会陰はスゴイんだぞ!
出産のとき、初産ではほとんどの産婦さんが
会陰切開を経験するかと思います。
会陰。
肛門と膣の間にある、長さ3〜5cmの部分です。
長さは個人差が大きいんですよ。
知ってました??
男性には会陰はないかと思いきや、
陰嚢の後方の境から肛門までを「会陰」と呼びます。
男性の会陰は約6〜7cm。
女性よりも長いです。
その部分の皮膚は、正中線状に色素に富んでいて、
女性は妊娠中にはメラニンによって
色素沈着を起こしたりします。
おなかの正中線、
おへそから陰毛につながるように黒い筋ができて、
なんじゃー
こりゃ〜〜!
と驚かれる妊婦さんがいますが、
こういうタイプの妊婦さんの会陰には、
メラニン沈着が見られることが多いんだって。
普段見えない場所ですが
妊婦のみなさん。
鏡で自分の会陰、観察してみましょう。
会陰の皮下組織はどうなっているのでしょう。
正体は、実は筋肉のかたまりなのです!
この筋肉、ちゃんと機能があるんです。
膣からの排出物、
すなわち、おりものだったり赤ちゃんだったり
筋肉のかたまりが前方へ押し出す役割をしています。
お産のときには、赤ちゃんの先進部(後頭部)が
会陰の筋肉の抵抗に合い
抵抗の少ない前方へと進むように
うまくできてるんですね〜。
そして直腸からの排出物、
すなわち、便は
筋肉が後方へ向かうように
押し出す役割をしています。
もし、人間の身体に会陰がなかったら、
赤ちゃんもおりものも、便も、
全部ごちゃ混ぜになっちゃうかも!!
会陰があるからこそ、わたしたち女性の性器は、
ばい菌が入らないようになっているのですね。
そう考えると、“会陰さまさま”ですね。
人間のカラダって、ひとつも無駄なことがないです。
たかが会陰だけど、こんなスゴイお仕事を
してくれてる大事な場所だから、
お産のときにも、たやすく切らないで、
自然な伸びを待ちたいな〜と思っちゃいます。
会陰切開には賛否両論がありますが、
確かに、するのとしないのとでは
分娩時間にかなりの差が生じる場合もあります。
会陰切開をする時期は、赤ちゃんの頭が発露
(頭の先が見えて陣痛間歇時にも引っ込まない状態)
になったとき。
その時期になると、会陰は最大限に薄くなって、
向こうにいる胎児の頭が透けて見えるほどになります。
このときに、
これ以上伸びないぞ
これ以上待つと裂傷起こすぞ
と判断されてはじめて、
「チョッキン」と切開が入るわけです。
薄く薄く伸ばされた会陰は、
切る面積も薄いということになるので、
ほとんど痛みはないはずなんです。
痛かった人は、だいたいが切る時期が悪かった
(早すぎた)ために、
会陰がまだぶ厚かったから。
また、薄い会陰は、そのすぐ上に控えている
胎児の頭が圧迫してくるため、
切開してもほとんど出血しません。
赤ちゃんの頭、会陰の止血作用まで請け負ってくれる!!
すごすぎるー。
これまた、切るのが早過ぎると、
たくさん出血してしまいます。
だから、
いつどのタイミングで切開するか、
という判断は、実はとっても難しいんですよ。
だけど。
どう考えても切開は早いよ
って時期に、平気で「ジョッキンジョッキン」って。
そりゃ、あんなぶ厚い会陰を切ったら
産婦さんはたまったもんじゃないです。
切開面積が広いから、あとでの縫合もたいへんになっちゃうし。
マニュアルどおりではなく、
その産婦さんのお産のペースに合わせた
切開を選択して欲しいなぁって思います。
ちなみに、切開には一応は
キシロカインという局所麻酔剤を使います。
効くかどうかは別として・・(笑)
会陰裂傷を作らないための条件は
1)産婦の体質
2)助産婦の怒責(いきみ)の誘導がうまいか
3)産婦の怒責コントロールがいかにできるか。
が挙げられるかと思います。
ソフロロジー式なんかをなんとなく勉強しておくと、
比較的落ち着いていきみのコントロールができるので、
無駄な裂傷を起こさずに済みますよ♪