迷惑かけてもええやんか
2歳の、こうちゃん。
ワシャワシャと落ち着きなく動き回る(笑)
典型的な『ザ・男子!』です。
意味もなく(笑)走り回って
なんにもない場所で豪快にコケて目じりパックリ流血。
数針縫う事態に。
縫合に使う持針器や、はさみ、鉗子などが
ケガした目元に近づいてくるのは大人でも恐怖です。
ましてや、2歳の男の子が
縫合処置している間、
じっとしていられるはずもなく・・・。
その様子を見ていた、
たまたま病院に来ていた患者さんが
「よし、がんばれ!
痛くないように、
おっちゃんが踊っといたろ!」
こうちゃんの目の前で
『応援の舞い』を披露してくれたおかげで
どうにか、きわどい箇所を
無事に縫うことができました。
そして抜糸の日。
『応援の舞い』の、
おっちゃんはいません。
こうちゃんは、
「触らせるものか!」と
渾身の力をふるって大抵抗!!
火事場のクソ力!
大声で泣き叫び、目に余る暴れっぷりに
待合室にいた初老の男性が
「先生!
こんなクソガキ
切ってしまえばいいんや!」
と怒鳴ったそうです。
医者も医者。
冷静に真摯に対応すればいいものを
「うるさい!
一寸の狂いがこの子の目を傷つける!」
怒鳴り返したそう。
こうちゃんママはその狭間で
あたふた、小さくなって
ひたすら謝るしかなかったそうです。
電車の中で子どもが泣いて
乗客に舌打ちされたり、
日本はまだまだ子連れに厳しい社会です。
こうちゃんママは言いました。
「人に迷惑をかけるのが怖いから、
子どもと外出したくないんです」
子どもと外出するだけなのに
子どもの後ろを追いかけては
「それ触ったらダメ!」
「そっち行ったらダメ!」
そのような心境は
わたしにも経験があるので、胸が痛みます。
学校では
「人さまに迷惑をかけてはいけない」と
教えられてきました。
「人に迷惑をかけてもいいよ」なんて、
教えられて育ってきた人はきっといないですね。
人に迷惑をかけないようにすることは
社会生活のもっとも基本的なことのひとつだと思うし、
世の中を気持ちよく生きていくためには
意図的に誰かに迷惑をかけないよう努力することは
もちろん大切です。
そうはいっても
好奇心のかたまりである子どもは
大人の都合や常識などおかまいなしに
動き回るのが当たり前の生きもの。
だからって、
そのままにしていい、と開き直るのも
違います。
人に迷惑をかけたときは
「ごめんなさい」
素直に謝らなくちゃいけません。
『迷惑』には一定の境界線があると思うし、
致命的な迷惑さえ注意すれば
あとは子どもに対して
なんでもかんでも「迷惑をかけるな」というのは
あまりにも短絡的ではないでしょうか。
日本は、
『子どもの行動は親の責任』
という認識が強いです。
「どんな子になってほしい?」と質問されたら
「人に迷惑をかけない子」という回答をよく聞きます。
それだけママたちが、公共の場で
わが子が周りに迷惑をかけることを恐れているのが
伺えます。
そして、こうちゃんママのように
子どもが起こす騒動を背負う自信がなくて
一緒に外出することをストレスに感じてしまい
「ならば外出をやめてしまえばいい」と
リスクを回避する方向に
逃げてしまうことになるんですね。
子どもを取り巻く環境が
必死に子育てしているママたちを
そういう気持ちに導いてしまい、
迷惑をかける相手のことを考えているつもりで、
実は無意識のうちに
自分が傷つきたくない利己的な発想からくる
「迷惑をかけてはいけない」に
つながってしまうかもしれません。
人に迷惑をかけない子が
本当にいい子なんでしょうか?
あなたは子どもに、
迷惑をかけない子になってほしいですか?
ちなみにわたしは今現在も、
人に迷惑をかけまくって生きています!
支えられた数だけ、
そのとき関わった相手に迷惑をかけている!
ほんま、ありがと〜〜
ほんま、ごめんなぁ〜〜
と思っています。(^_^*)
失敗して、迷惑をかけて、感謝して、
その経験を活かしながら今日も生きています。
人に迷惑をかけない社会生活は
わたしにはムリーーーっっっ!(^^;;
ましてや子ども。
迷惑をかけること、かけられること。
経験をい〜〜〜っぱい積むことで
人の気持ちを理解できるようになったり、
生きる知恵、生きる力を学ぶと思います。
迷惑をかけるからこそ。
迷惑をかけるぶん。
相手に感謝し、恩返しする。
子どもに、
そういう思いやりの気持ちを
育んでもらえることが
なにより大事だと感じます。
「迷惑をかけない」ことを知識として
頭ごなしに子どもに教え込んでも、
知識は知識にしか過ぎません。
心と身体で感じてこそ
知識が知恵となってアウトプットされます。
経験を通して得られた知識こそが
人生に役立ちます。
頭で理解したことなんて、
たいして役には立ちません。
わたしは『いのちの授業』でいろんな学校に出向きますが、
いつも子どもたちに話しています。
「知恵となる迷惑やったら、
どんどんかけてもいいんやで!」
ママたちは口を揃えてこう言います。
「子どもには、たくましく生き抜く力を
つけてほしい」
だったら、
迷惑かけてナンボでしょ!
迷惑かけられてナンボでしょ?
そのような経験をする機会を子どもから奪ってしまったら
いつまでたっても成長できません。
必然的に親も子どもが心配で
子離れできなくなってしまいます。
「迷惑」とはどういうことなのか?
かけてはじめて気づいたり、
かけられたときの気持ちも味わって
処理の仕方を学んでいってほしい。
子どもの失敗を責めるのではなく、
ときには叱り、間違いはきちんと正しながらも
彼らが困っていたら助けてあげられる広い心を
わたしたち大人も持ちたいものですね。
最後に
こうちゃんママへ
こうちゃんは、めっちゃ子どもらしく
素直にのびのび育ってると思います!
そのままのこうちゃんで、じゅうぶん素敵(^ ^)
目じりのケガ、きれいに治ってよかったね!