない。
そのときにまた赤ちゃん欲しくなるかもしれないから
結紮しません!!」
と拒否ったのでした。
「あなたはもう産んじゃダメだよ」
と言われた気がして
妙に寂しかったです。
このように、
昔は、経膣分娩の直後、
お産入院中、希望される褥婦さんには
卵管切除を行うことがありました。
通常の子宮・卵巣・卵管は
おへその下にこじんまりと存在していて
帝王切開レベルに大きく開腹しなければ
卵管を見つけるのがたいへんだけど
出産直後の女性生殖器は
非妊娠時の何倍も大きくなっているので
盲腸の手術ぐらいのちっちゃな傷を
開けるぐらいで簡単に卵管が見つけられます。
産後すぐの卵管結紮なら
おなかに残るのは
小さな小さな傷だけ・・・
安全で簡単に手術可能。
とはいえ
わざわざ卵管結紮のために
おなかに傷を作るのもね~ってことで
最近は経膣分娩後の卵管結紮は
あまり行われなくなりました。
だけど、帝王切開は
がっつりおなかを開けるので
腹腔内、観察しやすい術野が保たれています。
だったらついでに
もう産まないのなら卵管を一緒に切除しちゃうのも
ひとつの手かもしれません。
何人も産んでいて、ママも高齢で
もう人生最後の出産かな~って
本人とパートナーの意見が一致していて
ラスト分娩が帝王切開だった場合、
卵管結紮が行われます。
さまざまな避妊方法がありますが
卵管結紮の最大のメリットは
確実に避妊ができるということです。
デメリットは、卵管はいったん縛っちゃったり
切除したら、もう再生ができない
ってことかな~。
男性のパイプカット(精管結紮)の場合は
精細管は精子の輸送艦という
単純な役割オンリーなので
もう一度つなげて機能再生手術も可能です。
でも、卵管は
卵子の通り道以外にも
受精、胚成長、胚輸送などなど
複数の役割が複雑に絡み合っているので
再度つなげたからといって
ちゃんと機能するかというと難しい・・・
「もう産まない、絶対に!」
その気持ちが
200%揺るがないのならいいけど
卵管切除、結紮を行ったあとで
「やっぱりもう一度赤ちゃんがほしい!」
ということも起こるかもしれません。
実際わたしは
「もう産まない」と思っていた
5人目以降、7人も子どもが増えました。(増えすぎ・・・笑)
昔、分娩台の上で医師に宣言したとおり、
わたしは離婚して、再婚しました。
そして、40歳をすぎてから
運命の相手との赤ちゃんがどうしても欲しい
って強く願いました。
あのとき安易に医師の提案に流され
卵管結紮していたら
今のわたしはなかったんです・・・。
いやはや、ほんまに
人生何があるかわからんで~。
実体験からの教訓です。
もうすぐ12人目が生まれますが、
さすがに13人目なんかありっこない。
年齢的にも回数的にも
母子ともにとても危険があることはわかりきっているので
現実的に無理だと認識しています。
自分が死ぬかもしれないという
賭けに出るのは無責任すぎます。
・・・と、冷静に思っているけど、
今回もまた、
「帝王切開ついでに卵管結紮する?」
サラッと提案されると
またしても抵抗したくなりました。(笑)
考えてることと、やってることが
矛盾しているのはわかってます。
もう妊娠できなくなることに
絶対に絶対に後悔しないと言えるのか?
更年期を迎え、自然に「産めなくなる」
ことは受け入れますが、
人為的に「産めない」のと「産まない」のは
ずいぶんニュアンスが違う。
それでも大丈夫?
もうひとりの自分が
ささやいたのでした・・・^^;
医師として当然の提案に
わたしは笑顔で答えました!
「卵管結紮ノーサンキューで~す♪
帝王切開だけお願いしま~す♪」