ななの独り言(発達障害)
わたしの第7子、
中学2年生のななちゃんは
人間関係が苦手。
どっちかというと1人でいるのが好き。
人に気を遣うのが苦手。
興味のかたよりやこだわりがあり、
パターン的行動、同じ手順を好み、
変化への適応が苦手な子です。
予定通りじゃないことが起こると
「なんで?!」とパニックになり
イライラが込み上げてきて
気持ちをコントロールできなくなります。
想像力の広げ方がかたよっていて
本音と建前が理解できなかったり
冗談に決まってる、というような
ユーモアのある相手の言葉を
そのまま受け取ってしまうため
攻撃されたと勘違いしてしまったり。
約50人に1人の割合(けっこう多い!)で
診断基準に合致する人がいると
言われている
人と関わると極端に疲労してしまう
『自閉症スペクトラム障害』(ASD)
という、生まれつきの
発達障害を持っています。
ASDと一言でいっても
どの特徴を強く持っているか
それがどのような形で表れるかは
とても大きな個人差がありますが
基本的に、
『コミュニケーションに困難を感じやすい』
ことが多いです。
目に見えない曖昧な物事への判断が苦手
という発達面のデコボコがあるものの
知的な遅れはないため
ななは一見、ごく普通の中2の女の子です。
ポジティブな方向にいけば
『ブレることなく
自分のペースで
コツコツ取り組むことができる人』
その反面、
独特な行動特性があるため
そんなななのことを理解してくれない
環境に置かれてしまうと
日常生活にさまざまな
難しさが出てきます。
イマドキの中学生なので
家での自分時間は
スマホやタブレットで
好きな動画やアニメを楽しんでいます。
その様子は
リラックスしていて
表情もよく楽しそうなのですが、
スマホやタブレットに向かって
「なんでやねん、それはあかんやろ〜」
「え?そこでそれいっちゃう?」
「マジかー笑」
「学校行くのか。そうなのか!」
いちいち声に出して
ブツブツ反応。
中3、ここちゃんも
ななと同じく動画を観ながら
ドン引きするぐらいの音量で
大爆笑してたりするので
たいして変わらないのかもしれませんが
今まで7人の中学生を
育ててきたわたしの経験上、
動画に対して大笑いはあっても
まるで画面の向こうの世界の一員に
なったかのように
セリフをオウム返ししたり
独りごとを言ったりする中学生は
初でした。
この独特な行動は、
なながASDであることと
関係があるのかな?
ということで、分析してみました。
わたしはいつも
悩みを抱えるママたちに
1人で抱え込まないで
気持ちをありままに話してほしいと
伝えています。
緊張や不安、苦痛、
ストレスに感じていることを
声に出して気持ちを表現すると
その気持ちが頭の中で整理されて
心のバランスを保てる効果があるからです。
それと同様に、
ななは、反射的に声を出すことで
自分を落ち着けているのかもしれません。
さらに、興味のあることや好きなことには
深く集中することができる
という特性を持っているので、
人一倍、動画の世界と一体化しやすく、
自分の思考に深く入り込んだ結果
独りごとが出るのかもしれません。
ななの、心理発達検査(WISC)の結果では
「ワーキングメモリ」
という項目だけが極端に低い結果が
出ています。
ワーキングメモリとは、
入ってきた複数の情報を脳内に記憶して
情報を組み立てて整理し、
不要な情報は削除し
瞬時に適切な対応をするための
判断を行うことができる
情報処理能力を言います。
例えば、
わたしたちは人と会話するとき
相手の話から必要な部分を抜き取り、
その内容から相手の意図を汲み取って
話のニュアンスに合わせて
不必要な情報は削除したり後回しにしたり
脳の中で器用に情報処理を行っているから
スムーズなコミュニケーションを
とっています。
ななは、
このような物事の判断や行動を支える
ワーキングメモリが極端に弱いので
スムーズな会話が難しい・・・。
脳内での情報の整理が苦手だから
一気にたくさんの情報が入ってくると
何に着目すればいいのか
優先順位がどれなのか
わからず混乱してしまいます。
そして
状況にそぐわない言動や
行動をしてしまうことがあるのです。
不必要な情報の削除も苦手だから
新しい情報を取り入れにくく
急な変更やハプニングに
柔軟に対応することができません。
つまり、気持ちの切り替え、
行動の切り替えが苦手です。
ストレスが溜まってきて
イライラが爆発しそうになると
彼女は刺激となるものをシャットダウンできる
環境に自ら移動してクールダウンします。
家では、
部屋の電気を消して真っ暗にして
頭まで布団をかぶって
しばらくじっとしています。
ワーキングメモリが弱いからこそ
イライラしたときは
入ってくる情報量を最小限に!
ということですよね。
これって、彼女なりに編み出した
すばらしい工夫だと思います!
動画を観るときは目と耳から
情報が入ってきますが
それだけだと情報処理がうまく
できないから
ブツブツと独りごとをつぶやくことで
言語化して認識し、
脳で整理しやすい状態にして
情報を入れる工夫をしているのかも
しれません。
また、わたしたちは、
精神統一する際に
外的刺激をシャットダウンし
自分の思考と向き合うために
独りごとを発することがありますよね。
そういえば、わたしは
難しい医学論文を読むときに
え?どういうこと?
ん?待って、わからん
あ〜はいはい、そういうことね!
と、独りごと言って
論文の内容(情報)を整理して
理解しやすいように
無意識の最適化をしています。笑
独りごとの内容が
攻撃的だったりネガティブだったり
する場合は注意が必要だと思いますが
ななの場合、動画を観ながら
笑顔でツッコミを入れている感じなので
大丈夫だと思います。
声に出して言語化することは
脳が整理され、
自分の発した言葉を耳でとらえることで
脳が記憶しやすくなります。
自分の声は優先的に入ってくるため
必然的に集中することができるのでしょうね。
ななの独りごとには
やっぱり理由がありました!
こうやって、
ひとつひとつの行動の「なぜ?」を
分析していくと
新鮮な発見がたくさんあって
本当に楽しいんです!
そしてASDのななに
どのように関わってあげればいいのか
道筋が見えてくるので
ウキウキしてきます!
中3、ここちゃんの大爆笑もうるさいし、
中2、ななちゃんの独りごともうるさいし、
1歳、ねねちゃんのギャン泣きも
うるさいですが笑
常に多くの情報が飛び交い
ハプニングだらけのわが家。
そこから瞬時に情報処理をして、
判断、行動しなきゃいけない
わたしのワーキングメモリは
おそらくめっちゃ
高いんじゃないかと思います^ ^
イライラしたとき、
集中したいとき、
どの仕事から片付けたらいいのか
わからへんー!
って、なったときは
ななを真似して
声に出してひとり言ブツブツ。
やってみたいと思います!